*新潟県糸魚川市の根知谷に伝わる「七夕の綱飾り」を寄贈いただきました | 日本玩具博物館

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2025.08.04

*新潟県糸魚川市の根知谷に伝わる「七夕の綱飾り」を寄贈いただきました

郷土玩具文化研究会で長くご活動され、伝承の七夕行事を愛しておられる笹部いく子さんが、新潟県糸魚川市根知に伝承される「七夕の綱飾り」を当館へお贈りくださいました。

ご寄贈いただいた根知谷の「七夕綱飾り」をランプの家に展示しました


日本海にそそぐ姫川に、JR大糸線「根知」付近で根知川が合流する地点から上流に向かって「根知谷」がひろがり、糸魚川から松本へと「塩の道(千国街道)」が続きます。その
根知谷のいくつかの地区に藁綱を道路の両側に立つ電柱から電柱へとつなぎ、花嫁行列を表す人形や輪つなぎ、「ヒョーチュー」と呼ばれる綿入れの三角形をつないだものなどを並べつるす「お七夕」の綱飾りが伝えられています。
郷土玩具文化研究会の石沢誠司先生のご案内で、笹部さんたちご一行がこの七夕の綱飾りを見学されたのは平成11年のこと。合計7地区の綱飾りをご覧になられ、地元の方々への聞き取り調査などもなさっておられます。7月7日から一ヶ月に亘って行われる綱飾りは、かつては中学生や高等科の子どもの指導や仕切りによって、男子と女子それぞれの役割を分担しながら作るものだったそうです。8月7日にはすべてを下ろし、「オタナバタサマィーノー マタライネンゴザイノー カイモチカッテゴザイノ ゴザイノー」と歌いながら根知川へと流されるということです。根知谷の七夕行事について、石沢誠司先生の著書『七夕の紙衣と人形』(ナカニシヤ出版・2004刊)で詳しく解説がなされていますので、ご興味をおもちの方はぜひ。

笹部さんからお贈りいただいた七夕の綱飾りは、山口地区の女性4名が研究会からの見学者のために作られた10組のうちのひとつで、素朴で温かい雰囲気をもつヨメサンとムコサン、コシモト、見物人を表す人形と三角をつないだ「ヒョーチュー」、輪つなぎがさがっています。

この珍しい根知谷の七夕綱飾りは、8月8日までランプの家に展示しています。9日から31日までは、6号館展示室でご覧いただけます。笹部さんは寄贈されるに当たって、「多くの方々にご覧いただいて、日本各地に根付く七夕行事の奥行の深さを知ってもらいたい」との思いを話されています。そのお気持ちに心より感謝申しあげます。