「世界の笛・形と音色~原始の笛を求めて」 | 日本玩具博物館

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企画展

開館30周年記念◇秋の企画展 「世界の笛・形と音色~原始の笛を求めて」

会期
2004年9月11日(土) 2004年11月16日(火)
会場
1号館

今秋は、当館の1000点に及ぶ発音玩具と民族楽器コレクションの中から、有史以来の長い歴史をもっているといわれる「笛」をとりあげます。笛は楽器の分類上は、空気の流れが発音の根源となる「気鳴楽器」の中に位置づけられています。笛はいつの時代もどこの国の人たちにも愛されてきました。中国では今から四千年前に動物の骨を管にした笛が作られていましたし、日本でも自然に孔のあいた石笛や土を焼き、孔をあけたオカリナが縄文時代にはすでに登場しています。各地の笛にまつわる民俗信仰をみると、かつて人々は、笛の音には邪悪な獣を威嚇し、目に見えない悪霊を追い払う不思議な力が宿ると考えていたこともわかります。

本展では、吹いて音を出す玩具と気鳴楽器の約350点集めて、アジア、オセアニア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカの地域別に展観します。地域をこえて普遍的に作られるもの、また地域独特の様式を伝えるものなど、石、骨、土、竹、葦、木の実…と、様々な素材で作られた笛を比較しながら展示し、また玩具と楽器の関係についても探ります。

展示総数 350点。


●世界の発音玩具と民族楽器●

呼吸によって、閉じ込められた空間の空気を振動させて音を出す楽器を集めました。人間の息がそのまま管の中の空気を振動させるアジアの横笛や中南米のパンパイプス、リードを使って音を出すタイの瓢箪笛やインドのチャルメラ、唇の振動によって音を作るオーストラリアのデジャリドゥ、鼻息で音を出すピオデナリスなど、奏法の多様さには驚かされます。

<アジアの笛>………東アジア、南アジアに共通する笛の素材として、まず竹をあげられます。インドのバンスリ、中国の笛子をはじめ、縦笛、横笛、リード入りの笛など、様々な種類が見られます。また、東南アジア地域には、タイやミャンマーのハスフーや中国のフルス、インドやスリランカのスネークチャーマー(蛇使いの笛)など、瓢箪を使った笛の多さに驚かされます。これらは、村々の祭礼に奉納される宗教音楽の中で、また民衆の娯楽の中で地域独自に発達をとげた民族楽器といえます。
 一方、古代遺跡から出土する土や石、骨などの笛は、大昔の笛の形を今に伝えていますが、これらは各地の郷土玩具の中にもその形を留めています。

<オセアニアの笛>………オーストラリアのアボリジニーが伝えるユーカリの木を使った縦笛(デジャリドゥ)やパプアニューギニアのシナシナ族が作る動物型の土笛は、古代の石笛(自然に開いた孔を利用した笛)に似た素朴な音色を奏でます。

<アメリかの笛>………ペルーやコロンビアをはじめ、南米地域には、ケーナ、アンターラやロンタドール(パンパイプ)、サンポーニャ(2列のパンパイプ)など、数多くの竹笛や葦笛が伝わっています。これらは、フォルクローレに代表される民族楽器の中で発達をとげたものです。一方、亀の甲羅型、あるいは鳥型のオカリナなども、ペルーやメキシコ、ブラジルなどで数多く作られ、私たちの中南米への音色のイメージを形成しています。

<ヨーロッパの笛>………ポーランド、セルビア・モンテネグロ、ロシアなどに伝わる白樺などで作られた木の縦笛、ルーマニアのパンパイプなどを展示します。また、ドイツやスウェーデン、ロシアなどに伝わる鳥の声をまねた楽音的な音色を奏でるオカリナ、スイスやドイツの郷土玩具にもみられる木の鳥笛などもあわせてご紹介します。これらは、春が来た日に森の中で奏でられ、鳥を呼び寄せ、春を寿ぐ雪国の習俗とも結びついています。

<アフリカ・中近東の笛>………エジプトの葦笛、エチオピアやケニアの木の縦笛、カメルーンの竹笛や瓢箪の笛、マダガスカル島に伝わる数多くの竹製の笛(縦笛、多列笛、オカリナ、ホイッスル)など、アフリカの自然を感じさせる民族楽器の色々を展示します。人型とも、また鹿など角のある動物の形を真似たと思われるカメルーンやブルキナファソの木の笛は、狩人の笛と呼ばれます。動物の鳴き声を真似た音色を発することで、狩りを行うものと考えられますが、ここには、笛の機能の一つが示され、またそのはじめ、なぜ笛が作られたかについても回答を与えてくれます。


●世界の土笛を集めて● 

このコーナーでは、世界各地の動物や人形型の土笛を集めて、形態と音色を比較します。日本の郷土玩具の土笛に単音のみを出すものが多いのに比べて、中国大陸からヨーロッパ、さらに中南米の郷土玩具には、指孔がもうけられて2音以上の音階を奏でるものが目立ちます。音質や土笛の音の高低についても比較して展示します。                      

<アジアの土笛>………中国、日本、インドネシア、ミャンマー、インドなどの小さな土笛を集めて展示します。中国大陸やインドには、指孔が二つ以上のオカリナも見られますが、日本の郷土玩具は、たった一つの音を表現するものがほとんどです。これは、鳥の笛においても楽器を目指すのではなく、雲雀、鳩、雀、鶺鴒、鶏、ふくろう…と、個体を区別して笛作りを行い、形のバリエーションによって自然音をとらえようとする日本文化の特徴がよく表われています。中国には、高音も目立ちますが、アジアの土笛の音色は、雑音性にとんだ(自然音に近い)中音域の笛がほとんどです。

<アメリカの土笛>………郷土玩具として人気のある動物型のオカリナを中心に展示します。これらは、ペルーやメキシコ、コロンビアなどで作られたもので、もとからあった中南米の先住民たちの自然音に、ヨーロッパがもたらした楽音志向が融合して生まれたものと思われますが、どれも中音域のやさしい音色が響きます。ペルーの多列になった人形笛や鳥笛などは、風のそよぎにも似た音色を発します。

<ヨーロッパの土笛>………音楽の国・ドイツやスイス、また陶芸の国・ポルトガルやスペイン、あるいはロシア周辺各国でも、古くから郷土の土笛が数多く作られてきました。鳥や動物、人を表わしたものが多く、比較的高音域のピーと響き渡るような音色を発する笛が目立ちます。古くは鳥を呼び寄せたり、狩りのために音具として使われたものが前身となっています。単音の笛もありますが、指孔が二つ上あって、音階を奏でるものがほとんど。郷土玩具の中に、ヨーロッパの音楽志向が感じられます。

<日本の郷土玩具の笛>………このコーナーでは、江戸時代の文献『江都二色』(安永2/1773年刊)や、明治から大正時代にかけての玩具収集趣味を最初に紹介した玩具画集『うなゐの友』(明治24/1891年~大正13/1923年)などに描かれている日本の郷土玩具の中から、笛のおもちゃの色々を取り出して紹介します。初音笛(竹笛)、ピイピイやブウブウ(ともにラッパの玩具)、諫鼓や猩々からくり(ともにからくり笛)、鳩笛やふくろう笛など、かつて子どもたちに親しまれ、日本的な音色を今に伝える発音玩具の色々を絵図と実物を通して紹介します。    


<会期中の催事>
解説会 世界の笛の音を聴く
   日時=9月12日(日)・19日(日)・23日(木/祝)・26日(日)・10月17日(日)
      11月3日(水/祝)・7日(日)・14日(日)
      ※各日 14:00~ 45分程度
笛の音を聴く会♪その1 「オカリナの音色」
   日時=10月3日(日) 13:30~ 
笛の音を聴く会♪その2 「日本の竹笛の音色」
   日時=10月24日(日) 13:30~ 
笛の音を聴く会♪その3 「中国大陸の笛いろいろ」
   日時=10月31日(日) 13:30~ 


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