NO. 240
見て知って、作って遊んで、おもちゃの楽しみ再発見
                                       (2018.1.19  学芸員・原田悠里)
新しい年を迎え、皆さまにはますますご清祥のことと存じます。本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。

今週は館内見学、おもちゃ作り、伝承遊びと3日間を通して香呂小学校の1年生との交流を楽しみました。小雨のふる中、学校から歩いて見学に訪れてくれた70名の1年生。館長の説明と、コマさばきを見たあとは、ワークシートを使ってレッツ見学!4~5人の班にわかれて、1号館から6号館をめぐる子どもたちは目は好奇心いっぱいです。ワークシートの内容は、現在の展示内容に合わせて、1号館「世界の伝承玩具」から、世界のけん玉からお気に入りを絵に描いてもらったり、6号館「世界のクリスマス」でチェコのパン細工のオーナメントを探して、素材をあててもらったり、常設展の4号館2階では、各国で作られている「ついばむ鶏」を探してもらったりと小学校低学年を対象に、展示室も多く、資料も多い当館で、モノをじっくり見て、博物館を楽しむことを知ってもらうために、作成したものです。
ワークシートは見開き4ページ5問です
6号館で子どもたちを観察していると、写真と同じ飾りを見つけるのも、なかなか大変です。そりゃそうですよね、70本以上のツリーの中、太陽や天使のモチーフはたくさんありますし、気になる飾りやおもちゃもあるので、たどり着きそうでたどり着きません。子どもたちの興味もさぐりながら、ちょっとずつヒントを出してお目当ての資料へと導いていきました^^素材もまずは資料を観察して、わからなかったら、博物館で展示しているモノにはその名前と何でできているか、名札がついてるよと、キャプションの見方も伝えます。
見つかった!わかった!パンや!見つかったときの閃きと、答えが解けたときの喜びを子どもたちの素直な反応は、
こちらも忘れかけていた好奇心を思い出させてくれます。
翌日、今度は館長と香呂小学校へ。体育館で70名の子どもたちが館長を囲んでの凧作り教室です。折り紙に厚紙の凧骨をつけてできるとても簡単な凧ですが、よく揚がるので、当館人気のおもちゃ作りのひとつです。角を切る、顔を描く、凧骨をちょうどいい場所に貼る、凧にするための大事な工程には、工作の基本がつまっています。穴に通して結ぶのが一苦労、それでもみんな満足のいく凧ができあがり、運動場で思いっきり自作の凧あげを楽しみました。
 凧作りと運動場での凧あげの様子
そしてこの日はもう一人、凧名人のTさんもゲストとして登場され、連凧やだるまや鶴を描いた大きな凧を、子どもたちに見てもらおうと持ってきてくださっていました。Tさんは、当館と姫路市が共催で2012年まで38年間行っていた全国凧あげまつりの常連さんだったこともあり、館長とも旧知の仲です。40枚の連凧が勢いよく揚がり、1年生、見学にきた2年生の大歓声があがったのもつかの間、15分ほどたつと、風がやんでしまいました。「風よふけ~!」と皆で祈りましたが、空は穏やかな晴れ間をのぞかせるだけ。あっという間に終了のチャイムが鳴ったとたん、また強い風が吹き始め、最後にもう一度連凧をあげることができました!遊びたい時にいつでも遊ぶことができるおもちゃもあれば、凧のように思い通りにいかない、自然の力を待つ時間も遊びのひとつだと思います。風がやんでしまい、「大きな扇風機があればいいのに~」と退屈気味に言っていた子どもたちも、最後は「風や!いまや!」と待ったからこその楽しさを知ってもらえたのではないかと思います。Tさんは「凧あげはだいたいそんなもんや。またあげにきたるよ」と笑顔で帰っていかれました。
悠々とあがる連凧
さらに今日19日は、香呂小学校のオープンスクール、「昔あそびを楽しもう」が行われ、お手伝いに行ってきました。1年生の祖父母の方々が竹とんぼ、コマ、羽子板、あやとり、おはじき、お手玉、カルタ、だるま落とし、ヨーヨーなどの伝承玩具を子どもたちに教えながら一緒に遊ぶ恒例行事です。祖父母の方々にまじり、子どものころ学童保育で伝承玩具を遊びつくしたわたしもヨーヨーの担当として子どもたちと楽しみました。
ヨーヨーはハイパーヨーヨーやプラスチックの巻き取りやすいヨーヨーでなく、木のシンプルなヨーヨーなので、うでのスナップ加減でヨーヨーが傾いたり、糸を巻き上げる力が弱くなるとすぐにとまってしまいます。コツをすばやくつかむ子もいれば、なかなか思うようにできない子も。一緒に手を持って糸を巻きあげる感覚を知ってもらいながら、子どもたちに教えていると、自分自身がどうやって遊びを覚えてきたのかを思い出すきっかけにもなりました。伝承玩具の多くは、ちょうどいい加減を身体で覚えるものが多く、その適当さは何回も何回も練習して、毎日遊ぶ中で工夫して自然に身についていくものです。そしてシンプルな作りや遊びだからこそ、基本のかたちからいろんなルールや独自の遊びが生まれてきます。今日の行事が昔遊びという一度きりの体験としてではなく、毎日の遊びと結びつきながら、新たな伝承玩具の世界が生まれるといいな~と感じました。

ヨーヨーで遊ぶ子どもたちと伝承遊びのプロたち

NO. 239
クリスマスプレゼントは経木モール!?&よいお歳を^^
                                       (2018.12.25  学芸員・原田悠里)
○みなさまメリークリスマス~♪
34回目を迎える玩具博物館の冬の特別展「世界のクリスマス」ですが、わたしとしては初めての玩具博物館でのクリスマスシーズン。ワークショップ絵本朗読会展示解説会と、突然のサンタクロースの訪問(!?)と、「世界のクリスマス」をめぐる当館恒例の12月の日々を来館者のみなさまと過ごすうちに、あっという間にクリスマス当日の朝を迎えました。
サンタクロースが玩具博物館にやってきた~!
◎さて8月の学芸室だよりでお届けした「経木モール」を覚えていらっしゃいますでしょうか。日本製クリスマス飾りのはじまりとされるもので、明治30年代後半から製造され、主にアメリカを中心に海外に輸出されていたものです。当館はこの「経木モール」の実物を収集できておりません。同じく経木モールについて、調べられている神戸芸術工科大学の相澤孝司先生、実際に作られていた柏原町や神戸産業さんにもお伺いし、貴重なお写真を拝見することができました。しかし、実物にお目にかかることはできず、改めて日本でのクリスマスの広がりを探るべく、尾崎学芸員とともに調査を進めるなかで、この経木モールの実物を確認したい思いでおりました。
 ところが!今週さる筋から、経木モールではないかというものを館長と館のスタッフが見つけ、なんと昨日12月24日に当館の資料として収蔵することができました@o@!!
さらに赤、緑、黄?(白木にしては黄色いような気もするので、染色されているのではと)の3色セット!

経木モール!& 経木モールと
昭和20年代製のオーナメントのクリスマスツリー

 長さが4mほどあり、幅は1㎝です。パッと見た感じでは、たわしのようで、素材もあまりにも細くて経木製とはわかりません。よく見ると、1㎝の長さで1mmにも満たないほどの幅の経木が連なっていて、中心に糸があることがわかります。経木は5mmや1cm幅でじゃばらのようになっている箇所もありました。神戸会長から、「細い経木を並べて、縦の中心を固定して、ねじると経木が裂けてさらに細かくなってモールになる」とお聞きしたので、そのような製造方法で作られたものかもしれません。
中心に白い糸があり、ねじっている様子がわかります。

 産地や年代を特定することが難しいのですが、今回、メイドインオキュパイドジャパン(占領下の日本製で、昭和22年~昭和24年の輸出品にはオキュパイドの表記が義務化されていました)というスタンプが押されたツリー飾りとともにこの経木モールが見つかったため、おそらく戦後に作られたもので、昭和20年代製のものではないかと考えられます。夏に聞き取りをさせていただいた神戸産業の神戸会長の、プラスチックが導入されると経木製のものは瞬く間に作られなくなったというお話からも、戦後まもなく作られたものではないかと考えられます。
Made in occupied Japan (占領下の日本製)
のスタンプがある張子のベル


 1924(大正13)年にアメリカの雑貨店から出されたクリスマス飾りのカタログに掲載されている「Popular Japanese roping Green or Red」という商品にも酷似しています。ガーランドではなく、ロープと表現され、まさにロープの束のように描かれていた商品を見て、これがモールかな?と思っていたのですが、比べてみるとそっくりです。
1924年のアメリカの雑貨店のクリスマスカタログ

 イブに収蔵できたこともあり、クリスマスプレゼントのようで、早速に資料登録の後、「世界のクリスマス」の日本のコーナーでご紹介しています。昭和50年代以降のツリー飾りで彩られたツリーの中に、経木モールと占領下の日本製のツリー飾りが入ると、日本のコーナーもぐっとクラシックに見えます。

 年が明けましたら、実際に経木モールの生産に携わっていらっしゃった神戸産業さん、そしてお祖父さまの経木加工工場で子どものころに経木モールを見られた柏原町のT氏にも今回収集した経木モールを見ていただこうと思っております。

「世界のクリスマス」日本のコーナー

◎さて2018年も残すところわずかとなりました。本年も日本玩具博物館を見守り、活動を支えてくださってありがとうございました。2019年は平成が終わり、玩具博物館は開館45周年を迎えます。玩具の世界も大きく変化した平成時代ですが、おもちゃや遊びは子どもにとって楽しくて、心の成長にかかせないものというのは、いつの時代も変わらないのではないかと思います。新たな元号を生きるみなさまに、玩具博物館がより一層喜んでいただけるよう考えてまいりたいと思います。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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