日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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展示・イベント案内 exhibition

企画展

秋の企画展 「人形遊びの世界」

会期
2009年9月12日(土) 2009年11月17日(火)
会場
1号館

和紙を縮らせて婦人の髪型を作り、千代紙で衣装を着せた紙人形を一般的に「姉さま」人形と呼びます。姉さまは、雛人形などの飾って楽しむ人形に対して、女児が日常のままごとなどに使う手遊び人形として古くから親しまれてきました。

城下町に伝わる戦前の姉さま(左から仙台・鶴岡・松江・松山)

江戸時代、文化12(1815)年刊の『骨董集』(山東京伝著)には……今の世の女童、ひいな草を採りて髪を結い、紙の衣装を着せなどして平日の玩具とす。これもいと古きことなり…………とあり、江戸時代の少女たちが草などで姉さまの髪型を作って遊んでいた様子が伺えます。こうした人形は、手足がない上、目鼻を省略したものも多く、大変素朴なものですが、幾種類もあった女性の髪型を覚えたり、それにあわせた衣装を着せたりして遊ばれました。

日本人形といえば、「雛人形」など静かに飾られる鑑賞用のものが目立ちますが、女の子たちが持ち遊ぶ愛玩用の抱き人形や手遊び人形もまた、日本の人形文化をよく伝えます。これらの人形が繰り広げる遊びの世界には、「着せ替え遊び」あり、「ままごと遊び」あり、「ごっこ遊び」あり、人形を中心とした模倣遊びを通して、女児たちは、人や物に対する愛情を育て、衣食住に関する文化を学び、暮らしの中の夢をたどりながら、社会性を身につけていきます。

今回は、日本の女児たちに愛されてきた愛玩人形や手遊び人形の中から、髪型や衣装、履物を着せ替えて遊ぶ人形の数々を、時代を追ってグループごとに展観する試みです。今は、ほとんど廃絶してしまった日本各地の姉さまや人形ごっこ用の首人形、江戸から昭和にかけて愛された市松人形や三つ折人形、大正から昭和に流行した文化人形を経て、昭和30年代のバービーやタミー、40年代のリカちゃんまで、様々な時代の資料を通して、少女たちを夢中にした人形遊びの世界をたどります。 

展示総数………約350点

 

【ふるさとの姉さま】

 このコーナーには、江戸時代以来、手遊び用の人形として日本各地で作られた姉さまと首人形を展示します。姉さまの材料は、紙以外には、布、草、きびがらなどが使われ、土地土地の特徴を伝えています。顔を描かず、髪型の美しさを見せるためでしょうか、後ろ姿を強調したものが目立ちます。

●姉さま

 京都では「おやまはん」、鳥取では「ばんばさま」、播州では「ぼんちこ」、大阪や神戸では「おかたさん」、金沢で「たちこさん」・・・と、姉さまの呼び名にも土地ごとの違いが見られます。

京都の姉さま おやまはん

●首人形

 土製などの頭に竹串、木串をさしたもの。その種類には、姉さま遊びの他、人形芝居のまねごとをして遊ばれたものなども見られます。

首人形 衣装を着せかけて人形芝居ごっこなどを楽しみます

【明治・大正の人形遊び】

このコーナーには、江戸時代に作られ始めた市松人形や三つ折れ人形などを中心に、着せ替えやままごと道具の色々を展示します。人形衣装や髪型、また身近な暮らしの道具を模したままごと道具などからは、明治・大正時代の風俗がよくうかがえます。

●市松人形

 江戸時代寛保の頃の人気俳優、佐野川市松によく似た抱き人形が作られはじめ、「いちまつ」人形、また「いちま」人形の名で親しまれました。子ども姿をした衣装人形で、抱いたり、着せ替えたりして遊ばれました。女児が誕生した時、その子の守りとして市松人形を買い求める風習が関西には昭和初期頃まで残されていました。

市松人形 展示風景

●着せ替えままごと

 衣装やかつら、履物などを付けかえて遊ぶ「着せ替え」人形を展示します。
明治時代には高さ10cmぐらいの練り人形に帯や着物がついた着せ替え人形セットが登場し、人気を博しました。

衣装や鬘を付け替えて遊ぶ小さな練物人形(大正時代)

  

【昭和の人形遊び】

 人形師の手になる人形より、工場で量産される欧米風の人形が主流となり、セルロイド人形、ぬいぐるみの文化人形、戦後にはソフトビニールのミルク飲み人形や歩行人形、ファッションドールなど、素材も様々な人形が登場します。こうした人形は、人間らしい動きが工夫され、また時代の感性を敏感に取り入れて少女の心をとらえました。

●文化人形

 大正時代に作られ始めた布製の抱き人形。レーヨン、メリヤスなどで頭、胴、手足をぬいぐるみにし、中におが屑などをつめて作られます。20cm程度の小さなも50cmの大型まで様々な種類があり、昭和40年代頃まで人気がありました。

文化人形 大正時代に生まれ、昭和40年代ころまで親しまれた

●着せ替え遊び

 セルロイドやプラスチック、ソフトビニールなど様々な素材で作られた抱き人形に昭和時代のままごと道具を添えて展示します。紙人形に彩色印刷した衣装を着せる切りぬき式のものは、駄菓子屋などで売られ、人気を集めました。

小鳩くるみちゃんのミルクのみ人形(昭和20年代末~30年代)
切り抜きシートの着せ替え遊び

●ファッションドール

 昭和30年代、アメリカからファッショナブルなキャラクタードールが上陸します。バービーやタミーがその代表ですが、その後、日本独自に「スカーレットちゃん(中島製作所)」や「リカちゃん(株式会社タカラ)」が製作され、40年代の少女の心をとらえます。以降、現在に至るまで、時代の夢を表現しながら作られ続けている「リカちゃん」、その人気の理由は、着せ替え衣装の多様さと「リカちゃんハウス」など、生活用品の豊富さがあげられます。

リカちゃんドリームハウスとリカちゃん(初代・二代目)とわたるくん(昭和40年代)


<会期中の催事>
講習会 姫路の姉さま「ぼんちこ」講習会
   日時=10月25日(日) 13:00~15:00