日本玩具博物館の魅力を発信!~当館で「地域実習」を終えた学生たちからのメッセージ・その3 | 日本玩具博物館

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学芸室から 2024.11.25

日本玩具博物館の魅力を発信!~当館で「地域実習」を終えた学生たちからのメッセージ・その3

「地域実習」で当館に滞在された青山学院大学3年生の学生さんたちからのメッセージ・その3をご紹介します。

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地域に開かれた“おもちゃ箱” 日本玩具博物館

仲田 礼(なかだ れい)

日本玩具博物館にて5日間の実習をさせていただいて、真っ先に思うのは、自分の中での“博物館像”が大きく変わったということです。博物館というと、正直なところ「堅苦しい」「静かにしなければならない場所」といったイメージが強く刻まれていました。しかしながら、玩具博物館での体験的な学習を経て、固定観念と化した博物館に対する印象に大きな変化が生じたことを確かに感じています。

実習期間中、井上館長とご家族、尾崎さんや博物館スタッフの方々と来館者、そして来館者同士が交流する姿が多く見られ、大変ありがたいことに私たちも交えていただく場面もありました。私たち学生がワークショップを担当させていただいた開館50周年記念イベントでの、子どもたちの笑い声が常に館内に響いている、笑顔と楽しげな会話の絶えない様子は、これまで“博物館像”とは正反対の印象を受け、居心地の良さを感じる空間そのものでした。そうした心地よさや温かさは、きっと玩具博物館が生み出したご縁と出会いの数々によるもので、博物館が「みんなの想いが集う場、輪がつながる場所」になっているのだと考えます。博物館という施設・機関のあり方に一つの正解はありませんが、日本玩具博物館は地域に根ざした博物館として理想的で、誰もが童心に返ることのできる玩具をコレクションとしている点で、まるで地域に(蓋が)開かれている“おもちゃ箱”のようだと思いました。玩具を通じた交流から、年齢・地域そして国を超えた素敵な輪が広がっていくことの素晴らしさを知ることができました。

私たちが5日間で体験させていただいたことは、ほんの一部に過ぎないかもしれませんが、本当にたくさんの方々・出来事とともに紡がれた、50年という壮大な日本玩具博物館の歴史の1ページに入れていただいたことを幸せに思います。一般的に定義される「博物館」の枠組みを超えた、大切な役割を担う玩具博物館は、いつの時代も“みんなの居場所”としてあり続けるのだと確信しています。


地域に親しまれる温かな博物館日本玩具博物館での50周年記念イベントを通して

府川 真依(ふかわ まい)

私が5日間の実習を通して感じた日本玩具博物館の印象は、さまざまな人との関わりを通じて続いてきた温かみのある博物館であるということです。

特に11月10日に開催された開館50周年記念イベントでは、地域の人々と博物館との関わりを強く実感することができました。イベントの前日から井上館長が「たくさんの方々からお祝いのお花をいただいている」とお話しされていましたが、当日も朝から大勢の人々が訪れて大きな賑わいを見せており、この博物館が多くの人に愛されている施設であることがよくわかる一日となりました。私自身もこのイベントでワークショップを担当しましたが、ワークショップに参加した子どもたちが尾崎学芸員に対して「尾崎さんこれ見て!」と駆け寄りながら作ったおもちゃを見せているところもまた、博物館と地域の人々との距離の近さを感じられて印象的でした。

私の所属する青山学院大学コミュニティ人間科学部では「地域実習」という科目名の下で日本玩具博物館へ実習させていただいており、普段は豊かな地域を目指す上で博物館がどのような役割を果たせるのかについて学んでいます。そして地域を繋ぐ博物館としては、市町村立などの公立博物館が取り上げられることが多いように感じます。

しかし日本玩具博物館は個人立でありながら、地域住民との交流も盛んであり、人々から愛される博物館となっていることに感銘を受けました。それと同時に、個人立だからこそ来館者との距離が近く、地域にとっても親しみやすい雰囲気が生み出されているとも感じられました。


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この度の「地域実習」では、学生さんたちに大活躍していただき、とくに11月10日のイベントは、学生さんたち抜きにしては成り立たなかったと感謝しています。短い時間にそれぞれの役割を理解され、話し合いながら、玩具博物館の雰囲気に溶け込み、来館者の皆さんに自然体で接しておられる若い人たちのしなやかな感性には感心することばかりでした。ワークショップなどは四季折々、私たちも繰り返し行っていることですが、参加者の方々、とくに子どもたちは、いつもより3割増しの楽しそうな笑顔でした。若い方々のきらめきやエネルギー、子どもたちに寄り添うような接し方と笑顔――要因を探せばいろいろあげられますが、何より、皆さんが私たちが求めるものを理解し、玩具博と心をひとつにして下さったからだと感じています。
私たちが未来に向けて考えていくいくべき大切なものを伝える若い人たちの生き生きとした言葉の数々を大切に受けとめたいと思います。

(学芸員・尾崎織女)

  

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