NO. 208
神戸開港150年記念・神戸港と神戸文化の企画展―神戸 みなと 時空―
「TOY & DOLL COLLECTION」展
                                           (2017.1.19  学芸員・尾崎織女) 
新しい年を迎え、皆さまには清々しく、日々の暮らしやお仕事を始められたことでしょう。
日本玩具博物館は今年、神戸開港150年を記念する神戸港と神戸文化の企画展にご協力して、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)にて「TOY&DOLL_COLLECTION」展を開催いたします。会期は1月25日から12月28日、ほぼ一年に亘って開催すること、また四季折々の展示替えも合わせると、総数3000点を出品することから、去年夏頃より、時間をかけ、少しずつ準備を進めてまいりました。新春早々、60梱包の展示品を搬出し、1月12日から会場入りして、展示作業を行いました。
シミュレーション写真を参考に展示作業中<日本の郷土玩具>のコーナー <ちりめん細工>のコーナー
デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)は、輸出用生糸の検査場として昭和3年に建てられたゴシック風のレトロな建物で、美術や造形にかかわる催事場としてリノベーションされ、美術工芸愛好者の間で話題のスポットとして知られています。「TOY&DOLL_COLLECTION」展の会場となるギャラリーBは、天井の骨組みや配管設備などがむき出しになったコンクリート床面のフリースペース。今風でおしゃれなのですが、展示ケースも何もなく、そこに小さく繊細な玩具の数々を一年間、安全に展示するためには大がかりな造作が必要でした。会場の造作をご担当いただいたM社のご担当者には非常にご苦労をかけましたが、レトロでモダンな街、神戸をイメージした、それはステキなおもちゃの家を立ち上げて下さいました。
昨年3月に下見したときのKIITO・ギャラリーB 造作後のKIITO・ギャラリーB
展示作業は、玩具博物館スタッフに展示造作会社のスタッフ、神戸市のご担当者、それから、今回、神戸人形の展示や制作販売でご協力をいただくウズモリ屋・吉田太郎さんたちも加わって下さり、まずは解梱作業から――。一点一点確認しながら梱包を解いたら、「世界の船」「神戸人形」「日本の郷土玩具」「郷土のこまと手まり」「日本の近代玩具」「世界の伝承玩具」「ちりめん細工」―――と、コーナーごとに色分けをした展示ケースの中、どんどんと展示を進めていきます。このとき、多くの皆さんにお手伝いいただくため、予めシミュレーション作業をした折の“展示イメージ写真”が役立ちます。

イーゼルに掲示する展示コーナーごとのパネル
さて、今回の展示において、パネルデザインには造作会社のデザイナーHさんがかかわって下さいました。全体にエアメールの封筒をイメージしたパネルには、日本玩具博物館の切手に消印が押されて、この展示が玩具博物館より思いをこめて、この会場へと差し出されたものであることを提示していただきました。展示コーナーごとの解説文の翻訳に当たって下さったのは、我らが“ターニャさん”こと、Tonya=Bamberger氏です。彼女は、玩具博物館がある姫路市香寺町の中学校でALTとして勤められ、また翻訳家を目指し始められた折、インターンシップで玩具博物館に滞在いただき、館内のパネルの英訳に携わって下さった方なのです。日本文化についての理解が深いターニャさんならではの正確で美しい英文とともに、館のコレクションを広くご紹介できること、とても嬉しく思います。

また、「TOY&DOLL_COLLECTION」展のフライヤーのデザインを手掛けて下さったSさんは、現役デザイナーでありながら、博物館学を学びたいと、昨
「TOY&DOLL_COLLECTION」展のオリジナル・フライヤー
年秋、玩具博物館へ学芸員実習に入られた方です。フライヤーの中、神戸港に下り立った紳士淑女は、ロシアのキーロフ市郊外、ドゥイムコボ(ディムコボ)村の土人形。“太陽をたたえる春の祭り”などで売られただけあって、明るさに満ち溢れた造形です。この土人形のちょっぴりレトロでポップな感じが展覧会イメージに通じると、フライヤーのデザインを手掛けて下さったSさん。玩具博物館への愛情たっぷり、今回の展示についてもよく理解下さり、心のこもったお仕事をして下さいました。

これらはほんの数例で、これまでに私たちが出会った“宝物”とでもいうべき方々のた
「わがみなと町の神戸人形」の動きをチェックするウズモリ屋・吉田太郎さん
くさんの才能や思いを集めて、大きな展覧会をもてること、玩博物館の43年の歩みにふさわしいこと!と非常に意義深く感じています。1月18日には、オープンより一週間早く、報道関係者や神戸の文化関係各位にご覧いただく内覧会が開催されました。会場では、今回の展示のためにウズモリ屋・吉田太郎さんが制作された大がかりな作品「わがみなと町の神戸人形」のユーモラスな動きがご参加者を笑顔に変えていました。

あと少し準備が残っていますが、1月25日のオープンが楽しみです。どうか皆さま、一年にわたる神戸での展覧会をよろしくお願い申し上げます。
http://www.kobeport150.jp/event/e170100.html

展示場ゲートの様子 展示室の様子
   ※「シルクハットの紳士」は神戸人形をモチーフに吉田さんが
制作して下さったウェルカムドールです。     

NO. 207
展示解説会
                                 (2016.12.22  学芸員・尾崎織女) 
クリスマス・アドベント(待降節)も第四週に入り、12月4日にお皿にまいた「バルバラの麦」が背を伸ばし始めました。世界のクリスマス展会場では、今年も土日などを中心に展示解説会を開いています。先日は、ルーマニア出身の若いご夫妻がご参加下さっていたので、ルーマニアのクリスマスの祝い方を時折、お訊ねしながらお話を進めました。12月6日、彼らの町にプレゼントを運ぶのは「聖ニコラエ」ですが、イブの夜にもサンタクロースに当たる人物「モシェ・クラウチン(=ミスター・クリスマス)」が子どもたちを訪問するそうです。ドイツでは聖ニコラウスと「ヴァイナッハマン(=ミスター・クリスマス)」、スウェーデンなどではトムテやユーレボックと「ユーレマン(=ミスター・クリスマス)」―――ヨーロッパの国々には、伝統の贈り物配達人に加えて、アメリカ合衆国型サンタクロースの影響を受けたミスター・クリスマスがやってくるというわけなのですね。各国のクリスマス飾りの中にもその両方の姿が見られます。

これまで、季節の特別展の会期には、平均5~6回、多い時には15回ほどの展示解説会を行ってきましたが、それぞれの会ごと、参加の皆さんにお話をしてもらいながら、その日、その時、たまたま参集された方々とともに、同じ展示品、同じ話題を囲んで、ともに楽しめる、その時限りのコミュニティのようなものが出来上がった時には本当にうれしく思います。学芸員にとって、展示解説会は来館者と一緒につくる小劇場にも似た楽しみがあると思うのです。

そんないつもの12月を過ごしながら、神戸開港150年を記念するデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)での企画展「TOY&DOLL COLLECTION」の準備も進めています。会場工事の方は、造作のご担当業者の皆さんが完成図のイメージに向かって、着々と内装を進めて下さっています。ギャラリー空間
会場イメージ図
をリノベーションして玩具たちが暮らすいくつかの部屋をつくっていくという感じでしょうか。

館内ではスタッフたちと展示ケース内の展示台作りに勤しんでいます。これらを使うことでケース内空間にリズムと立体感が生まれるし、展示物をケアする場合においても、私たちの玩具展示にはこれらのやわらかい台が必要です。展示コーナーごとに彩りを設定していますので、展示台もそれに合わせて、草色、黄緑色、水色、黒色、金茶色、灰梅色……と色を揃えて、オープン時だけで500個を作ります。実はこの展示台はすべて菓子箱を包んだもの。様々な大きさの菓子箱を整形しクロスを切って貼り付けていきます。こうした地道な作業にも心を籠めることで、展示空間は温かいものになると思うのです。
展示台作りの様子
KIITOでの展示は年明けて1月25日オープン。どうぞご期待下さいませ。http://www.kobeport150.jp/event/e170100.html


          学芸室2016後期  学芸室2016前期 
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