展示・イベント案内
exhibition日本玩具博物館40周年記念・冬の特別展 「世界クリスマス紀行」
- 会期
- 2014年10月25日(土) 2015年1月20日(火)
- 会場
- 6号館
★古代ヨーロッパでは、太陽が力を失い、地上の生命力が衰えた冬枯れの季節に、暖かい光の復活を願い、新しい年の豊作を祈る祭を行っていました。これは冬至祭や収穫祭として今も各地に伝えられていますが、キリスト降誕の祝日は、太陽の復活を祝い、豊作を願うという土着の信仰をとり込むことを通して、大きな行事へと発展してい ったものと思われます。クリスマス飾りに登場するキャンドルの灯や光を象徴する造形の美しさ、また麦わらや木の実などの豊かな実りを表現するオーナメント(=装飾)の多様性からも、クリスマスがもつ意味をうかがい知ることが出来ます。
★やがて、クリスマスの行事はキリスト教の普及とともに世界各地へと拡がり、それぞれの地の信仰や冬の習俗と結びついて定着すると、アジアでもアフリカでもユニークな造形が花開きました。
★恒例となった当館のクリスマス展は、クリスマス飾りを通して世界各地のクリスマス風景を描き、この行事の意味を探る試みです。本年は、世界約50ヶ国のクリスマスに登場するオーナメントを「ヨーロッパ~北欧・中欧・東欧・南欧~」「アメリカ~北米・中南米~」「アフリカ」「アジア」の地域ごとに展示し、各地のクリスマス飾りの特徴を紹介します。本場ヨーロッパの伝統豊かなオーナメントはもちろんですが、アフリカやアジアの民芸的なクリスマ造形も見どころたっぷりです。
★本年の初公開は、昨冬、フランスのストラスブール・コルマール・リクヴィルのクリスマスマーケットより収集したノエル(=クリスマス)のオーナメントです。
■展示品総数 世界50ヶ国1000点
北ヨーロッパのクリスマス
冬の間はほとんど陽がのぼらず、雪や氷に閉ざされる北欧にあっては、太陽の復活を願う古い民俗信仰とキリスト教が融合した「ユール」と呼ばれる独特のクリスマスが祝われます。厳冬、人々は窓辺にキャンドルを点し、清らかな行事の雰囲気盛り上げて行きます。手工芸が発達した国々とあって、切紙細や麦わら細工のクリスマス飾りが町中にあふれ、トムテやニッセという名のヤギを連れた妖精たちが活躍する北欧のクリスマスは、ファンタジックな雰囲気に満ちています。
東ヨーロッパのクリスマス
東欧では、冬至祭や収穫祭に結びついた民族色豊かなクリマスが祝われています。チェコやスロバキア、ハンガリー、セルビア、リトビアの麦わらやキビガラ、木の実細工のツリー飾りには、収穫祭との深い結びつきが感じられます。また、小麦パンをかたく焼き締めて作られる“ヴィゾ・ヴィーチェ”と呼ばれるオーナメントやボヘミアグラスのツリー飾りは、東欧伝統工芸の素晴らしさを伝えてくれます。
中央ヨーロッパのクリスマス
ドイツ、オーストリアなど中央ヨーロッパにおいても、クリスマス・アドベント(=待降節)の平均日照時間は1~2時間。冬枯れの町には寂しさを払うようにモミの木の緑とキャンドルの光があふれます。町の広場にはクリスマス飾りを売るマーケットがたち並び、細工をこらしたオーナメントの数々が人々を温かく出迎えます。きらきら輝く麦わらの窓飾りや経木のツリー飾りは「光」をイメージしたものです。
★ドイツのクリスマス★
ドイツのクリスマスにプレゼントを運ぶのは、St.ニコラウスやヴァイナッハマンと呼ばれる聖人ですが、地域によっては鬼を従えてやってきます。クリスマスツリーの本場とあって、豊富な造形が見られる地域です。クルミ割り人形や煙だし人形、“光のピラミッド”の名で親しまれる燭台、キリスト降誕人形“クリッペ”など、ユニークなドイツのクリスマス飾りを一堂にご紹介します。
南ヨーロッパのクリスマス
イタリアをはじめとする南欧のクリスマスには、“サトゥルナーリア”と呼ばれる賑やかな収穫祭の薫りが残されているといいます。また、カトリックが力をもつイタリアは、キリスト降誕人形の発祥した地であり、教育的な意味の加わったクリスマス玩具を見ることができます。海洋国・ギリシャからはイルミネーションに彩られた船の飾りを、イタリアやポルトガルでは“プレゼピオ”、スペインでは“べレーン”と呼ばれるキリスト降誕人形を中心に展示します。
北アメリカのクリスマス
家族団欒を大切にするアメリカのクリスマスは、手作りの味わいに満ちています。オーナメントや待降節のカレンダーも家庭独自のものが選ばれ,温かな雰囲気が漂います。トルコ生まれの聖人・ニコラウスの祭りをベースに、クリスマスのプレゼント配達人“サンタクロース”を誕生させ、世界各国に広めた国らしく、北アメリカのクリスマス飾りには、ユニークな姿態のサンタクロース人形が目立ちます。
中南アメリカのクリスマス
中南部アメリカの国々では、ヨーロッパが支配した時代にもたらされたキリスト教と土着信仰とが融合し、民族色豊かなクリスマスが祝われます。
インディオが製作した降誕人形(メキシコ・コロンビア・ペルー)や植物繊維を編みこんだツリー飾り(エクアドル)、毛糸細工やブリキ細工のオーナメント(メキシコ)、“ピニャータ”と呼ばれるクリスマス行事用のくす玉など、ヨーロッパとはひと味違ったクリスマス造形を紹介します。南ヨーロッパの影響を受けた地域らしく、キリスト降誕人形が盛んに飾られ、また1月6日の公現節(エピファニー)に登場する三人の博士を模した造形も目立ちます。
アジアのクリスマス
ヒンズー教や仏教などを信仰する国々にあっても、国内のキリスト教徒のため、あるいは輸出用として、ユニークなクリスマス飾りが製作されています。ヨーロッパでは、ツリー飾りには赤い林檎、トナカイ、馬、鳩、モミの木がモチーフとなるところ、南アジアではパイナップル、象、魚、クジャク、ヤシの木と、身近な素材が登場するあたりには、文化の融合と土着化が感じられます。
★日本のクリスマス★
日本で初めてクリスマスが祝われたのは戦国時代。イエズス会の修道士たちによって伝えられたものと考えられます。その後、キリスト教禁止令や幕府の鎖国政策を経て、日本人がクリスマスと再会したのは、明治時代初年のこと。明治7年には、サンタクロースが初めて登場する日本人の手によるクリスマスパーティーが開かれました。明治末期から大正時代にかけて、大都市部に誕生した百貨店とともに、サンタクロースは年末のプレゼントブリンガーとなり、その頃には、日本が世界一のクリスマス用品輸出国となっていました。ここでは、児童文化運動華やかなりし頃(大正末期から昭和初期)の児童雑誌に描かれたクリスマス風景や、昭和の戦前戦後に日本の家庭に飾られていたツリー飾りなどをご紹介します。
アフリカのクリスマス
聖書の読めない人々にクリスマスのメッセージを伝えるために中世のイタリアで始められたキリスト降誕劇の箱庭風人形飾りは、カトリックの普及とともにアフリカへ入ると、その地の人々をモデルに、またその地の伝統工芸をベースにユニークな造形へと変化を遂げました。タンザニア、ケニアの東アフリカ地域、ジンバブエや南アフリカ、マダガスカルの南アフリカ地域、カメルーンやナイジェリアの西アフリカ地域のそれぞれからキリスト降誕の風景を表す人形たちを紹介します。
<会期中の催事>
●解説会
日時=11月23日(日)・12月7日(日)・14日(日)・21日(日)
※各回14:00~
●ワークショップ クリスマス飾り*「麦わら細工ヤギ」を作ろう
日時=11月30日(日) 13:30~15:00
●絵本朗読会
日時=12月23日(日) 11:30~/14:00~
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