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館長室から 2012.03.29

貴重な資料が続々と当館に

桜の便りが聞かれる季節になりましたが、ひと足はやく、当館4号館2階北側の窓の外に枝が広がるサクランボが満開になりました。昨春のブログでもお知らせしましたが、当館の庭にはこの季節、花桃、利休梅、八重桜など春の花が次々に咲き競い、4月末まで「花の宴」が始まります。特に今年は椿の花が見事です。椿は苗木から育てたのが大きく育ち、咲き競っています。本日、当館や周辺の椿の数を数えたところ100本を超え、その内の半数余りが花を付けています。20年余の歳月を経て椿の園が誕生しました。1号館前の玉の浦、岩根絞りが咲き始め、孔雀椿や月光などの名花はこれからです。

サクランボが満開です。

春休みに入り大勢の家族連れで賑わう毎日ですが、特に開催中の企画展「季節を彩るちりめん細工」を見学のため、遠方から団体でバスを仕立ててご来館くださる方が増えています。昨日は高知から3時間余りかけて来て下さいました。1週間前にも愛知県瀬戸市から団体でお越しになりました。そして皆様「本当に来てよかった」と喜んで下さいます。特別展の「雛まつり~江戸と明治のお雛さま~」も大好評です。豪華な明治時代の御殿飾り雛の数々に素晴らしいと賛辞の声が聞かれ、関東圏などの遠方の方も目立ちます。
昨年の12月1日に出版された日本ヴォーグ社の『ちりめん細工つるし飾りの基礎』は手工芸の世界でのベストセラーとも言える売れ行きです。本日、5刷目の再版が決定したと嬉しい連絡がありました。「作り方が解りやすい」「見るだけでも楽しい」と嬉しいお言葉を再三いただきます。

<ブログ 「学芸室から」2012年3月24日>で尾崎学芸員も報告していますが、このところ、思いがけない貴重な資料の受け入れが続きます。90年ほど前の源氏枠飾りと檜皮葺の御殿飾りのお雛様は、源氏枠飾りは大阪製と思われる高級品であり、檜皮葺の御殿飾りは大木平蔵(丸平)製の当時の最高級品です。ほかに江戸の「古今雛」の様式を京へ伝えた人形師として名高い玉翁の内裏雛を購入することが出来、今春、当館の雛人形コレクションは大きな進展を遂げました。

大正時代の豪華な御殿飾り

ただ、以前から申し上げていますように増え続ける資料で収蔵庫は完全にパンク状態です。頭を痛めていましたが、幸いにも転居され空き家になった近くの住宅を仮収蔵庫として確保できました。暫くは安心ですが、4月には中国の民間玩具収集家として著名な名古屋の伊藤三朗氏のコレクションを受け入れます。託された貴重な資料の数々をどのようにして後世に伝えるか、今後に大きな課題を抱えています。

(館長・井上重義)

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