日本玩具博物館学芸室から

NO.40
夏のおもちゃ館だより2                    (2007.8.25 学芸員・尾崎織女)

 『夏休み面白おもちゃ教室』のスケジュールがすべて終わり、6号館2階の講座室は、再び、展示準備の作業場に替わりました。詳しくは、トップページでもご案内させていただいたように、9月13日から18日まで、西武池袋本店の西武ギャラリーで開催される『私の針仕事展』(日本ヴォーグ社主催)にご協力して、当館が所蔵するちりめん細工資料、約200点を出品いたします。
収蔵庫から登場した資料を確認し、展示シミュレーションしていく

 先日から、学芸室には今年度一期目の博物館学芸員実習生を受け入れており、展示準備作業は、収蔵庫から繰り出してきた収蔵品を開梱することから始めました。一点一点、薄用(葉)紙で梱包された資料を取り出しながら、実習生は、その手の技の細やかさと造形の斬新さに感嘆をあげながらの作業でした。
 資料がすべて登場したところで、いつものように、展示ケースの寸法に合わせて仮に作ったスペースの上に、サイコロ台なども置いて、展示シミュレーションしていきます。日本玩具博物館には、江戸・明治の古作品や文献資料などの出品が求められているので、昔の女性の針仕事の技をしっかりと見ていただける内容でまとめ、クラシックな雰囲気が漂う展示風景をつくっていこうと思っています。
 去る春に、たばこと塩の博物館で開催した『ちりめん細工の世界展』以降に収蔵した資料も出品し、また、グルーピングも新たな内容としておりますので、関東方面の方々には、どうぞご期待下さいませ。


 さて、当館の学芸員実習最終日は恒例によって、実習生作成によるクイズラリーを開催しました。今回は、1号館の『世界の船のおもちゃ』と6号館の『世界の国の人形』から出題する企画展クイズとし、ぜひ、注目してほしい展示品にスポットを当てた内容を選んでもらいました。実習生が選んだのは、「ヤミ族のカヌー(台湾)」「バリ島のダブルアウトリガー・カヌー(インドネシア)」「ポンポン船(日本)」「ズール族の人形(南アフリカ)」「煙だし人形(ドイツ)」「トラブル・ドール(グアテマラ)」などです。クイズラリー実施時間には煙だし人形の実演も行い、子どもたちも目を輝かせて楽しむことのできる面白いものだったと思います。

 実習日誌の最後のページにはこのように綴られていて、指導担当者として、とてもうれしく感じましたので、彼女の許可を得て、掲載させていただきます。
 <実習を終えて> ・・・・・
資料の登録方法、展示ケース内整理、梱包、開梱、キャプション(題箋)作りなど、学芸業務について、たくさん体験させていただきました。初めてのことばかりで至らないことが多くありましたが、丁寧に指導していただき、感謝しています。
日本玩具博物館は、設備が整った博物館とはいいにくいかもしれませんが、ここに来るとほっとする博物館だと思います。そして、来館される世界中の方々とつながりをもち、そのつながりを大切にされている、玩具だけでなく、人にも愛情が注がれているということを感じとることが出来ました。これによって、世界にひとつしかない博物館となっているのだと思いました。実習で学んだことを活かし、社会に出ても頑張っていきたいと思います。
                                    ・・・・・・・・・・
クイズラリー実施風景 「煙だし人形」のしかけに驚く子どもたち


NO.39
夏のおもちゃ館だより                                        (2007.8.19 学芸員・尾崎織女)

 お盆を過ぎても去らない暑さの中、皆さま、お元気でお過ごしでしょうか。猛暑お見舞い申しあげます。お盆の一週間、7月から断続的に開催してきた「夏休み面白おもちゃ教室」をお休みさせていただき、私たちは、9月13日から日本・モンゴル民族博物館(兵庫県豊岡
▲展示シミュレーション風景・
コウノトリとヨーロッパのおもちゃのコーナー
市但東町)で開催される企画展『世界の鳥〜その色と形〜』の準備作業に、汗をふきふき、没頭していました。

 モンゴル博物館のある豊岡市は、ご存知のように、コウノトリの町として有名です。世界の鳥の玩具の中には、コウノトリを題材にしたものもヨーロッパなどに見られることから、コウノトリをはじめ、世界の鳥の造形物や玩具の色々を紹介しようという企画につながりました。鳥の種類別、地域別、それから鳥の玩具の機能別(動く仕組)に展示構成することとし、いつものように、展示ケースに見立てたスペースの中でシミュレーションして展示空間を鳥たちで埋めていきました。
 お盆明けの17日には、モンゴル博物館の学芸スタッフが来館され、一緒に梱包作業などを行い、無事に約300組の資料の搬出作業を終えたところです。

 ヨーロッパの国々で、コウノトリは新婚夫婦のもとへ赤ちゃんを運ぶと信じられているため、玩具のコウノトリも、亜麻布に包まれた赤ちゃんをくわえていたり、背負っていたり…と面白いものが見られます。会場には緑の木々も登場し、コウノトリやカモメ、オウムなどのモビールも数多く展示される予定で、様々な鳥のさえずりが聞こえてきそうな展示室になることでしょう。コウノトリの町で開催される世界の鳥の造形展は、私たちのおもちゃ館での展示とは、またひと味違ったものになると思いますので、どうぞご期待下さい。会期は、来る9月13日から12月4日までです。





▲鳥のおもちゃ梱包風景(6号館2階にて)

  
日本・モンゴル民族博物館のホームページ:http://www3.city.toyooka.lg.jp/monpaku/index.html

 鳥の玩具たちを送り出した後は、梱包作業場を講座室に模様替えして、夏休みおもちゃ教室を再開しました。今日は日曜日。11時、14時、14時30分の3回、「作りたい人、この指とまれ!」と呼びかけ、江戸時代のおもちゃ「かくれ屏風」を作りました。講師は館長と学芸スタッフのもちまわり。14時からの部には、ヨットでセーリングしながら世界を旅しているというフランス人家族も大喜びで参加されました。
▲『江都二色』に描かれた「かくれ屏風」。松風独楽
(ぶんぶんごま)に手車(ヨーヨー)の絵も見える


 「かくれ屏風」は、安永2(1773)年に出版された玩具絵本『江都二色(えどにしき)』や、嘉永6(1853)年に上梓された風俗誌『守貞漫稿(もりさだまんこう)』にも紹介された江戸時代の人気玩具です。
 数枚の板が布や紙の帯でつながっていて、屏風のたたみ方、開き方によって模様が消えたり、現われたりするカラクリが人気の秘密。そして、例えば「ちちんぷいぷい…模様よ、消えろ!」とオマジナイをかけるなどして、相手に屏風の開き方を気付かれないようにするのが、遊び方のコツですが、この素朴な玩具は、電子ゲーム時代の現代にあっても、小さな子も大きな子も、大人だって驚きの笑顔に変えてしまう不思議な力を秘めているのです。
▲スペインのヤコブの梯子(Jacob’s ladder)

 ヨーロッパ圏では、同じ仕組の玩具が「ヤコブの梯子(Jacob’s ladder)」と一般的に呼ばれており、当館でも十数カ国のものを所蔵していますが、教室にご参加されたフランス人は、「日本のものは、模様が付けられているので、とても面白い!」と拍手して下さいました。

 ぎらぎらと照る太陽の中、庭に繁茂する緑を背景に、真っ黒に日焼けした子どもたちの賑やかな声が響き渡る・・・・いつもどおりの夏休み風景が繰り広げられるおもちゃ館です。それにしても、今年の8月は、温帯ばなれした暑さですね!

▲おもちゃ教室風景「かくれ屏風」作り(6号館2階にて)


学芸室2007前期   学芸室2006後期   学芸室2006前期   学芸室2005   






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参考

世界のクリスマス,オーナメント、サンタクロース、降誕人形、光のピラミッド、キャンドルスタンド、ニコラウス、アドベントカレンダー、麦わら細工、煙だし人形