日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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企画展

夏の企画展 「世界の船のおもちゃ」

会期
2007年7月7日(土) 2007年9月11日(火)
会場
1号館
タオ(ヤミ)族のカヌー(台湾/1960年代)

船は、人間がつくった乗り物の中でも、最も古い歴史をもっていると言われています。玩具(おもちゃ)の船もまた、遠い昔から身近にある素材で様々なものが作られてきました。笹の葉や 木の皮など、身近にある自然物を利用した船の玩具は、日本の子ども達が遊びの中で伝承してきたものですが、驚くほど古い歴史を持っているといわれています。

大人も仕事の合間に、身近にある船のかたちをまねて、子どもの喜ぶ小さな船を作りました。世界各地の船の玩具がその地域の暮らしを彷彿させるのはそのためでしょう。運搬輸送の船、漁業の船、祭礼の船などを模して作られた玩具は、その土地の船の役割をよく伝えてくれます。

世界の船の玩具をみわたすと、ただ水に浮かべるだけでなく、ゼンマイ、ゴム、ロウソクの熱、さらに電池を利用して、水の上を走らせる仕掛けに工夫が集中していることがわかります。それぞれに込められた知恵は、子ども達の科学する心を自然に育んでいくようです。 

本展では、世界約50ヶ国から特徴ある船の玩具、約350点を集めて、時をこえ、国境をこえて愛される船の玩具の魅力を探ります。日本、アジア、大洋州、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパにわけて民族色豊かな船が登場していますので、玩具を通して世界各地の船のかたちをお楽しみ下さい。

古代の舟のかたち 展示コーナー

    

●アジアの船のかたち

 台湾の竹筏やタイのサンパンのように、古代の舟の形をとどめるものや、中国のジャンクのように発達した帆船の形を示すものも見られます。トビウオ漁に使われる台湾のヤミ族のカヌーやバリ島の漁船、アウトリガー・カヌーなどは、船の模様に豊漁への祈りが込められた美しい船です。

フルーツボート(タイ/1980年代)
アジアの船のおもちゃ 展示コーナー

●オセアニアの船のかたち

 太平洋の海に浮かぶ島々には、交通や漁業のための船が古代より発達し、今に生き続けています。西サモアやフィジー、キリバス、ニューギニアなどでは、荒波にも安定して航行できるように、副船をつけた古代船(アウトリガー・カヌー)が見られ、この地域の特徴となっています。

アウトリガー・カヌー(タヒチ/1980年代)

●アフリカの船のかたち

 櫂(かい)で進むくり船が、古代から続く素朴な川船の形を示す一方、タンザニアのダブルアウトリガー・カヌーなどは、海のルートでつながるアジアや大洋州地域との深い関係を知らせています。

三人乗りのカヌー(ナイジェリア/1980年代)
アフリカの船のおもちゃ 展示コーナー

●アメリカの船のかたち

 氷に閉ざされた北部アメリカのカヌー、湖に浮かぶペルーの葦船、メキシコ先住民の作る刳り船(くりぶね)、あるいは大西洋をいくブラジルのジャンガーダなど、風土に根ざした個性豊かな船の形が見られます。        

ウロス島のトトラ船(ペルー/1980年代)

●ヨーロッパの船のかたち

 他地域の船のおもちゃが、例えば船乗りが守護神への感謝のしるしに奉納する信仰的なものであったり、観光土産的な要素を含んでいるのに対し、この地域の展示品のほとんどは、子どものための玩具です。ゴムしかけの外輪船、風で動かす帆船の他、引き車やモビールになった船も見られ、子どもの夢を結びます。

セルギエフの船車(ロシア/1970年代)
ヨーロッパの船のおもちゃ 展示コーナー


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