NO. 227
おもちゃ学事始め
                                  2018.4.17 学芸員・原田悠里)
学芸室からこんにちは。昨年の神戸・KIITOでの館外展を経て、今年から姫路の本館でお世話になることになりました、原田悠里(はらだゆり)です。新人学芸員として、日々奮闘しております。そんな学芸員の仕事の様子もちょくちょくとみなさまにお伝えしてゆけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、4月です。春爛漫の館に京都光華女子大学こども教育学部、79名の新入生のみなさんがお越しくださいました。学部のオリエンテーションの一環ということもあり、事前に先生方とも打ち合わせをさせていただき、玩具博物館では、自由見学とともに子ども教育学の視点も入れた、おもちゃの世界へのご案内を提案させていただきました。
まず、79名の大人数なので、①1号館、2号館、3号館の見学、②4号館、6号館の見学、③「館長のおもちゃづくり講座」と3つのグループに分かれて、順次交代しながら、館内を見学。その際①、②の見学では、少しお話をしながら「おもちゃ学事始め」と題したワークシートに5つの問いを用意しました。例えば、問1は、「車輪のついたおもちゃには、押して遊ぶものと引っ張って遊ぶものがありますが、それぞれの特徴からあなたならどちらを小さな子どもに選びますか」、と現在1号館で開催している世界の乗り物玩具の中から実際に玩具を取り出しながら尋ね、問3では、プレイコーナーで遊びながら、「2歳から5歳ぐらいの子どもたちが遊び始めたら止まらない、鉄琴がついたドイツのクーゲルバーン(玉転がし)の魅力は何でしょうか」と考えていただきました。
「ハイハイの子には押す方がいいけど、立つようになったら引っ張る方がいい」、「引っ張る方が一緒に歩いている気持ちになる」、「玉を穴に入れるのが楽しい」、「音が聴きたくて何度も遊ぶのかな」などと思い思いに答えてくれました。
これらにはいずれにも正しい答えはありません。「おもちゃ」を身近な視点(子ども教育)から新たに捉えてもらえたらという想いと、必ずしも決まった答えにたどり着く必要がない学びを大学では大事にしてほしいという考えから、尾崎学芸員とともにこのようなワークシートを作成しました。

館長のおもちゃづくり講座 2号館でいろいろなこままわし。どのこまがいい?
大学に入学して10日ちょっと。大学生活への期待に胸膨らませている学生さん、まだまだふわふわと心が浮き立っている学生さん、子どものようにおもちゃではしゃぐ学生さん、と、いろいろな表情が見えましたが、答えのない問いに接し、一瞬目を見開いた彼女たちに、少しばかり人生の先輩として、大学生活の中で、またそこでは見つからなかったならさらに、社会に出た時にでもそれぞれに答えを出していただけたらとお伝えました。

さぁ!わたしも日本玩具博物館に来て、今年から本格的なおもちゃ学事始めです。どんな視点からおもちゃをのぞいてみようかしらん。

見開き2ページの「おもちゃ学事始め」表紙と裏表紙 5つの問いを用意しました。



NO. 226
新しい季節~世界の乗り物玩具展より~  
                                  2018.3.18 学芸員・尾崎織女)

館の庭には空に山茱萸、土佐水木、杏、馬酔木が満開。地には菫や水仙の花盛り。その間を様々な種 類の椿が華やかで、絵の具をひろげたパレットのよう…。
―――燕の訪れより早く黄水仙の咲き出でて、三月の風をとりこにする(ウィリアム・シェイクスピア)
―――今日は、そんな詩がふいに想い起されるような甘い風のなかで黄水仙が揺れていました。
「世界の乗り物玩具展」展示風景

3月3日にオープンした「世界の乗り物玩具展~陸海空の楽しい乗り物~」は、船、馬車や牛車、機関車、ヘリコプターや飛行機、乗用車、トラックやトレーラー、消防自動車など、陸海空の代表的な乗り物玩具を一堂に集め、「A・船の玩具」「B・古い時代の乗り物玩具」「C・レールを走る車」「D・空を飛ぶ大きな翼」「E・道路を走る車」「F・働く車」の6つのグループに分けて展示しています。乗り物玩具が行進しているような展示風景は、小さい子どもたちだけでなく、大人の方々にも楽しんでいただけてい様子です。民族的な造形表現が面白かったり、インテリアとして身近に置きたいようなデザイン玩具があったりするのですから! 
展示には、小さな子どもたちにも親しんでもらえるようにと、列車の玩具の下に色画用紙の線路を敷いたり、自動車が走る道路に見立てて横断歩道を作ったり、工事現場の風景を模したり、ちりめんの反物を雲に見立てて展示ケースの天井から垂らしてみたり……と遊び心を盛り込んでいます。今日も展示室では、乗り物大好き!という男の子がお母さんと一緒に「わぁ~!このおもちゃで遊びたい~!」とスウェーデンのレールセットをキラ
キラした目でみつめる素敵なシーンに出あい、嬉しくなりました。


 レールセットをみつめる男の子とお母さん
楽しいデザインの展示解説パネルです!
また今回は、やわらかい展示をつくりたいと新人学芸員の原田悠里にパネル&キャプションのデザインを任せました。果たして、クレヨンで自由に描いたような、乗り物たちが口々にしゃべりだしそうな、生き生きしたパネル&キャプションが出来上がりました! 写真ではわかりにくいのですが、展示品とよくマッチしてとても楽しく、ご来館の皆様には、微笑みながらパネルの細部にもよく目をとめて下さっています。
原田学芸員です。どうぞよろしく!

原田学芸員は、昨年一年間、神戸開港150年記念展として神戸市とのコラボレーションで実現した「TOY_&_DOLL_COLLECTION」展会場(デザイン・クリエイティブセンター神戸)の学芸業務を一生懸命勤めてくれましたので、神戸の展示会場へお越しくださった方々にはすでにお馴染みのことと思います。博物館資料に接する視点も素晴らしく、日本玩具博物館に若々しいセンスとこれまでとは違った新たな彩りを加えていってくれることでしょう。企画をまわしていくためには、9万点の所蔵資料と仲良しにならなくてはなりませんので、常設展のケース内の資料整理もかね、今、勉強しながらキャプション作成などの仕事に向かってもらっている最中です。今後、「学芸室から」のページにも、彼女からの便りをどんどん掲載していきますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

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