「七夕飾り」 | 日本玩具博物館

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企画展

夏のテーマ展 「七夕飾り」

会期
2003年6月21日(土) 2003年8月26日(火)
会場
2号館 L字コーナー

七夕の夜、短冊に願い事を書いて笹竹につるし、屋外にたてて天の川をのぞむ習俗は、今でも日本各地でみられます。七夕の棚に胡瓜や茄子の動物を供え、子ども達が天の川で巡りあう牽牛星と織女星を探す風景は日本の夏の風物詩です。

七夕の習俗は中国から伝来し、万葉の昔から日本人に親しまれてきましたが、千年の時をこえる歴史の中で、祖霊祭としての「盆行事」や初秋における「豊作祈願」などと結びついて日本的な夏祭りへと発展をみます。
いつ七夕を祝うかや行事のあり方には地域による違いがあり、飾り物やその扱い方も一様ではありません。この小テーマ展で今回ご紹介するのは、「ヒトガタ」にも似た紙の七夕人形や川に生える真菰(まこも)で作る馬の造形。高度経済成長期を境に一気に廃れ、今では大変めずらしくなりましたが、郷土色豊かな飾り物の色々です。約50組を展示します。


関東の七夕馬………牽牛・織女の二星が巡りあう時、その背に乗せて天の川を運ぶ七夕の馬が各地で作られてきました。関東地方を中心に、真菰、藁、菅などで男女一対の馬を作ってお供えし、牽牛・織女の再会を祈ります。

高山の七夕馬と糸車………岐阜県高山の松之木町には、大八賀川の両岸に屹立する男岩と女岩を結んで大しめ縄をはり渡し、男児が生まれると藁馬を、女児がうまれると藁の糸車を縄に吊るす「七夕岩」の行事が、古く江戸時代元禄年間より伝わっています。この美しい藁馬と糸車を今回初公開。この結界とも思われる大しめ縄は、七夕と盆行事とのつながりを伺わせます。

高山松之木地区の七夕岩行事に登場するわら馬と糸車/関東の七夕馬

姫路の七夕人形と七夕の舟………姫路では市川が播磨灘に注ぐ地方に「七夕さんの着物」という男女一対の素朴な紙人形が伝わっています。竹ざおを人形の袖に通して飾られ、子どもが着物に不自由しないように願われました。飾るのは8月6日夕刻からで、翌朝には川へ流されます。
また、姫路市の港町・飾磨を中心とする地域には、昭和中期頃まで七夕の舟が見られました。天の川を渡る二星を運ぶ乗り物、あるいは盆を迎えるにあたっての精霊舟とも考えられます。笹飾りと共に、8月6日の夕刻に飾られました。

播磨灘沿岸の七夕飾り
姫路市飾磨区に伝わる七夕の船 豆電球をつけて供えます(昭和40年代)

松本の七夕人形………松本の七夕人形は、男女一対の紙雛型や木製で着物を着せて飾る人形、流し雛型の紙人形など数種類があり、全国的に知られています。人形を飾る日は、ひと月遅れの8月7日前後、木や紙で作られた男女一対の人形は、子どもが初めて七夕を迎える祝いとして、親戚や近所から贈られ、着物を着せかけると、風通しのよい軒に吊るして飾られました。子どもの成長や健康を願い、また着物が増えるようにと祈りながら。

長野県松本に伝わる七夕人形のいろいろ


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同時開催の企画展 → 夏の企画展*2003「おもちゃの昭和史」