ちりめん細工 | 日本玩具博物館

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ちりめん細工

縮緬(ちりめん)は細やかな「しぼ」をもつ絹織物で、着物の材料として古くから愛好されてきました。江戸時代後半、貴族社会や武家の女性、また裕福な商家の女性によって、裁った後の残り布を利用して、人形や動物、花などをかたどった美しい袋物や小箱が作られるようになります。今日それらを「ちりめん細工」と呼んでいます。

明治時代に入ると、ちりめん細工は女学生の教材として取り上げられ、女学生達は、意匠をこらした作品づくりを競い合いました。ちりめん細工は残り布を大切にする心と、美的感覚、手先の器用さなどを身につける女性の教養のひとつでもありました。
 
しかしその後、生活様式の変化の中で、ちりめん細工は姿を消します。当館は、30余年前より古作品や文献資料の収集を行い、また博物館活動の一環として、展示会や講習会を開催して復興と普及に努めてきました。江戸時代から明治・大正時代にかけての古作品約800点と、当館の復興活動を通して今によみがえった平成のちりめん細工約1000点を収蔵しています。

  • 古作品・江戸文化の薫りを伝えるお細工物

    江戸時代後半、裕福な家庭の女性たちが縮緬の残り布で、花や動物の小さな袋物、巾着、などを作り、香袋や琴爪入れとして用いていました。吉祥文様や唐子、花鳥風月を題材にした袋物や小箱、煙草入れや楊枝入、子ども向けのお守りや玩具など、江戸文化の薫りを伝える数々の作品があります。

  • 古作品・女学生たちのお細工物

    明治時代の女学校では『裁縫おさいくもの(明治42年刊)』、『裁縫おもちゃ集(大正5年刊)』などの教科書を用いて、ちりめん細工が作られていました。当館へ寄贈されたちりめん細工の中には、寄贈者本人が女学校時代や裁縫塾での修行時代に製作したもの、また母親や祖母の形見として保管されていた作品群もあります。

  • 新作品・春のちりめん細工

    春爛漫を彩る花々、そのまわりを鳥や小動物は、ちりめん細工の恰好の題材として繰り返しとりあげられてきました。同じ花でも、花芯を袋に仕立てたり、ガクに内袋を作ったりと製作者それぞれの工夫がこらされ、作品ごとに雰囲気が異なるのも見どころです。また桃の節句に一緒に飾ると嬉しい華やかなつるし飾りも人気です。

  • 新作品・初夏のちりめん細工

    風薫る五月は緑の葉も印象的な花々が人気です。同じ型紙でも花びらの色や柄を変えると異なる表情を楽しむことができます。端午の節句にあたり、子どもの健康と幸福を願った楽しい作品の数々も見られます。

  • 新作品・夏から初秋のちりめん細工

     夏は水辺の恋しい季節です。夏を代表する花々とともに、水生の動物も題材として好まれます。夏の作品には古くから、爽やかな色調のちりめんが使われているのも特徴でしょうか。また、古くは初秋の行事であった、七夕をテーマにした作品には、夏の野菜袋も添えられます。

  • 新作品・秋のちりめん細工

    野山が色とりどりに美しく彩られる季節。実りの秋にふさわしい果実が多く取り上げられます。また、菊花のちりめん細工は重陽の節句には欠かせない題材、大輪の菊花、繊細な糸菊、かわいらしい小菊…と様々な菊花袋が制作されてきました。

  • 新作品・冬から新春のちりめん細工

    新春をむかえるこの季節は、おめでた尽しのちりめん細工が登場します。新たな年の豊穣、夫婦円満や健康長寿など、健康や幸福への願いが込められた作品が目立ちます。また、正月遊びを題材にしたもの、春の訪れを告げる花々や鳥の作品も見どころです。

  • 新作品・つるし飾りと傘飾り

    伊豆の稲取の「つるし飾り」、福岡県柳川の「さげもん」、山形県酒田の「傘福(かさふく)」が復活し、日本三大つるし飾りとして広く知られるようになりました。ちりめん細工の復興に取り組んできた当館では、四季の儀礼や花鳥風月をテーマにつるし飾りや傘飾りの制作も行ってきました。作るだけでなく飾る楽しみ、また、誰かに贈る喜びも提案しています。

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