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NO126
春の花々が咲き始め
特別展「雛まつり~江戸から昭和、雛の名品」が大好評。

                               (2018年3月6日  館長 井上 重義)
3月に入るのを待ちかねたかのように、当館の庭の春の花々が咲き始めました。とりわけ4号館から6号館への小道は花の道です。地面には真っ白なユキワリイチゲの花が咲き、椿、ロウバイ、マンサクなど、色とりどりの木々の花が咲きました。なかでも椿はこの小道だけで約30
ユキワリイチゲの花
6号館への小道
本も植わり、椿の小道と呼んでもおかしくありません。来館者から「展示品も、雰囲気もすばらしい。個人が設立された博物館だと聞いていたので、ささやかな博物館と思っていました。規模と内容に驚きました。来てよかったです」と、嬉しいお言葉を再三賜ります。6号館前の休憩所の感想ノートにも「こんなにすばらしい雛人形展は初めて。感動しました」との言葉が多数記されています。
3月3日が過ぎると、雛祭りが終わったと思われがちですが、旧暦の雛まつりは今年は4月18日です。3月3日だと桃の花も咲かず、季節感のずれもあり、当、播州地方でも雛祭りは1か月遅れの4月3日です。全国的にも雛祭りは4月3日に行われるところが多いと思います。当館の雛祭り展も4月15日まで開催中です。

ここ数年、町おこしの一環として、至るところで「雛人形展」が開催されるようになりました。しかしその多くが雛人形をピラミッドのように盛り上げて飾ったり、展示数を競うことが多くなったと思います。当館では博物館としての基本活動を守り、雛人形の歴史と変遷、それに江戸(東京)と京阪製の雛人形の形態や飾り方の違いなどについて、早くから展示を通して解説してきました。現在、当館の様な展示がなされている館は意外と少ないのではないでしょうか。

当館は現在、大小、500組を超える雛人形を所蔵していますが、開館当初、所蔵する雛人形は全国各地で庶民が飾った郷土玩具の土製の
見栄っ張り雛
雛人形が中心でした。裕福な階層の家庭で飾られた雛人形の収蔵が始まったのは1995年の阪神淡路大震災以降です。雛人形が文化財として認知されず、救出されずに失われている状況を知り、救出活動に取り組みました。それが評価され、その後、続々と貴重な雛人形が届きました。といっても総てを受け取ることはできず、年代的には昭和初期までのものです。既に所蔵しているものは収蔵場所の関係もありお断りしていますが、この1年間でも貴重な資料の申し出があり、受け取ったものを展示しています。岡山からの大きな「見栄っ張り雛」、神戸からの「姫路押し絵の段飾り雛」、それにカナダからの「奈良の一刀彫の段飾り雛」です。どれもが貴重な資料です。

当館の雛人形関係で特筆すべきものは、京都と大阪の著名な雛人形店である大木平蔵店と谷本要助店で明治時代から昭和初期にかけ
京都・大木平蔵の御殿飾り雛(左:明治後期・板葺御殿飾り、右:大正11年・桧皮葺御殿飾り)
て売られた豪華な御殿飾り雛です。寄贈を受けて多数保存しており、今回も東室で7組を展示しています。
江戸期の貴重な雛人形も多数展示していますが、これらは寄贈ではなく購入資料です。時期に恵まれ、鑑識眼もあり、貴重な資料の収集に成功したのです。大型の享保雛、江戸の古今雛作者として有名な桃柳軒玉山の雛、また明治に入って東京から京都に玉眼の手法を教えに来た玉翁の雛人形など。今回の展示でもそれらがずらりと並び、珍しく貴重な数々の雛たちとの出会いに皆さま感動されるのです。





NO125
たばこと塩の博物館で
「ちりめん細工の今昔展」が始まりました

                               (2018年1月25日  館長 井上 重義)
東京のスカイツリー近くにあるたばこと塩の博物館で、当館所蔵資料に基づく「ちりめん細工の今昔」展が23日から開催されています。そ
たばこと塩の博物館外観
の準備のため、去る19日から私と学芸担当の尾崎・井上・原田の4名が上京し、たばこと塩の博物館の学芸担当者と協力して展示作業にかかり、無事オープンしました。ところが22日の午後から、東京地方では雪が降り始め、23日朝には積雪が20cmを超える大雪になり、交通機関が不通になるなど大変な天候で、来館くださる方があるかどうか心配でした。しかし10時になるとオープンを待ちかねたかのように来館くださる方もあり、午後2時からの私の講演会「ちりめん細工(裁縫お細工物)の復興に取り組んで」(資料添付)にも50名を超える聴講者がありました。
展示作品が並ぶ会場

たばこと塩の博物館でのちりめん細工展は11年ぶりの開催です。同館は2年前に現在地に新築移転され、最新の設備を持ったすばらしい展示場です。そのような会場でちりめん細工展を開催できたことを心から喜んでいます。展示は江戸時代から昭和初期までの古作品約300点と当館が復興に取り組んできてからの新作500点です。作品によっては一種類で多数展示されているものもあり、実際の展示総数は1,000点を優に超え、すばらしい作品が
古作の数々
ぎっしりと並びました。

古作のコーナーでは当館が約40年まえから蒐集に取り組んできた作品の数々が展示され、押絵やきりばめ細工やつまみ細工などの技法で作られた大小の袋物や箱もの。さまざまな花の袋や小箱、それに迷子札などが展示され、今では作る人もいない高度な制作技法で作られた数々の作品に、驚かれ、感動されると思います。展示品は購入だけでなく、大勢の皆様から寄贈いただいたものも多く、時期に恵まれて素晴らしい作品群の収集に成功しました。

新作コーナーには当館のちりめん細工研究会に集われた皆様が約30年前から作られてきた、古作の復元や創作された作品の数々がずらり並びました。これまで私の監修で16冊に上るちりめん細工の書籍が出版されましたが、掲載されたちりめん細工の作品は当館で保存しており、新作コーナーではそれらが一堂に展示されています。1,000点を超える、これほどの内容の展示は
新作がずらりと並ぶ新春のコーナー
過去にはなかったと思います。日本女性が歳月をかけて育ててきたちりめん細工のすばらしさを、ぜひ一人でも多くの方にご覧いただけることを心から願っています。

本日は、私の79歳の誕生日です。これまでを振り返ると人生の不思議を感じます。高校生時代は鳩少年で伝書鳩の飼育に熱中。山陽電鉄入社後は労働組合の青年部活動に熱をあげ、帰宅途中に社会運動の書籍を置く書店に立ち寄っていました。そこで24歳のときに手にしたのが朝日新聞記者の斉藤良輔氏が書かれた「日本の郷土玩具」(未来社)です。その本が私の人生を大きく変え、さらに収集を始めてまもなく灘高校国語教師の橋本武先生と出会い、一緒に蒐集旅行に出かけ、アドバイスを受けました。その先生の言葉「人の真似をしないこと」が私の人生観になり、当館でないと見ることができないコレクション群の形成に繋がりました。ちりめん細工の収集は1970年に神戸の古書市で明治42年刊の「裁縫おさいくもの」を入手したことがきっかけで進展し、所蔵するちりめん細工コレクションは3000点を超えます。本と人との出会いが私の人生の大きな指針になり糧になりました。





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