展示・イベント案内
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開館50周年記念 「世界のままごと道具~小さな世界のキッチン探訪」
- 会期
- 2024年6月22日(土) 2024年10月20日(日)
- 会場
- 6号館西室
*野原の草を置いて玩具の包丁でとんとん刻んだり、小さなお椀に花びらや木の実を盛りつけたりして遊んだことがありますか。友達が集まって小さな食卓を囲み、それぞれに家族やお客様の役を演じながら、誕生会さながらのお茶会を開いた思い出があるでしょうか。そのような調理や配膳の様子をまねる遊びを「ままごと」と呼び、それは、幼年時代から少年少女時代にかけて、子どもたちが夢中になる遊びです。
*「ままごと」を漢字で書くと「飯事」。この漢字が示すとおり、ままごとは、本来、“食べること”を指しています。一方、英語には、ままごとを直訳出来る言葉 はみつからず、家事を真似た遊び全体が「Playing house」と表現されます。私たちもまた、“ままごと遊び”というとき、家庭的な“ごっこ遊び”や“人形遊び”を連想し、調理や食事のまねごとを中心に広がっていく遊び全体をイメージすることが多いかもしれません。
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*ままごとをより楽しくする玩具を「ままごと道具」と呼びます。これは世界の各地で古くから作られており、それぞれのお国の文化や子ども観などを物語ってくれます。たとえば、ドイツやイギリスのままごと道具においては、実際に家庭で用いる道具が均一の割合で縮小され、素材やデザインにも注視して製作がなされています。ここには、子どもに本物を通して、生活文化を伝承していこうとする西欧社会の考え方がうかがえます。日本のままごと道具 セットでは、子どもの手に合わせて箸や包丁が大きく作られるのに対して、食卓や食器棚はとても小さいのです。そこからは、子どもの興味や関心に合わせて玩具を作っていこうとする大人たちの視点がうかがえます。
*本展は、アジア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパの特徴あるままごと道具を集めて、世界のままごと遊びを探訪します。展示室をまわっていただくと、思わず手にとって遊びたくなるようなままごと道具がたくさん現れます。その愛らしさを楽しみながら、世界の子どもたちの遊びの様子を――子どもたちがままごとに夢中になっている幸せの光景を想い描いていただければと思います。
■展示総数 300組
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●世界のままごと道具――アジア
●木、竹、植物の葉、土などの自然物から作られた小さな食器、鍋や土びんなどの調理道具に野菜や果物も加わり、ままごと道具からアジア各地の台所の様子がわかります。炭を使って加熱する小さなコンロや水をくむ井戸などは、伝統的な暮らしを守っている地域ではまだ残されていますが、都市部の家庭では見られなくなっており、ままごと道具が昔の姿を伝えています。
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●世界のままごと道具――アメリカ
●ヨーロッパをはじめ、アジア、アフリカ地域からの多くの移民で成り立っている大陸だけにままごと道具に登場する食器の種類も多様です。ヤシの葉や棕櫚の繊維で編まれた素朴な器や籠が見どころ。各町の日曜市で売られていたものです。
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●世界のままごと道具――中近東・アフリカ
●イスラム教を信仰する中近東から北アフリカにかけての国々では、戒律で飲酒が禁じられていることもあり、喫茶の文化が古くから発達しています。アフリカ大陸からは、美しいスタイルの茶器をまねて作られたままごと道具を紹介します。真鍮や銅など金属製の玩具が目立つ一方、木を削り、土をこねて作られた素朴な調理用具も特徴を示しています。
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●世界のままごと道具――ヨーロッパ
●ドールハウスが早くから発達したヨーロッパでは、人形たちのための小さな調理用具なども各地で作られてきました。また、農村部に伝わる郷土玩具の中には、アジアなどとも共通する土製や木製、植物編みの素朴な茶道具やテーブルウェアなどの玩具も見られ、ヨーロッパのままごと道具は、近代性と民族性が同居した楽しい世界です。
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