日本玩具博物館の魅力を発信!2025~当館で「地域実習」を終えた学生たちからのメッセージ・その4 | 日本玩具博物館

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学芸室から 2025.12.25

日本玩具博物館の魅力を発信!2025~当館で「地域実習」を終えた学生たちからのメッセージ・その4

12月9日から5日間の「地域実習」を終えた青山学院大学のコミュニティ人間科学部の3年生の学生さんたちからのメッセージ・その4をご紹介します。写真のアングルも新鮮です!(学芸員・尾崎)

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日本の伝統と季節を取り入れた博物館

小元 寿美(おもと ことみ)

日本玩具博物館の魅力は、建物や庭といった場所だと思います。どこの地域に行っても開発が進むことで同じような現代的風景が並び、博物館も近未来的な建物が目立ちます。しかし、日本玩具博物館は季節の変化を取り入れることを大切にし、日本の伝統的な風景を保っていると感じました。

実習初日、自然の中に建つ真っ白な建物がとても印象的でした。これは、白壁土蔵作りという耐水性と耐火性に優れた日本の伝統的な建築方式で、地元の宮大工によって建てられました。また、瓦は世界遺産・姫路城と同じものを使っており、井上館長のこだわりがたくさん詰まっています。正面の1号館からはじまり、収集品の増加に伴い増館を続け、現在では6号館まであります。

特に、5号館・ランプの家は、その名の通りランプがあり、縁側から見える中庭はとても素敵で、博物館にも関わらず本当の家のような落ち着きがありました。ここは雛祭りや七夕飾りなど季節ごとの行事の展示がされるスペースで、私たちはお座敷に昭和のクリスマスツリーの展示をするお手伝いさせてもらいました。家と展示が調和した空間ができあがり、祖父母の家のような懐かしさと温かさを感じました。

他にも細かい工夫がそこかしこに見受けられました。6号館へ向かう石畳の道には、甘夏が成っていました。学芸員の尾崎さんによると、これも井上館長の工夫で季節ごとに柿や梅も生り、楽しむことができるそうです。

このように日本玩具博物館は展示品と建物がみごとに調和され、日本の伝統と四季の移ろいを体感しながら玩具文化に触れることのできる場所だと感じました。この場所で来館者は、ワークショップや展示を通じて楽しい時間を過ごします。現代的な施設では得られない懐かしさと温かさを提供し、玩具を守るだけでなく、日本文化の記憶を未来へつなぐ役割を果たしていると感じました。玩具の展示が主役でありながら、その価値を守り引き立てる建物や庭の存在も大きな魅力です。


日本玩具博物館の“三館”が伝える遊びの歴史

吉田 将太(よしだ しょうた)

今回は、50周年を迎えた日本玩具博物館を訪れたので、その魅力について書いていきたい。日本玩具博物館は現在1号館から6号館まであり、時代やテーマごとに多様な玩具が展示されている。今回はその中でも、特に印象に残った1号館から3号館までを中心に紹介する。

玄関の引き戸を開けると、そこが1号館です

まず訪れたのは1号館と2号館。ここでは日本の近代玩具の歩みがテーマとなっており、明治時代から平成時代までの玩具を見ることができる。1号館ではキャラクターものやプラスチック製のおもちゃなど、どこか懐かしさを感じる展示が多く、「自分や親世代が遊んでいた時代」に近づいてきた感覚を覚えた。玩具が単なる遊び道具ではなく、流行やメディアと結びつきながら発展してきたことがよく伝わってくる。続く2号館では、明治・大正・昭和初期の玩具が展示されており、西洋文化の影響を受けつつも、日本独自の工夫が加えられている点が印象的だった。

2号館―「近代玩具の歩み1ー明治・大正・昭和ー」と題する常設展

最後に訪れた3号館では、「日本の伝統手芸」をテーマに、ちりめん細工や手まりなどが展示されている。館内に入ると空気が変わったように感じ、派手さはないものの、一つひとつに込められた丁寧な手仕事から、日本の伝統や器用さを強く感じることができた。

3号館―「日本の伝統手芸」の世界を常設展示


日本玩具博物館は、玩具を通して時代の流れや人々の暮らし、価値観の変化を感じ取れる貴重な場所だった。特に1号館から3号館を巡ることで、遊びが社会や文化と深く結びついてきたこと、そして手仕事によって受け継がれてきた日本の伝統の大切さを改めて実感した。子ども向けの施設という印象を持っていたが、大人になった今だからこそ、懐かしさや発見、そして学びを感じられる博物館でもあると感じた。姫路を訪れる際には見てほしい。

白壁土蔵造の建物からなる日本玩具博物館

*********学生さんたちのレポート終わり*********

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