「陶器のままごと道具」 | 日本玩具博物館

日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2013年6月

「陶器のままごと道具」

  • 1980年代
  • フランス・ルーマニア・ペルー・スリランカ/陶器

 1号館で「日本と世界のままごと道具」展が始まりました。世界各地、そして各時代、数々の食器や食卓、また調理場を模した小さな造形が作られ、それは子どもたちのままごと遊びの道具であったり、古い時代には宗教的な儀礼に使用されたものもありました。

 実際、日本では、弥生時代の終わりから古墳時代、特に5世紀前後頃の遺跡からは土器のミニチュアが数多く出土します。これらは生産に関わる祭祀(さいし=神や祖先をまつること)の道具と考えられており、古墳時代のミニチュア土器が直接、ままごと道具につながったとは考えにくいことでしょうか。

 そのように古い時代の土器の風情が感じられる世界各地のままごと道具を集めてみました。左上は、フランス・プロヴァンス地方の調理具や食器を真似たままごと道具。右上は、ルーマニア・オルテニア地方の壺を真似たままごと道具。左下はペルー・プカラの町の食器や貯蔵器を映したままごと道具。そして右下は、スリランカの子どもたちのためのままごと道具です。いかがでしょう。それぞれの土地の食器に忠実に作られながら、国境を越えて、共通する造形性を感じていただけるのではないでしょうか。また、これらは時を越えて、紀元前後の世界各地の遺跡から出土するミニチュア食器(一般に祭祀具と考えられています)にも通じるセンスがあふれています。ヨーロッパにおける玩具の歴史書などを紐解いてみると、玩具の始まりの章に、古代遺跡から出土した土製の壺や碗のミニチュアが記され、ままごと道具とのつながりが注目されています。