NO. 215
楽器の音・おもちゃの音
                              (2017.7.16  学芸員・尾崎織女)
大暑を前に、蒸し暑く過ごしにくい日々が続いていますが、皆様にはお元気でいらっしゃいますか。
日本玩具博物館でも、またKIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)の方でも子どもたちの夏休みを迎える準備が少しずつ整い、どんな出会いが待っているか、わくわく感が高まる今日この頃です。

6号館の「世界の民族楽器と音のでるおもちゃ展」会場では、展示室に設置した楽器や玩具を手にとって、誰かがナイジェリアの“パームナッツのジングル”を鳴らせば、誰かがベトナムの木魚を打ち鳴らし、小さな子がインドネシアのでんでん太鼓をバタバタと振れば、別の誰かがチリのレインスティックで応じます。やがてなんとなくリズムが合ってきて、セッションとなっていく様子はなんとも前衛的で、リオデジャネイロの町の喫茶店にいるかのような楽しさです。

先日は、法螺貝を抱えた男性がこの特別展を目指して来館されました。「ちょっと、この法螺貝を吹きましょうか?!」というお申し出をありがたくお受けして、即席のミニライブ“法螺貝と尺八の音色”――何千回の修業を重ねて出るようになったという石鎚立螺の様々な音色を、居合わせた方々と一緒に聴きました。魔を払うという渦巻くような深い音にしばし暑さも遠のきました。この展示期間には、こんなふうに楽器を携えた方々がお越しになり、即興演奏&即席ライブとなる楽しみがあります。楽器好きの方にはぜひ愛器ご持参でご来館下さいませ。
1号館の夏の囲炉裏端で法螺貝の演奏を/法螺貝を吹かせてもらう男の子/尺八の二重奏も。
KIITO会場の方へは先日、神戸市立盲学校の高等部の皆さんがご来館下さいました。それぞれの展示コーナーから、玩具を取り出してそっと触れていただきながら、郷土玩具から近代玩具への移り変わりを「素材」「動力」をテーマにご覧いただき、原田学芸員と一緒にお話をしながら会場を巡りました。また紙コップに凧紐を通して「鳴くニワトリ」の玩具を作り、フリクション・ドラムの楽しさを味わっていただいた後、郷土玩
郷土玩具の鳥たち
具のフクロウ笛や鳩笛、カッコウ笛、バードコール、鳥の水笛、尾舞鳥などをそれぞれの手に渡して、発音玩具による即席演奏会を行いました。
フクロウ笛が鳴く夜の静けさから夜明け、バードコールの雀がさえずり、紙コップの鶏が一斉にコッコッコッコ、コケコッコーと時の声を作ります。鳩笛、小鳩笛、カッコウ笛などが鳴き合わせをしながら、鳥の玩具による大合唱で盛り上がり、また順番に静かになって夜のフクロウ笛がホウホウと鳴いて終わる演奏会です。郷土玩具の音色をこうして盲学校の皆さんと楽しめたことが非常にうれしく、私たちにとって深く胸にしみる体験でした。

日時を決めて開催している展示解説会では、ぶんぶんゴマやラトルウォッチ、ローカストシンガーなど、「鳴り物~noisemaker~」として分類される資料を鳴らしながら、その歴史や文化性についてご紹介するところから始めるのですが、それらの音は解説会に参加下さる皆さんの目を輝かせ、たちまち笑顔に変える力があると感じます。博物館資料ですから、展示品は遊ぶ(=使用する)ためにあるのではなく、保存を目的としたものですが、今も作られている郷土玩具や民芸玩具については、音や手触り、温度や重さなどを五感で知っていただき、現代の暮らしにも取り入れていただく、そのきっかけがつくられたら――と思うのです。

NO. 214
夏への展示替え・その2~KIITOの夏展示~ 

                                                   (2017.6.18  学芸員・尾崎織女) 

麦刈りが終わり、水田が広がる香寺町の風景をあとに、先週は、学芸スタッフ揃ってKIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)で開催中の「TOY&DOLL_COLLECTION」を夏バージョンに展示替えする作業に没頭しておりました。KIITOの夏は、夏の神戸らしく、また子ども達の夏休みに合わせて、「神戸人形展」と「世界の乗り物玩具展」をご覧いただきます。

世界の乗り物玩具コーナーの展示ケース天井には、雲に見立てた縮緬の白生地を四海波のように飾り付けました。1995年、日伯修好100周年記念行事の一環でブラジルの三都市を巡回する「日本の伝統玩具展」を体験させていただいたことは私の人生の一大イベントの一つなのですが、クリチーバ市の会場を担当された造作デザイナーが広い会場を優しくまとめるためにと提案して下さった絹織物の飾り付けに感動し、それがずっと心に残されていました。いつか玩具展で羽衣のように縮緬の反物をつかってみたいと思い続けていたことが、本当にささやかなのですが、今回叶えられてとても嬉しいです。
「世界の乗り物玩具」のコーナー  1995年ブラジル・クリチーバでの「日本の伝統玩具展」会場風景
神戸の皆さんをずいぶんお待たせして6月14日にオープンした神戸人形展―――こちらのコーナーには、明治中期の創始期から現代まで、300点の資料がずらりと登場しました。その昔、神戸港から海外へと旅立ち、流転を経てまた神戸へと里帰りした品々、懐かしきポートピア’81時代の品々が豊かに並んでいます。何度かの廃絶危機を乗り越え、今に受け継がれた神戸人形のユニークきわまりない歴史と造形感覚をたっぷりお楽しみいただけると思います。彼らをよく知る方々と特別の出会いを果たしてくれるのではないかと期待しています。神戸人形にまつわる思い出話なども来場者からお聞かせいただけたら嬉しく思います。
歴代の神戸人形がずらりと並んでいます
夏の展示をオープンさせたあと、神戸人形の作者であるウズモリ屋・吉田太郎さんご夫妻の工房をお訪ねしました。6月25日の午後2時か
神戸人形製作中の吉田太郎氏
ら、KIITOの「TOY&DOLL COLLECTION」で開催する講座をどんなふうに進めようかという打ち合わせもかねて。吉田さんご夫妻とお話ししていると、歴代の神戸人形の姿形や文字資料からのみ接している私どもとは違って、材質や彩色方法やからくりにおける特徴などを手掛かりとして、“つくる”側の視点から明らかになる世界があるのだと気づかされます。人形劇美術を専門とされる吉田太郎さんならではのアプローチがとても面白く、25日は内容の豊かな講座が開催できそうです。
当日は、神戸人形の部品や製作過程、形決めに欠かせないゲージなどもお持ちいただきますので、完成された品々のバックヤードを感じていただけると思います。6月25日(日)、午後2時からの「神戸人形講座」――ぜひご予定くださいませ。吉田さんの誠実なお人柄と神戸人形の魅力に接していただけると思います。


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