日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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展示・イベント案内 exhibition

企画展

夏の企画展 「おもちゃの汽車」

会期
2008年7月5日(土) 2008年9月9日(火)
会場
1号館
新幹線前夜の「夢の超特急」いろいろ(昭和30年代後半)

新橋(かつての汐留貨物駅)と横浜(現在の桜木町)の間に初めて鉄道が開業したのは明治5(1872)年のこと。政府の保護を受けた半官半民の「日本鉄道」は、まず東京から群馬県の養蚕地を結ぶ路線建設から始まり、明治24(1891)年には東北へと路線を延ばしていきました。鉄道建設は、明治・新日本の殖産興業政策とぴったり沿うかたちで歴史を刻んでいくのです。

「遊びに出でて 子供かへらず 取り出して 走らせてみる 玩具(おもちゃ)の機関車」

明治45(1912)年、石川啄木は詩集『悲しき玩具』の中で玩具(おもちゃ)の機関車を登場させています。近代化がさらに進む明治末年にあって、啄木の手にあった玩具の機関車は、東北の木地師による木製ではなく、工場で規格に基づいて作られるブリキ製ではなかったでしょうか。

ブリキの機関車(明治末~大正期)

明治時代の象徴は、煙を吐いて陸を駆け抜ける機関車であったともいわれています。鉄道という輸送手段の発達は、産業革命がもたらした最大の成果ですが、19世から20世紀にかけて登場した汽車は、「暮らしの近代化」をスローガンとして世界各地を駆け抜けました。

ブリキの機関車(昭和初期)

やがて各地で作られ始めた汽車のおもちゃは、遠くの世界へ夢を広げるカタチとして、子どもたちの圧倒的な支持を受け、世界中で愛され続けています。

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本展では、明治・大正・昭和と過ぎた100年間に日本各地で遊ばれた汽車のおもちゃの色々を時代を追って展示します。あわせて、世界30ヶ国から機関車や列車のおもちゃを集め、お国柄を伝える造形の面白さをご紹介します。鉄道ブームと言われる今日、小さなおもちゃに託された時代の夢をふり返り、時をこえ国境をこえて愛される鉄道おもちゃの魅力をさぐってみたいと思います。

展示総数 約160組


日本の鉄道おもちゃの移り変わり

 明治初期に鉄道が敷設されて以来、汽車のおもちゃは100年以上にわたって日本の子どもたちに愛されてきました。このゾーンでは、時代を追って日本の鉄道おもちゃの歴史をふり返ります。

郷土玩具の汽車

 東北地方の汽車のおもちゃは、「こけし」の産地で、ロクロ挽きの作品が数多く作られてきました。東北本線が開通したのは、明治20年代のこと。煙をモクモク吐いて弾丸のように突進する汽車は、陸奥に近代化を告げる新時代の使者として歓迎されました。玩具の姿が、その時代感覚を今に伝えています。江戸独楽の産地(神奈川県)の汽車の玩具もあわせて展示します。

弥治郎の汽車(宮城県)

明治・大正・昭和初期

 木や土、紙で作られる郷土玩具しか知らなかった日本にも、明治中頃になってブリキのおもちゃが、大正時代にはセルロイドのおもちゃが工場で大量生産されるようになりました。ここでは、明治末期から昭和初期にかけて人気のあったブリキ製や木製の汽車を紹介します。明治時代、鉄道が敷設された頃の『鉄道唱歌双六』もみどころです。

木製の汽車(昭和初期)

戦後の復興期

 太平洋戦争を終えた昭和20年代に作られた鉄道おもちゃの色々を展示します。材料不足もあり、粗末な木や紙製のおもちゃが目立ちますが、子ども達の「ごっこ遊び」を豊かにする素敵な小道具だったに違いありません。科学学習熱の高まりから、教材的な鉄道おもちゃも数多く製作されるようになってきます。

高度経済成長時代

 昭和30年代半ば頃から日本の経済成長は加速し、人や物の輸送を担う鉄道が整備されていきます。新幹線の登場のニュースは、おもちゃの世界をも沸き立たせ、その運行に先だって「夢の超特急」の数々が出現。レールセットのバリエーションも増え、ゼンマイや電池で動くものなどが工夫されました。

スワローエクスプレス(昭和20~30年代)
機関車(電池仕掛け 汽笛を鳴らし、光り、煙を出しながら走る)(昭和30年代)
夢の超特急 フリクション(昭和30年代後半)

  

世界の鉄道おもちゃのデザイン

 このゾーンでは、アメリカ、アジア、アフリカ、ヨーロッパの機関車や列車のおもちゃを紹介。そのほとんどが1980年代に作られた木製の民芸玩具、あるいはデザイン玩具です。手で動かすもの、乗って走らせるもの、ゼンマイや電池しかけで動くものなど、走らせて楽しい鉄道おもちゃの代表的な作品を各地から集めて展示します。

アメリカ

 アメリカ大陸では、豊かな森林資源を背景に、大型の木製玩具が数多く作られています。列車の貨物には、木材や樽、動物の姿も見え、車両を連結させたり、貨物を積み下ろしたりして、子ども達は想像の世界に遊びます。

アメリカの列車 展示風景
材木列車(アメリカ合衆国/1990年代)

アジア・オセアニア・アフリカ

 アジアやアフリカ地域でも、現在では大量生産のプラスチック製品が市場をおおっています。しかし、一歩踏み込めば、民芸的な世界もまだまだ健在です。ここでは、背の低いタンザニアの機関車、バングラデシュの箱型の機関車など、ユニークな汽車の形が見どころです。

機関車(バングラデシュ/1980年代)

ヨーロッパ

 ドイツは木製玩具の宝庫です。またフィンランドやスウェーデンなどの森林王国でも、美しいフォルムのデザイン玩具が数多く作られてきました。列車のおもちゃは、どれも連結部に工夫がみられ、また貨物に見立てて積み木で遊べる楽しいものが目立ちます。南部ヨーロッパのおもちゃはカラフルな色彩と丸く大らかな造形が特徴です。

ヨーロッパの列車 展示風景