NO. 230
三重県総合博物館(MieMu)での「おもちゃ大好き!」展、出展準備完了
                                  2018.6.11 学芸員・尾崎織女)
三重県総合博物館(MieMu)の外観
今夏は三重県総合博物館(MieMu)で第20回企画展「おもちゃ大好き!」(会期=2018年7月7日~9月2日)が開催されます。日本玩具博物館は、この展示に特別協力して総数900点を超える玩具資料を出品することとなり、GWの頃よりその準備作業を進めてきました。MieMuの企画展示室は、面積912平方メートル。恐竜も展示できる超大型の展示ケースを備えた空間には、展示を中心に、プレイコーナーやワークショップコーナーも設置され、静と動が混じり合う楽しい催事が計画されています。
             
展示構成はプロローグとエピローグをもつ7章だてです。考古資料なども登場する「第1章・おもちゃ昔むかし」、次に、近世のおもちゃの世界を「第2章・三重の郷土玩具」と「第3章・郷土玩具北から南から」でご紹介し、明治時代以降の近代玩具の歴史を「第4章・近代日本とおもちゃ」「第5章・戦争とおもちゃ」「第6章・おもちゃの大変革期」「第7章・テレビとおもちゃ」…と時代を追って展観するものです。MieMuの企画担当者U氏は、おもちゃの歴史を振り返り、未来に伝えていきたい玩具文化について、来館者の皆さんと一緒に考えていく内容に仕上げたいと話しておられます。私たちは、その趣旨に賛同し、第3章から7章までの展示にご協力することとなりましたので、いつものように、展示スペースと同等の場所を作業場にシミュレーションし、そこに玩具を展示していく形で、出品資料選定と梱包作業を進めていきました。
出展作業の様子
作業は、あちらこちらに収蔵している郷土玩具や近代玩具の梱包箱を井上館長の車で、6号館2階のフリースペースに運び入れるところから。200梱包を超える段ボール箱に収蔵している玩具を、時代を追って開梱し、その中から趣旨にあうものを選定して展示していきます。展示スペースに陳列台なども組み上げて、バランスを見ながら実際に展示してみて、その後に一点一点の情報を確認しながら出品目録として記載していきます。記載が終わると、一点一点を梱包し、展示グループごとの梱包ケースに収めていきます。そうした作業は、新人学芸員の原田ともども、日々、深夜までに及びましたが、一箇月半をかけてすべての作業を終え、それらは大小72個の梱包箱に収納できました。
郷土玩具も近代玩具も合わせて900点を超える資料を出品します
一方、MieMuからは、展示内容の打ち合わせはもちろん、ポスターや図録のための資料撮影や仕掛けの楽しい玩具の動画撮影に担当学芸員U氏とT氏が度々来館されました。小さな玩具の造形が我々の生活史や時代精神を体現していることの面白さ、興味深さを話し合い、また展示をつくりあげていくことへの期待と不安を共有して、心を通い合わせる日々を過ごしています。
MieMuの担当学芸員氏による資料撮影風景です
MieMuの前身である三重県立博物館は、日本の博物館施設といえば、私立博物館が優勢であった昭和20年代、他の県に先がけてオープンを果たした公立博物館の老舗です。県立博物館の先達となり、モデルともなって歴史を刻んできた館ですが、場所を移転新築して再開館した2014年以降も、館の使命に照らしたユニークな活動を積み上げておられます。そのような花も実もある立派な博物館とご一緒させていただく今回の仕事は、日本玩具博物館にとって大きな糧となるに違いありません。図録やパネル、キャプション等の製作や実際の展示作業にもご協力致しますので、オープンまで気の抜けない日々が続きますが、三重県にお住まいの方々をはじめ、多くの地域、幅広い世代に楽しんいただける内容になるよう、私たちも精一杯努めたいと思っています。MieMuの「おもちゃ大好き!」展―――どうぞご期待下さいませ。
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/MieMu/





NO. 229
端午の節句~出石神社の幟まわし見学~
                                  2018.6.5 学芸員・尾崎織女)
「学芸室から」のお便りが一箇月以上のご無沙汰となりました。その間、私たちは、今夏、三重県総合博物(MieMu)で開催される第20回企画展「おもちゃ大好き!~郷土玩具とおもちゃの歴史から」に特別協力するため、900点を超える玩具資料の出展作業に没頭しておりました。その様子は次の記事にご報告させていただくとして、ここでは新暦端午に見学に出かけた出石神社の「幟まわし」のことを記しておきたいと思います。

新暦端午。兵庫県豊岡市出石町の宮内地区では、「幟まわし」という珍しい行事(豊岡市指定無形民俗文化財)が行われています。
正午、出石神社に到着すると、宮内地区の男子中学生、その保護者ら地域住民でつくる「宮内幟まわし保存会」の方々が常磐緑の雑色姿で準備の真っ最中でした。「幟まわし」とは、竹法螺吹きを中心に、中学生を含む氏子たちが7メートルに及ぶ武者絵幟の5本を立て、独特の囃子歌を歌いながら、幟をもって時計回りに地突きをする所作をいいます。この所作は出石神社の祭神である天日槍命が円山川河口の瀬戸を切り開いた後、出石に幟を立てて凱旋した故事に基づいているのではないかとも言われていますが、端午の初節句とどのように結びついていったかについては諸説あり、確かなストーリーは今のところ得られていません。
出石神社境内より出発前に息を合わせる幟まわし一行 竹法螺
1時半頃に出石神社を出発した一行は、地区内のいくつかの場所で邪気払いをするように、あるいは地固めをするように幟まわしを行った後、初節句を迎える子どものある家々をめぐります。昨年までは男児だけの祝い事として続けられていたのが、少子化時代に行事を伝承していくため、今年から初節句を迎える女児のためにも幟まわしが行われるようになっています。去年は1軒。今年は4軒の幟まわしがありました。ご自身の初節句にも祝ってもらったお父さんが小さなお子さんを抱き、古い時代の幟まわしを知るお祖父さんたちとともに、晴れがましい笑顔で幟が動く空を見ておられる様子に接し、行事が続いていくすばらしさを想いました。
初節句を迎える女児のために囃子歌を唱えながら幟をまわす一行 家庭に伝わる古い幟(戦前のもの)が飾られる
鯉のぼりより武者絵の幟が優勢だった戦前、出石では男児が誕生すると、母方の実家から幟が贈られたそうで、古い武者幟を所有しておられる家庭もあるようです。行事に使用する幟は、これまでお隣の旧・日高町(現在は豊岡市)で調製したものだったのが、昨年、新調された折には岐阜製を入手されたと伺いました。賤ケ岳の戦、宇治川の戦、川中島の戦、大阪夏の陣の武将、加藤清正らが五色で鮮やかに描かれています。去年までの資料画像を拝見すると、幟は白地に黒を基調のクラシックなデザインでしたので、新調された武者絵幟のあまりの鮮やかさに驚かされましたが、それらは五月の青空と深緑によく映えて、とても美しい風景でした。

品格のある出石の町を幟が行く 初節句を迎える男児のために囃子歌を唱えながら幟をまわす一行 
玩具博物館の所蔵品にも各種みられる武者幟が、地方の村や町でどのように扱われ、どのような役割をもっていたのかを知るよい機会をいただけたと思います。5月5日、また来年も色鮮やかで勇壮な幟が出石の端午を彩ることでしょう。地域の宝物として伝えられてきた行事を私たちも大切に見守っていけたらと思います。
出石神社に戻ってきた5旗の幟 

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