今月のおもちゃ
Toys of this month
2004年8月
「木彫彩色のゾウ車」
インドやバングラデシュ、スリランカなどの国々では、宗教はヒンドゥー教、イスラム教、仏教と互いに異なりますが、ゾウは、いずれの国でも神聖な動物として信仰と敬愛を受けてきました。南アジア地方の動物玩具の中では、ゾウを題材にしたものが目立ちます。
この作品は、虎車や馬車などとともに1980年代中頃に入手したものです。彫刻刀の跡が残る勢いある造形に、黒、黄、白、赤、緑の彩色の華やかさが存在感を放っています。バングラデシュの人々は、ゾウを描いたり作ったりする時、その形の中に、自然神への尊敬と家族の幸福への願いを込めるのだといいます。