展示・イベント案内
exhibition秋の企画展 「世界 汽車のおもちゃめぐり」
- 会期
- 2003年9月13日(土) 2003年11月18日(火)
- 会場
- 1号館
「遊びに出でて子供かへらず 取り出して 走らせてみるの機関車」
●明治45年、石川啄木は詩集『悲しき玩具』の中でおもちゃの機関車を登場させています。近代化が進む明治末年にあって、おもちゃの機関車といえば、ブリキ製でしょうか。富国強兵、殖産興業に努めた明治時代の象徴は、煙を吐いて陸を駆けぬける機関車であったともいわれています。鉄道開設という輸送手段の発達は、産業革命がもたらした最大の成果ですが、19世紀から20世紀にかけて登場した汽車は、「暮らしの近代化」をスローガンとして世界各地を駆けぬけました。やがて各地で作られ始めた汽車のおもちゃは、子どもたちの人気をさらい、今もまた、遠くの世界へと夢を広げるカタチとして、世界中の子どもたちに愛され続けています。
●本展では、世界30ヶ国から機関車や列車のおもちゃを集め、お国柄を伝える造形の面白さをご紹介します。また、明治・大正・昭和と続く過ぎた100年間に日本各地で遊ばれた汽車のおもちゃの色々を、時代を追って展示し、時を越えて愛されるおもちゃの姿について考えます。明治時代、鉄道が敷設された頃の『鉄道唱歌双六』や戦後復興期の汽車かばんのおもちゃなど、鉄道にまつわるおもちゃの数々も登場する楽しい展覧会です。
■展示総数 約300点
【世界の鉄道おもちゃのデザイン】
*このコーナーでは、アメリカ、アジア、アフリカ、ヨーロッパの機関車や列車のおもちゃを紹介。そのほとんどが1980年代に作られた木製の民芸玩具、あるいはデザイン玩具です。手で動かすもの、乗って走らせるもの、ゼンマイや電池しかけで動くものなど、走らせて楽しい鉄道おもちゃの代表的な作品を各地から集めて展示します。
●アメリカ………アメリカ大陸では、豊かな森林資源を背景に、大型の木製玩具が数多く作られています。列車の貨物には、材木や樽、動物の姿も見え、車両を連結させたり、貨物を積み下ろしたりして、子ども達は想像の世界に遊びます。
●アジア・オセアニア・アフリカ………アジアやアフリカ地域でも、現在では大量生産のプラスチック製品が市場をおおっています。しかし、一歩踏み込めば、民芸的な世界もまだまだ健在です。ここでは、背の低いタンザニアの機関車、バングラデシュの箱型の大きな機関車など、ユニークなおもちゃの形が見どころです。
●ヨーロッパ………ドイツは木製玩具の宝庫です。またフィンランドやスウェーデンなどの森林王国でも、美しいフォルムのデザイン玩具が数多く作られてきました。列車のおもちゃは、どれも連結部に工夫がみられ、また貨物に見たてて積み木で遊べる楽しいものが目立ちます。南部ヨーロッパのおもちゃはカラフルな色彩と丸く大らかな造形が特徴です。
【日本の鉄道おもちゃの移り変わり】
*明治時代に鉄道が敷かれて以来、汽車のおもちゃは、100年以上にわたって日本の子どもたちに愛されてきました。ここでは、時代を追って日本の鉄道おもちゃを振りかえります。
●郷土玩具………東北地方の汽車は、ロクロを使用して「こけし」の産地で作られています。東北本線が開通したのは、明治20年代のこと。煙をモクモク吐いて弾丸のように突進する汽車は、みちのくに近代化を告げる新時代の使者として歓迎されました。玩具の姿が、その時代感覚を今に伝えています。江戸コマの産地(神奈川県)の汽車の玩具も、あわせて紹介します。
●戦前・戦中………木や土、紙で作られる郷土玩具しか知らなかった日本にも、明治時代中頃になってブリキのおもちゃが、大正時代にはセルロイドのおもちゃが、工場で大量に生産されるようになりました。明治末期から昭和初期にかけて人気のあったブリキや木の汽車を紹介します。
●戦後の復興期………太平洋戦争を終えた昭和20年代に作られた鉄道おもちゃの色々。材料不足もあり、粗末な木や紙製のおもちゃが目立ちますが、子ども達の「ごっこ遊び」を豊かなにする素敵な小道具だったに違いありません。科学学習熱の高まりから、教材的な鉄道おもちゃも数多く製作されるようになっていきます。
●高度経済成長時代………昭和30年代半ば頃から日本の経済成長は加速し、人や物の輸送を担う鉄道が整備されていきます。新幹線の登場のニュースは、おもちゃの世界をも沸き立たせ、その運行に先だって「夢の超特急」の数々が出現しました。レールセットのバリエーションも増え、ゼンマイや電池で動くものなどが工夫されました。
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前の企画展 → 夏の企画展*2003「おもちゃの昭和史」
次の企画展 → 冬の特別展*2004「猿のおもちゃ」