2019年3月 
三次人形の雛飾り
(広島県三次市)



 

広島県三次(みよし)市周辺には三月三日の節句がくると、男児と女児、両方の健やかな成長を願って土人形を贈答する風習が伝えられています。
 ひと月遅れの桃の節句(4月3日)が近づくと、男児には天神や武者、金太郎などの人形を、女児には花魁(おいらん)や舞い娘などの人形を買い求め、それぞれの初節句を祝いました。三次地方の雛飾りは、上段に天神、下段に武者物や女物の人形を並べ、ときには家族に節句人形も雛段に集めて賑やかに飾られました。
 三次人形の創始期は幕末から明治初頭にかけて。島根県の長浜人形などの影響を受けたもので、明治時代から大正時代の頃は、宮ノ峡(みやのかい/現三次町/「宮の海人形」とも)と十日市町の二ヵ所に窯があり、良質の人形が数多く作られました。宮ノ峡の方は大正初期に廃絶しましたが、十日市の丸本家が中断を経て、現在の三次人形を受け継いでいます。
 写真は、明治中期から大正時代の頃に作られたもので、両方の窯の人形が集まっています。天神を飾って三月の節句を祝う風習は、三次地方だけではなく、島根県出雲地方や鳥取県倉吉地方、兵庫県丹波地方をはじめ、各地に残されています。
 三次地方の雛飾りは、4号館1階の展示室でご覧いただけます。
 
2019年2月 
 
「水沢のくくり雛」
(岩手県奥州市水沢/平成28年)




 岩手県奥州市水沢の旧町内では昭和初期頃まで、雛まつりには自家製の押絵の雛人形が飾られていました。押絵は型紙に従って切り取った厚紙に錦を置いてくるみ、半立体的に組み合わせて形づくるものですが、この地方では、「くるむ」ことを「くくる」と表現するため、「くくり雛」と呼ばれています。その始まりは、明治28年、岩手県水沢の画人・砂金竹香が京都で開催された大日本勧業博覧会に出品されていた押絵にならって作り始めたもので、その後、商家や旧家の婦女子にも手法が伝わり、広まっていきました。
 時代の移り変りとともに、作り手がなくなり、一度は途絶えてしまいますが、平成5年、子どもたちの健やかな成長を祈り、水沢の伝統文化を伝えていくため、「水沢くくり雛保存会」が組織され、復興が果たされました。毎年2月の下旬から3月上旬まで、「くくり雛まつり」も開催されています。水沢のくくり雛は、内裏雛の他は、歴史上の人物や浮世絵、風俗などを題材に製作されているのが特徴です。
 当館が寄贈を受けたものは、平成28年に「水沢くくり雛保存会」によって制作されたものです。内裏雛とともに金太郎、桃太郎と犬、猿、きじ、福助、桃抱き唐子、手まりもち娘、蕪もち大黒、俵のり大黒、高砂、三河万歳のユニークな10種が段飾りに並びます。
 水沢のくくり雛は2日から開催の春の特別展「雛まつり~まちの雛・ふるさとの雛~」で」ご紹介しています。

 
2019年1月

「猪と和気清麻呂」
(福岡県福津市/昭和40年代・福岡県北九州市/昭和40年代・京都市/平成30年)

津屋崎土人形・和気清麻呂のり猪と
足立山妙見宮の猪土鈴
足立山妙見宮のしし笛 護王神社の座立亥串

 奈良時代から平安時代初期に活躍した貴族、和気清麻呂(わけのきよまろ)は、時の法王、弓削道鏡(ゆげのどうきょう)の不正を暴いたことで道鏡の怒りを買い、足を負傷させられた上、鹿児島へ流罪にされてしまいます。その途中、福岡に着くと、清麻呂はどこからともなくやってきた300頭の猪の大群に宇佐八幡宮へ運ばれ、八幡宮の大神から「豊前国(北九州市)湯川郷の湯に浸かれば治る」とのお告げをうけ、その通りにすると足が治ったのです。
 この言い伝えから、各地で和気清麻呂と猪にちなんだ郷土玩具が作られてきました。津屋崎土人形には猪のり和気清麻呂、和気清麻呂が湯治したとされる湯川の近く、足立山(足が立つ山)妙見宮では、猪の土鈴や猪の鳴き声のような音が鳴る竹の猪笛が知られています。  
 また、平安京の遷都に貢献した和気清麻呂を御祭神とする京都の護王神社の境内には、「猪」の霊猪像があり、猪のおみくじや座立亥串(クラタテヰグシ)が授与され、本物の猪も飼育されています。座立亥串の1本は、名前と願い事を書いて本殿に招魂樹(おがたまのき)の根元「願掛け猪」の周りに差して願掛けし、もう一本は持ち帰って神棚や玄関など、家族の皆が目にとめることができる清浄な場所に、目線よりも高い位置に祀ります。
 和気清麻呂にちなんだ猪の郷土玩具は、現在1号館で開催中の冬の特別陳列「猪のおもちゃ」でご紹介しています。

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