「端午の節句飾り」 | 日本玩具博物館

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特別展

初夏の特別展 「端午の節句飾り」

会期
2005年4月16日(土) 2005年6月7日(火)
会場
6号館
鍾馗と武者幟(昭和初期)

奈良・平安時代に中国から伝わった端午の節句は、時代を経るにつれ、日本人の季節に対する観念や信仰などを取り込んで発展していきました。そのはじめは、春と夏の節目に、人々を襲う邪気を払い、心身の健康を獲得するための行事だったようです。端午の節句は「菖蒲の節供」と言われるとおり、古くから菖蒲や蓬などが盛んに飾られましたが、これは香の強い植物に邪気を退ける力があると信じられたためです。

武家の興隆した中世には、「菖蒲」が「尚武」の語音と通じることから、男児の祝儀と結びついた展開をみせます。桃の節句と同じく、端午の節句の祝い事が庶民層まで広がりを見せるのは、江戸時代のこと。江戸時代前期は、菖蒲兜(しょうぶかぶと)、毛槍(けやり)、長刀(なぎなた)などの武具や幟(のぼり)を家の門口に勇ましく立てる屋外飾りが主流でしたが、中期以降、槍、長刀、武者人形などのつくり物を座敷に飾る室内飾りが加わります。後期に入ると、節句飾りは屋外も室内も大型化し、都市部の富裕階級は、豪華な飾り付けによって、家の勢力を競い合いました。今日に伝わる節句飾りは、江戸時代のものに比べ、ずいぶん小型になっていますが、それでも、その様式化された飾り物の中に、古い時代の華やかな屋外飾りの要素を伺うことも出来ます。

  『案内者』(中川喜雲著/寛文2・1662年刊)に記された武家の端午の節句の様子

本展では、明治・大正・昭和の各時代に、都市部で人気のあった甲冑や武者人形を主役とした座敷飾り約20組を展示し、時代の特徴を探ります。今ではあまり見られなくなった大将と従者の武者人形が見どころです。隣室に展示する明治・大正・昭和の雛飾りとあわせて、過ぎた百年、私たちの祖先が愛した節句飾りの世界をお楽しみ下さい。

展示総数 30組

武者人形・神功皇后と武内宿禰(明治中期)
座敷飾り・太閤秀吉(大正10年頃)
展示風景2005


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