「神戸人形賛歌~ミナトマチ神戸が育てたからくり人形~」 | 日本玩具博物館

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企画展

春夏の小テーマ展 「神戸人形賛歌~ミナトマチ神戸が育てたからくり人形~」

会期
2021年2月20日(土) 2021年8月31日(火)
会場
2号館 小展示コーナー

「神戸人形」は、明治時代中ごろに神戸で誕生したからくり人形です。台の上の人形が手を動かし、首をふり、大きな口をあけて西瓜を食べたり、酒を飲んりだり・・・。その滑稽な動きと繊細な仕掛けは、神戸っ子だけでなく、神戸を訪れる外国人観光客の人気を集め、神戸港から世界へと旅立っていきました。

明治・大正時代の神戸人形は、ろくろ首や三つ目小僧、また目や舌が飛び出すお化けを表したものが多く、「お化け人形」と呼ばれていました。神戸の観光地である布引の滝で売られていたため、観光客には「布引人形」の名でも親しまれていました。大正末から昭和初期にかけて、作品全体が漆塗りを思わせる黒で塗られるようになるころには、「神戸人形」の呼び名が定着していったようです。大正15年、神戸元町を訪れた江戸川乱歩は、エッセイのなかでこの人形の魅力について語っています。   

戦前の神戸人形の作者として名前が分かっているのは、野口百鬼堂、八尾某、出崎房松、小田太四郎ですが、明治末から大正時代の作品を一堂に集めると、いくつもの異なる作風が見られることなどから、無名の作者たちも数多く存在したと思われます。

戦後は廃絶の危機に直面しますが、数岡雅敦、キヨシマ屋(玩具店)、神戸センター(民芸店)などがそれぞれの作風を打ち立てて、神戸人形製作を受け継いでいきました。現在、ウズモリ屋・吉田太郎氏(神戸市東灘区在住)が古作に学びながら、作者の個性と時事性をプラスして、令和時代らしい神戸人形を数多く誕生させています。

本年4月には、吉田太郎氏の監修で神戸人形のユニークな造形を紹介する書籍が出版される予定です。詳しくは追ってご案内させていただきますが、その書には、日本玩具博物館が誇る「神戸人形コレクション」――戦前の代表作品がずらりと掲載されますので、本展と合わせてお楽しみいただければ幸いです。

展示総数 200点

展示の様子を少しご紹介いたします。

創始者のひとりと目される野口百鬼堂のお化け人形たち
明治末期ころに活躍した出崎房松の神戸人形たち
創始期に活躍した八尾製の神戸人形たち
明治末期から大正時代に作られた神戸人形――八尾製か
大正末から昭和10年代に活躍した小田太四郎の神戸人形たち
4号館のスポットライトコーナーに戦後の神戸人形――一数岡雅敦、キヨシマ屋、神戸センター製
さらに、平成時代の日本玩具博物館版(藤尾秀久製)、平成後期から令和時代の神戸人形――ウズモリ屋・吉田太郎製


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