NO. 214
夏への展示替え・その2~KIITOの夏展示~ 

                                                   (2017.6.18  学芸員・尾崎織女) 

麦刈りが終わり、水田が広がる香寺町の風景をあとに、先週は、学芸スタッフ揃ってKIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)で開催中の「TOY&DOLL_COLLECTION」を夏バージョンに展示替えする作業に没頭しておりました。KIITOの夏は、夏の神戸らしく、また子ども達の夏休みに合わせて、「神戸人形展」と「世界の乗り物玩具展」をご覧いただきます。

世界の乗り物玩具コーナーの展示ケース天井には、雲に見立てた縮緬の白生地を四海波のように飾り付けました。1995年、日伯修好100周年記念行事の一環でブラジルの三都市を巡回する「日本の伝統玩具展」を体験させていただいたことは私の人生の一大イベントの一つなのですが、クリチーバ市の会場を担当された造作デザイナーが広い会場を優しくまとめるためにと提案して下さった絹織物の飾り付けに感動し、それがずっと心に残されていました。いつか玩具展で羽衣のように縮緬の反物をつかってみたいと思い続けていたことが、本当にささやかなのですが、今回叶えられてとても嬉しいです。
「世界の乗り物玩具」のコーナー  1995年ブラジル・クリチーバでの「日本の伝統玩具展」会場風景
神戸の皆さんをずいぶんお待たせして6月14日にオープンした神戸人形展―――こちらのコーナーには、明治中期の創始期から現代まで、300点の資料がずらりと登場しました。その昔、神戸港から海外へと旅立ち、流転を経てまた神戸へと里帰りした品々、懐かしきポートピア’81時代の品々が豊かに並んでいます。何度かの廃絶危機を乗り越え、今に受け継がれた神戸人形のユニークきわまりない歴史と造形感覚をたっぷりお楽しみいただけると思います。彼らをよく知る方々と特別の出会いを果たしてくれるのではないかと期待しています。神戸人形にまつわる思い出話なども来場者からお聞かせいただけたら嬉しく思います。
歴代の神戸人形がずらりと並んでいます
夏の展示をオープンさせたあと、神戸人形の作者であるウズモリ屋・吉田太郎さんご夫妻の工房をお訪ねしました。6月25日の午後2時か
神戸人形製作中の吉田太郎氏
ら、KIITOの「TOY&DOLL COLLECTION」で開催する講座をどんなふうに進めようかという打ち合わせもかねて。吉田さんご夫妻とお話ししていると、歴代の神戸人形の姿形や文字資料からのみ接している私どもとは違って、材質や彩色方法やからくりにおける特徴などを手掛かりとして、“つくる”側の視点から明らかになる世界があるのだと気づかされます。人形劇美術を専門とされる吉田太郎さんならではのアプローチがとても面白く、25日は内容の豊かな講座が開催できそうです。
当日は、神戸人形の部品や製作過程、形決めに欠かせないゲージなどもお持ちいただきますので、完成された品々のバックヤードを感じていただけると思います。6月25日(日)、午後2時からの「神戸人形講座」――ぜひご予定くださいませ。吉田さんの誠実なお人柄と神戸人形の魅力に接していただけると思います。


NO. 213
夏への展示替え・その1~世界の民族楽器と音の出る玩具展~

                                                   (2017.6.16  学芸員・尾崎織女) 
「叩く」楽器
初夏と夏が行き合う気候のはざまにあって、6月の学芸室はいくつかの企画展を準備する季節です。まずは6号館に「世界の民族楽器と音の出るおもちゃ」展を。世界の発音玩具コレクションの総覧は9年ぶりです。この間にまた充実を重ねたものですから、見ていただきたい楽器、聴いていいただきたい発音玩具が数限りなくあって、展示品を選びあげるのに四苦八苦。どれもこれも、葦や竹や瓢箪やココナツの実殻、またヤシの葉や麻の繊維や麦わらなど、自然素材から生まれた素朴な楽器ばかりで、ひとつひとつのコンディションと音を確かめながら、展示をレイアウトしていく作業にはたっぷり深夜まで5日間を費やしました。

今回は、「振る」「振り回す」「弾く」「こする」「吹く」「叩く」———音を出す行為による分類展示です。素朴な自然素材の発音玩具や音具を母体として各地に民族色豊かな楽器が生まれ、安定した楽器へと発展していく様子、逆に楽器になったものを真似て玩具が作られていく様子――その双方向の関わりをご覧いただきたく思っています。
                    
例えば、1930年代中国の東北部で盛んに作られ愛されていた「コオロギ」の玩具があります。♪♪キリキリキリ・・・キリキリキリ・・・キリキリキリキリ・・・・・・小さなコオロギをのせた紅い蕪から出ているコウリャン片を持って細かく左右に動かすと、虫たちが羽根をこすり合わせるような音が響きます。コウリャンの太い茎の表面を薄く切り出して細い弦とし、その弦と交差させるように別のコウリャン片を差し込んで楊枝で止めると、そこに松脂をつけます。キリキリと鳴くコオロギの音は、松脂をつけた部分がこすれる音なのです。「切り出し弦」と「松脂」を利用した“こする”発音玩具は、たとえば胡弓(胡琴)のような、“こする”楽器の母体ともなったと考えられます。そうして、いったん楽器が完成されると、その楽器を真似てかわいらしい玩具が誕生するのです。
中国東北部の民間玩具・鳴くコオロギと音を出す部分 インドの弓奏楽器・ラバンハッタを真似た発音玩具
展示室には、アンクルンや親指ピアノ、エクタールやマラカスなど、自由に手にとって音を楽しんでいただく楽器を設置しています。ご来館の方々が思い思いにリズムやメロディーをつくり、それが即興の合奏に発展したりする様子が日々、繰り広げられていてとても楽しい6号館です。音を聴いていただく解説会も開催してまいりますので、時間を合わせてお越しくださいませ。


 

         学芸室2017前期 学芸室2016後期  学芸室2016前期 
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学芸室2012前期 学芸室2011後期 学芸室2011前期 学芸室2010後期 学芸室2010前期 学芸室2009後期 学芸室2009前期
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