NO. 246
遊びの思い出教えてください①
                                       (2019.5.18 学芸員・原田悠里)
◎あっという間に5月も半月が過ぎ、青々とした緑が気持ちいい季節になりました。超大型ゴールデンウィークには、玩具博物館は、連日多くの来館者がお越しくださり、とても賑やかな日々でした。来館者のみなさんが、展示室、おもちゃ作り、遊びのコーナー、らんぷの家やテラスでの語らい、中庭の散策と、館内を思い思いに過ごされている様子を見ると、博物館施設が持つ可能性についても考えさせられます。たくさんの方にご参加いただいたゴールデンウィークのおもちゃづくりの様子は、別途ご紹介していますので、よろしければご覧ください。
◎さて、令和元年がはじまりました。4月30日の様子をニュースで拝見して、カウントダウンやら年越しそばやら、大晦日並みのたいへんな盛り上がりに驚きました。令和時代への期待が感じられる中、当館1号館の企画展「平成おもちゃ文化史」では、過ぎ去った平成時代の流行玩具の移り変りをご覧いただいています。
◎小中学生の子どもさんと来館されるご家族の中には、例えば、昭和50~60年代のコーナーと平成10~20年代のコーナーを行き来しながら、ドレッサーやクッキング・トイの変化を見て、買い物や料理の相談が始まったり、ロボット玩具のギミック(各部品の仕組み)について親子談義が開催されたりと微笑ましい観覧の様子に嬉しくなります。プレイコーナーでの遊びやおもちゃづくりでも見守るというよりも一緒に作る・体験するというご家族が多いように感じます。親の世代が自分の子ども時代やそこから続く自分自身の趣味趣向と向き合いながら、親子で同じ玩具趣味を持ったり子どもと同じ目線で接しながら友達のような親子観がでてきたのも平成の特徴ではないでしょうか。とくに平成時代の人気玩具は、その時々の流行デザインや技術が組み込まれてリニューアルされたり、昭和の人気キャラクターが現代版として再登場したものも多く、自分たちが遊んでいた玩具への懐かしさと、進化に新鮮な気持ちで楽しむようになるのはある意味自然な感覚のような気もします。さらにそこには、玩具が子ども世界のものから大人の趣味や癒しのアイテムとしての価値観が受け入れられてきた平成時代も浮かび上がります。


ビー玉の弾き方
いろんな方向にリードが
取りやすいということなので
しょうか?
◎先日、平成の駄菓子屋玩具コーナーを楽しんでいらっしゃった60代のおばさま方とビー玉遊びの話で盛り上がりました。おはじきを見て思い出されたそうなのですが、遊び方は、土にビー玉が入る穴をあけて相手のビー玉を除けたり、飛ばしたりしながら、先に穴に入れたほうが勝ちというシンプルな遊びです。盛り上がったのはビー玉の弾き方です。わたしと一人のおばさまが同じ弾き方をしていたそうなのです。右利きの場合、左手の小指を地面に立てて、左手の親指と右手の小指を繋いで、右手の親指でビー玉を弾きます。この左手が疑問で、なんの効果がある
チェインリングで遊ぶわたし。
平成3年ごろ
んやと思いつつも、子ども心に妙にかっこいいと思っていたような気もします。するとおばさまも全く同じ疑問を持っていたそうで、おばさまもわたしもそれまで全く忘れていたビー玉遊びと、謎の弾き方に笑ってしまいました。世代や地域差を超えて、子ども時代の感覚を共有できた興味深いひとときでした。

また今も駄菓子屋さんで売られているチェインリング。カラフルなプラスチックの輪が連なったものです。平成生まれのわたしは、これをつなげてネックレスにしたり指輪にしたり、ブレスレットにしたりと遊んでいたのですが、他のスタッフはお手玉にして、放り投げてはひとつ拾う、ふたつ拾うと遊んでいたようで、これはこれで同じ玩具でも世代間での遊び方の違いが面白いですよね。同じ遊びでも呼び方が異なったり、地域ルールがあったり、子どもたちがのめりこむ遊びの世界の楽しみは子どもの数だけあるのではないでしょうか。 
◎そこで、玩具博物館で引き起こされたみなさまの思い出を教えていただけたらと思い、簡単な質問票を作りました。来館者の好きなおもちゃ、または思い出のおもちゃについて、名前、遊び方、遊んだ年齢、今の年齢という項目を設けています。現在進行形の子どもたちの遊び、海外の方から先の話のような、同じ玩具でも遊び方の変化や世代間での流行りも見えてくるのではないかと思っています。みなさま自身の玩具、遊びの話お待ちしております。
質問票とスタッフに書いてもらった見本
みなさまの玩具話をお寄せくださいませ

NO. 245
真鯉が泳ぐ展示室
                                       (2019.4.26 学芸員・原田悠里)
ぐんと気温が上がり、館の庭にも気持ちのいい風が吹きぬけます。6号館の展示室も緋毛氈から緑の毛氈に変わり、初夏の特別展「端午
*美しい顔の太閤秀吉と加藤清正/西山製
(京都烏丸通神屋町)
の節句飾り」が始まりました。今年は「雛まつり」展に展示していた160組の雛飾りのうち、西室に展示していた江戸後期から大正期製の「まちの雛」を収蔵し、半分の展示室に端午の節句飾りをほどこしました。幕末から明治・大正・昭和の各時代に大都市部の町家で飾られた武者飾りと甲冑飾りをテーマに、各時代に人気を博した節句飾りの様式をご紹介しています。また、豪華な衣を身に着けた武者飾りが届かない地方都市や農村部などでかつて人気のあった金太郎の土人形や、張り子の虎、端午の節句にまつわる郷土玩具を合わせて展示しています。

そして展示室でひときわ目をひくものが、和紙できた全長3m20cmの鯉のぼり!20年ほど前に生野よりご寄贈いただいた手描きの和紙製です。
 鯉のぼりが5月の空を泳ぎ始めたのは、江戸時代後半になってからのこと。山田徳兵衛による日本人形史(昭和17年)によると、合戦の時に武将が立てたような大きな武者幟の先に、小さな鯉が付けられている様子が伺えます。江戸時代に生まれた鯉のぼりは紙製で、比較的小さなものでしたが、端午の節句が男の子の幸福を願う行事として盛んになるにつれ、中国の「龍門伝説」にもなぞらえられ、どんどん大きくなっていきました。けれども江戸時代から明治・大正時代に至るまで、鯉のぼりといえば、黒い鯉一匹(旒)というのが一般的だったようです。大正時代に飾られた端午の節句の掛け軸を見ると、幟や吹き流しがはためく青空に、五月の風を受けて黒い鯉が尾をはね上げています。
 和紙製の資料を天井から吊り下げて展示するのは、なかなか大変な作業でしたが、掛け軸の鯉幟のように、黒の真鯉が悠々と力強く展示室を泳ぐ姿は迫力満点です。
展示室で泳ぐ鯉のぼり 慎重さと大胆さが必要な、展示作業中
さらに6号館で紹介しきれなかった金太郎人形のプチコーナーを、4号館郷土玩具展示室に設けました。江戸時代末期から明治時代にかけて、端午の節句には、土製や張り子の人形が飾られていましたが、その中でも人気だったのが金太郎です。ふくよかな体型と力強さは、健やかな子どもの象徴として親しまれてきました。青森から鹿児島まで全国で金太郎が作られていますが、面白いのはその怪力ぶりの表現方法です。根をはった松や竹をひきぬく、米俵や釣鐘を担ぎ上げる、熊を押さえつける、鯉にまたがって流れを上る…などなど、重いもの強いもの勢いのあるものとの組み合わせで、金太郎の力自慢を強調しています。
 金太郎というと、真っ赤な身体を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。これも力のかぎり!という血色のよさを表わすとともに、江戸時代慢性的に流行した疱瘡(天然痘)をはじめとした、疫病除けの願いが込められているためです。ユニークな表情と勇ましい金太郎軍団をお楽しみください。
そして、6号館東室では、引き続き「ふるさとの雛」も展示していますので、日本各地の春と初夏の節句飾りにおける郷土性をきっかけに、郷土玩具の面白さも再発見していただけたら嬉しく思います。
6号館端午の節句の郷土玩具コーナー 4号館金太郎人形コーナー
さて、ゴールデンウィークが始まります!当館では「初夏の光きらきら★ゴールデンウィークおもちゃづくり教室」として、ゴールデンウィークの期間中の6日間でおもちゃづくりを行います。作り方はとってもシンプルですが、楽しく遊べるおもちゃばかりです^^
4月28日(日)ストローのお花ラッパとロケット、29日(月・祝)2枚羽根の風車、5月3日(金・祝)鳴くニワトリ、4日(土・祝)2枚羽根の風車、5日(日・祝)よくあがる折り紙の凧、6日(月・祝)ひらひら蝶々です。各回13:30~と15:00~で30分ほどです。
 ご来館いただいた方ならどなたでもご参加いただけますので、姫路へお越しのご予定がありましたらぜひよろしくお願いいたします。

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