NO. 254
4号館常設展示室、四季折々のスポットライト
                                              (2019年11月7日 学芸員・尾崎織女)
色づき始めた庭にツワブキやノコンギクが静かに開花し、秋も深まりを見せ始めました。11月に入り、ご遠方から「世界のクリスマス展」を訪ねてこられる方々が増え、またキリスト教系のこども園からは、クリスマス文化に触れ合いたいと、たくさんの可愛いお客さまをお迎えしています。クリスマスアドベント(待降節)に向かうこの季節は、展示品と来館者の距離がぐんと縮まっていくようで、展示室にいると私たちスタッフも幸せに満たされます。

さて、この「学芸室から」のお便りで、原田学芸員が折々ご紹介しておりますように、本年度より4号館1階の「日本の郷土玩具」の常設展示室に、季節の移り変わりに合わせていくつかの郷土玩具にスポットライトを当てる小コーナーを設けました。4月から5月には「郷土の金太郎たち」を展示し、6月から7月は「市川流域の七夕飾り」を、8月は夏の夜を彩る「灯籠玩具」、9月は中秋節にちなんで「兎の郷土玩具」、10月は「播州の祭礼玩具」をとりあげました。テーマに沿ってすくいあげた郷土玩具の数点をじっくりみていただこうという企画です。
  *9月「中秋の兎のおもちゃ」 *10月「播州のおもちゃ」

11月は、東京都荒川区で桐塑製の「犬張子」を作り続けてこられた田中作典さんとその作品を展示しています。82歳になる田中作典さんは犬張子を作って65年(荒川区指定無形文化財保持者)。田中さんの犬張子とそのお人柄を愛して、長く交流を続けてこられた山口裕美子さん(私の畏友)から、ぜひとも!とお誘いを受け、去る9月20日、原田学芸員とともに田中さんの工房を訪問いたしました。
田中さんの作品はどの大きさも本当に愛らしい姿です。明治25年頃に、雛人形のまち・埼玉県岩槻にほど近い町で犬を作り始められたお祖父さまから数えて三代目にあたる作典さんは、東京都荒川区で桐塑生地の型抜きによる成形、三度にわたる胡粉塗り、湿らせた布による磨き上げ、そして彩色・・・といういわゆる「張子」とは異なる手法を受け継いでこられました。飾り布を貼る奥さまと向かい合い、来る日も来る日も、一つ一つを丁寧に愛しむように、作り続けてこられた田中さん。ご夫婦の温かさに包まれ、材料について、製作手順について、デザインの始まりについて、種類や注文主や販売先や最盛期や・・・お仕事についてあれこれとお話を伺い、それは本当に得難い時間でした。
 *田中作典さんの工房訪問の様子 (2019年9月20日)
 
今年度で廃業を予定されていると伺い、非常に残念です。お手元で大事になさってこられた抜き型を当館へ寄贈いただきました。この貴重な資料を永く保存し、後世に伝えたいと思っております。ご来館の方々には、4号館常設展示室でスポットライトを浴びる古い桐塑の抜型をぜひ、ご覧くださいませ。木製の枠のなか、黒々と陶器のような犬の型は松脂(まつやに)で成形されたものです。昭和中期の頃より日々、犬の形を生み出し続けてきた抜型の味わい深さにぜひ、目をお留めいただきたいと思います。



NO. 253
*世界のクリスマス「クリスマス・カレンダー」と「ヨーロッパクリスマス紀行」始まりました*
                                       (2019年10月27日 学芸員・原田 悠里)
この度の台風や大雨で被災されたみなさまに心よりお見舞い申しあげます。被災地のみなさまの心身の疲労を思うと言葉になりません。甲信越、関東、東北地方はこれから寒さも厳しくなる中で、一日も早くみなさまが元の生活に戻れますように願っております。

★館の庭の木々も色づき文化の秋も深まる行楽シーズン、当館も観光やツアー、校外学習などありがたいことに多くの来館者をお迎えしています。そんな中、6号館の世界のままごと展を撤収し、連日連夜1週間かけて、世界のクリスマス展が完成しました。今年で35回目となる世界のクリスマス展。世界のクリスマス展は、クリスマス飾りを通じて世界各地のクリスマス風景を描き、クリスマスを彩る造形からこの行事の意味を探る展覧会です。当館ではドイツを中心にヨーロッパ各地、アジア、アフリカ、中南米と世界各地のクリスマス資料約3000点を収蔵しています。


今年は、初めて「クリスマス・カレンダー」というコンセプトで西側の展示室を設えました。クリスマスシーズンはクリスマスの4つ前の日曜日、アドベント(待降節)から始まります。クリスマスシーズン中にはキリスト教の聖人にまつわる祝日がたくさんありますが、ヨーロッパの子どもたちがとくに待ちわびるのは、12月6日の聖ニコラウスの祝日。ドキドキしながら聖ニコラウスからのプレゼントに期待をこめます。北半球ではだんだんと夜が長くなる中、22日の冬至にむかう太陽を、古代から人々はキャンドルや光のモチーフで元気づけてきました。いよいよクリスマスが近づき、冬枯れの中で生命力を湛える常緑のツリーには、今年の恵みへの感謝や祈りをこめたオーナメントを飾り、クリスマス当日を待ちます。25日、クリスマスを迎え、世界各地のキリスト降誕人形の中央には、飼い葉桶に眠るイエスの人形が置かれます。そしてこの日はサンタさんや各地の贈り物配達人からのプレゼントの楽しみもかかせません。25日を過ぎると、日本ではがらっとお正月の準備になりますが、クリスマスシーズンは新年を祝い、三人の博士がイエスのもとを訪れた日とされる1月6日のエピファニー(公現節)まで続きます。
また、今年はアドベントが始まる前、万聖節、万霊節にかかわる、メキシコの死者の日の祭礼もご紹介しています。
クリスマス・カレンダーを追っていく中で、古代の冬至祭や収穫祭につながる祈りとクリスマスを待ちわびる気持ちが込められた造形や風習の数々が各地で見られます。西室のクリスマス・カレンダーの様子は、クリスマスに向けて少しずつご紹介させていただきたいと思います。
東室は「ヨーロッパのクリスマス紀行」として南欧、東欧、ドイツ、中欧、北欧の地域色溢れるクリスマス風景をご紹介しています。ぜひ秋冬の特別展「世界のクリスマス」へお越しください。
 
12月6日の聖ニコラウスの祝日 冬至に向かう太陽の復活を願うモチーフ 12月25日キリスト降誕 25日の贈り物配達人の姿は各地で様々
★そして今年もクリスマス展に合わせて、解説会、絵本朗読会、ワークショップ行います。
解説会・・・・・・・・・11月24日(日)・12月1日(日)・8日(日)・15日(日)・24日(火)  各回14時半~50分程度
 代表的なクリスマス飾りについて展示室を回りながら、学芸員がご案内します。光のピラミッドや、煙出し人形など、実演を交えた解説会です。
絵本朗読会・・・・・12月22日(日) ①13時30分~ ②15時~
   クリスマス飾りや人形が登場するクリスマス絵本の世界を絵本を倉主真奈さんの朗読によってご案内します。
ワークショップ「卵のサンタクロース」 (要予約)  参加費300円
アメリカの卵型のサンタクロース、ハイチの卵のオーナメントを参考に、展示品の中からお気に入りの贈り物配達人を選んで卵の殻に絵の具で描きます。日本玩具博物館までお電話かFAXにてお申込みください。
日時・・・・・・・・・12月1日(日) 13時~ 20名程度
           12月7日(土) ①11時~②14時~各8名

みなさまのご参加ぜひお待ちしております*^^*

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