展示・イベント案内
exhibition夏の特別展 「世界の船のおもちゃ」
- 会期
- 2003年6月14日(土) 2003年9月30日(火)
- 会場
- 6号館
*船は、人間がつくった乗り物の中でも、もっとも古い歴史をもっていると言われています。おもちゃの船もまた、遠い昔から身近にある素材で様々なものが作られてきました。笹の葉や木の皮など、自然物を利用した船のおもちゃは、日本の子ども達が遊びの中で伝承してきたものですが、驚くほど古い歴史を持っていると思われます。
*大人も仕事の合間に、身近にある船のかたちを真似て、子どもの喜ぶ小さな船を作りました。世界各地の船のおもちゃがその地域の暮らしを彷彿させるのはそのためでしょう。また、移動手段としての船、運搬のための船、漁業のための船、祭礼の船などを模して作られた玩具は、土地ごとに特徴ある船の役割をよく伝えてくれます。
*世界の船のおもちゃをみわたすと、ただ水に浮かべて遊ぶものだけではなく、ゼンマイ仕掛けの船、ゴム動力の船、風力で動く船、ロウソクの熱で動くポンポン船、電池動力の船など、水の上を走らせて遊ぶ船のおもちゃも数多く見られます。それぞれにこめられた知恵と工夫は、子ども達の科学する心を自然に育んでいくようです。
*本展では、世界約50ヶ国から特徴ある船のおもちゃ約800点を集めて、時をこえ、国境をこえて愛される船のおもちゃの魅力をさぐります。「日本の船のおもちゃ」のコーナーでは、明治・大正・昭和の近代的な船のおもちゃと水遊びのおもちゃ、それに祭礼や節句に登場する船のおもちゃを紹介します。「世界の船のかたち」のコーナーでは、日本、アジア、大洋州、アメリカ、ヨーロッパにわけて民族色豊かな船を展示し、おもちゃを通して、各地の船のかたちを紹介していきます。水辺の動物おもちゃも登場する夏らしいおもちゃ展です。
■展示総数 約800点
<日本の船のおもちゃ>
*このコーナーでは、日本近代の船と水遊びのおもちゃ、郷土玩具として各地に伝承される船のおもちゃを対比的に紹介します。
日本の船のおもちゃ~明治・大正・昭和~………ブリキのおもちゃが歓迎された明治時代、セルロイドの全盛期である大正から昭和初期、戦前戦中の物資統制時代、そして戦後のプラスチック時代。それぞれの時代に作られ、子ども達の心をとらえた近代の船のおもちゃを時代の移り変わりとともに展示します。
日本の船のイメージ~祭りの船・節句の船~………京都の祇園祭の船鉾や名古屋の黒船車など、祭礼時の神々の乗り物としてイメージされた船の造形を各地の祭礼玩具を通して見ていきます。また、八朔の節句(8月1日)に登場する尾道の田面船や端午の節句に遊ばれる鹿児島県坊津の唐カラ船など、子どもの節句行事に贈答された地域色豊かな船のおもちゃをあわせて紹介します。
明治時代の船のかたち~軍艦と蒸気船~………明治時代に近代日本の象徴として華々しく登場した蒸気船は、陸を走る陸蒸気(おかじょうき=機関車)と並んで子ども達にも大歓迎され、各地で個性豊かなおもちゃのモチーフになりました。松江の蒸気船、出雲のジョーキ、鳥取の軍艦など、時代を風靡した船のかたちをおもちゃの中に探ります。
日本の水遊びのおもちゃ~明治・大正・昭和~
*水に物を浮かべたり、器に貯めたり飛ばしたり、色を付けたり、温めたり…子どもは、水の遊びを通して、水の怖さや大切さ、また科学する心を学んでいきます。水ポンプや噴水のおもちゃ、浮かべて遊ぶ金魚やアヒルなど、明治・大正・昭和の水遊びを彩ったおもちゃの数々を時代を追って展示します。
船のおもちゃと水遊びの科学
ショウノウ(樟脳)船やポンポン船やなどの仕掛けを持った近代の船のおもちゃのいくつかを取り上げ、科学的な観点からその面白さを紹介します。
<世界の船のかたち>
*このコーナーでは、地域ごとに民族色豊かな船のおもちゃを紹介します。
日本の船のかたち………和歌山や高知で捕鯨に使用された鯨船、房総半島周辺のカツオ船など、四方を海に囲まれた日本には、多くの漁船のおもちゃが伝わっています。それらを中心に、運搬船や観光船、また渡し舟や屋形船などの川船をあわせ、おもちゃの形に注目しながら、日本の船の色と形を探ります。
アジアの船のかたち………台湾の竹筏やタイのサンパンのように、古代の舟の形をとどめるものや、中国のジャンクのように発達した帆船の形を示すものも見られます。トビウオ漁に使われる台湾のタオ族のカヌーやバリ島の漁船、アウトリガー・カヌーなどは、船の模様に豊漁への祈りが込められた美しい船です。
オセアニアの船のかたち………太平洋の海に浮かぶ島々には、交通や漁業のための船が古代より発達し、今に生き続けています。西サモアやフィジー、キリバス、ニューギニアなどでは、荒波にも安定して航行できるように、副船をつけた古代船(アウトリガー・カヌー)が見られ、この地域の特徴となっています。
アメリカの船のかたち………氷に閉ざされた北部アメリカのカヌー、湖に浮かぶペルーの葦船、メキシコ先住民の作る刳り船(くりぶね)、あるいは大西洋を航行するブラジルのジャンガーダなど、風土に根ざした個性豊かな船の形が見られます。
ヨーロッパの船のかたち………他地域の船のおもちゃが、例えば船乗りが守護神への感謝のしるしに奉納する信仰的なものであったり、観光土産的な要素を含んでいたりするのに対し、この地域の展示品のほとんどは、子どものための玩具です。ゴムしかけの外輪船、風で動かす帆船の他、引き車やモビールになった船も見られ、子どもの夢を結びます。
世界の水辺の動物おもちゃ………魚、亀、アシカ、カエルなど、水辺の生き物をモチーフとして作られる世界の動物おもちゃが集合します。
<会期中の催事>
●展示解説会&船のおもちゃ作り
①展示解説会
展示中の船のおもちゃの中から、時代を代表するもの、地域的な特徴があらわれたものをとりあげてご紹介します。昔懐かしいショウノウ船やポンポン船などを動かします。この会場へお集まり下さい。
日時=7月21日(月/祝)・8月10日(日)・14日(木)・15日(金)・16日(土)・
8月24日(日)・9月7日(日)・21日(日)
※各日 14:00~ 30分程度
②船のおもちゃ作り「ゴム動力で走る外輪船」
*船尾につけた水車、その回転によって水中を進む船のおもちゃを製作します。
日時=8月5日(火) 10:00~12:00
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