日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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展示・イベント案内 exhibition

特別展

夏の特別展 「太陽の大陸・ラテンアメリカのおもちゃ」

会期
2002年6月15日(土) 2002年10月15日(火)
会場
6号館

後援 メキシコ大使館・ブラジル大使館・ペルー大使館

ようこそ、ラテンアメリカのおもちゃの世界へ

ラテンアメリカは、コロンブスの新大陸発見によって生じた二つの世界の出合いいから出現し、16世紀以降に創造された世界であると言われています。つまり、この地に何千年という遥か昔から住んでいた先住民族と、移民したスペイン人やポルトガル人を中心とするヨーロッパ人との間の対立、混血を通じて形成された世界がラテンアメリカの基本です。この大陸には、さらに新たな民族の移住や奴隷たちの移入によって、多様な人種が入り混じり、その文化はモザイクのように共存しているのです。そのような地では、玩具文化もまた、豊かなバリエーション を見せてくれます。     

文化人類学において、ラテンアメリカ世界は、メソ・アメリカ、中間地域、中央アンデス、南部アンデス、南アメリカ南部、ブラジル東部、アマゾン地域、カリブ海域の8つの文化領域に分けられています。それらを参考に、本展では、木や土、骨、石、瓢箪、きびがらなどの自然素材で作られる伝承的な民芸玩具や近代のデザイン玩具の色々を、「メソ・アメリカ」「カリブ海域」「中部アメリカ」「アンデス」「アマゾン地域」「ブラジル東部」「南部アメリカ」の7つの地域に分けて紹介していきます。
また、「祭礼玩具と仮面」「楽器と発音玩具」「動く玩具」「コマ・けん玉・ボール・凧」「草花遊び」の5項目により、ラテンアメリカの地域的なつながりと共通性を探ります。

大量生産・大量消費の文化が世界の隅々にまでいきわたり、急速に進むグローバリゼーションが、各々の民族に伝承される造形を消滅させる可能性をもはらむ現在、鮮やかで個性的なラテンアメリカの民芸玩具は、私たちに何を知らせてくれるのでしょうか。

当館には、メキシコ、ブラジル、ペルーをはじめ、5,000点に及ぶラテンアメリカ民芸玩具のコレクションがあります。特に、1980年代を中心に収集したメキシコ各地の郷土玩具の色々、1995年に現地採集したブラジル先住民の伝承玩具の数々は、日本国内でも高く評価されているコレクション群です。
先住民たちが伝える宗教心に満ちた厳粛な造形、南ヨーロッパがもたらした装飾性に富み、色彩豊かな美的感覚、征服と抑圧の歴史から生まれた悲しみの造形表現など、様々な要素をもったラテンアメリカの民芸世界を、当館の玩具コレクションが物語ってくれれば幸いです。                 

展示総数 約1,000点

太陽の大陸・ラテンアメリカのおもちゃ展示風景

<ラテンアメリカ玩具を7つの地域で紹介する>


メソ・アメリカ/中部アメリカ……………メキシコ・ニカラグア・コスタリカ・パナマ・エルサルバドル・グァテマラ・エクアドル・コロンビアなど
カリブ海域……………キューバ・ジャマイカ・ハイチ・ドミニカ・ベネズエラなど
アンデス…………………ペルー・チリなど
アマゾン地域/ブラジル東部……ブラジル
南部アメリカ…………アルゼンチン・パラグアイ・ウルグアイ

*メソ・アメリカの玩具(メキシコを中心に)

 マヤ、トルテカ、アステカなどの魅惑的な古代文明を前身に持つメソ・アメリカ地域は、民芸品の宝庫として知られています。赤・緑・黄・青など原色を豊かにちりばめたユニークな造形は、見るものを魅了して止みません。    
 スペイン民芸との共通性、先住民族の造形に表われる自然観、文化融合の結果生まれた陰影の濃い美意識などに注目しながら、「人形とままごと道具」「動物の玩具」「乗り物と遊園地の玩具」などに分けて紹介します。日本と同じように、玩具には地域的な特色が見られます。メキシコでは、オアハカ州の木製玩具、グァナファト州の張り子玩具、ゲレロ州やハリスコ州、チャパス州の土製玩具は有名です。

メキシコの民芸玩具

*中部アメリカの玩具(コスタリカ・グァテマラなど)

 グアテマラ、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、コロンビアなど、南北アメリカをつなぐ地帯の国々には、民族的なセンスを生かした玩具と、近代的なデザイン感覚に基づいた玩具の両方が見られます。グアテマラの風俗人形やコスタリカの木製玩具などがみどころです。


*カリブ海域の玩具(キューバ・ジャマイカ・ベネズエラなど)

 カリブ海を取り巻くように広がる大アンティル諸島の国々では、おおらかで明るい色彩の玩具が作られています。キューバで生まれた木の実の動物造形やベネズエラの張り子玩具にもおもしろいものが見られます。

カリブ海域の民芸玩具/アンデスの民芸玩具


*アンデスの玩具(ペルー・チリを中心に)

 高地アンデス地域にも古くから文明が栄え、スペインが入植した16世紀の頃には強大なインカ帝国が形成されていました。先住民族と入植者たちとの政治的な融合はスムーズではありませんでしたが、民芸世界における両者の混合・発展は進み、土製玩具などには先住民のもつ厳粛なムードと南ヨーロッパの装飾性を兼ね備えた独特の造形が見出されます。

アンデス地域の人形と民芸玩具


*アマゾン地域の玩具(ブラジル先住民の玩具)

 広大なアマゾン川を中心とするブラジルには、今も昔ながらの暮らしを営む先住民の村々が点在しています。80に及ぶ部族のぞれぞれが特色ある民芸を有していますが、近代文明の波が彼らの伝統的な生活を変化させ続けているのも事実です。このコーナーでは、カラジャ族、タピラぺ族、クイクロ族の民芸玩具を中心に紹介します。木や石、土、動物の骨、皮、羽根、植物など、身近にある素材を使って手作りされた数々の民芸玩具には、子どもに対する愛情と自然に対する畏敬の心が感じられ、見るものをやさしく厳かな気持ちにさせてくれます。「人形」「動物」「生活造形」の項目で展示します。

ブラジル先住民の民芸玩具と造形

*ブラジル東部の玩具

 ブラジルは、知られざる民芸の国です。各町では、日曜ごとに大きな市が立ち、様々な種類の手作り玩具が売られます。地域の先住民の玩具はもちろん、ヨーロッパ人が持ちこんだ玩具、アフリカ系の人々が伝えた玩具、日系人が紹介した玩具…とまるで博覧会のように民芸玩具が勢ぞろいするのです。このコーナーでは、こうした町の市で見つけることの出来る楽しい玩具の数々を紹介します。


*南部アメリカの玩具(アルゼンチン・パラグアイ・ウルグアイ)

 ここでは、先住民の造形を伝える土製玩具や、きびがら、木の実など自然素材を利用して作られる素朴な手作り玩具をご紹介します。


<ラテンアメリカは音楽と祭礼の大陸>

ラテンアメリカの祭礼玩具展示風景

*楽器と発音玩具

 ラテンアメリカは言うまでもなく、音楽に満ち溢れた大陸です。街角でマラカスを振りながら歌い踊る人々のパフォーマンスは素晴らしく、食堂の調理場から、鍋やボールを楽器に見たてて軽快なリズム演奏が行われたりする国々です。人々は子どもの頃から当たり前のように民族音楽に親しみ、地域独特のリズム感と音色を身体に刻み込んでいくようです。
 楽器の玩具の形に、先住民系、ヨーロッパ系、アフリカ系などの要素を見出すことができるのもラテンアメリカの特徴です。
 このコーナーでは、がらがら、笛、太鼓など発音玩具に、素朴な民族楽器をあわせて紹介します。

ラテンアメリカのがらがら

*祭礼玩具と仮面

 ラテンアメリカはまたフェスタ(祭り)の大陸でもあります。各国には四季折々の祭りが数多く伝わっています。土着の信仰から生まれたもの、キリスト教の影響を受けて発展したもの、それらが融合して生まれたものなど。
 例えばメキシコにおける祭礼では、フーダスという張り子人形が活躍する聖週間や、ユーモアに満ちたカラベラ(骸骨)が登場する精霊の日などが有名ですが、これらは土着の信仰とキリスト教文化が融合して誕生したものです。
 このコーナーでは、ラテンアメリカの祭礼玩具と仮面の色々を紹介します。

ラテンアメリカの仮面

*コマ・けん玉・ボール・凧

 ラテンアメリカに伝わるコマやけん玉、凧などの形を見ると、南ヨーロッパ系の形を伝えるものが目立ちます。けれども、各地の先住民が伝えるコマなどは、瓢箪や木の実を使った素朴なもので、これらの玩具が誕生した古代の形を伝えているように思われます。各地のものをまとめて紹介し、ラテンアメリカ世界全体に共通する形を探ります。

*動く玩具

 バランス人形、ついばむ鶏、メリーゴーランドなど動きが楽しい各地の玩具をまとめて展示します。

*自然の中の玩具遊び

 このコーナーでは、きびがら、木の実、椰子の葉、瓢箪などを使って即席で作られた自然遊びの脇役たちを取り上げます。


<会期中の展示解説会>
展示室をまわりながら、各地域の民芸玩具の見どころについてご案内します。
  日時=7月7日(日)・7月20日(土/祝)・28日(日)
     8月4日(日)・11日(日)・15日(木)・18(日)
     9月1日(日)・15日(日)・23日(月/祝)・29日(日)
     ※各日 14:00~ 40分程度