日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ Toys of this month

2011年11月

「クルミ割り人形」

  • 1990年代
  • ドイツ・エルツゲビルゲ地方/木

 クルミ割り人形は、実用性にとんだ道具で、二百年以上前から作られています。燕尾服の後ろの裾を持ち上げると、大きな口を開け、口にクルミを入れて再び燕尾服の裾を下すと、カチッと音を立てて固い殻が割れる仕掛けです。

*描かれたくるみ割り人形のいろいろ『Holzspielzeug aus dem Erzgebirge』より

 この実用的な木製人形をクリスマスに結びつけたのは、ドイツの作家E・T・Aホフマンの童話『クルミ割り人形とねずみの王』です。1892年、ロシアの作曲家チャイコフスキーは、この物語をモチーフに三幕三場のバレエ音楽「クルミ割り人形」を書き、以降、クリスマスに上演される舞台として世界中で愛されるようになりました。

 あらすじを紹介すると――――クリスマス・イブのパーティーで、小父さまからクルミ割り人形を贈られたクララは、ベッドに入った後もなぜか人形のことが気になり、様子を見に行きます。果たして時計が零時を打った途端、ねずみの大群が現れ、「錫の兵隊」との戦争が始まりました。クルミ割り人形は、ねずみの王と一騎打ち。クララは、人形に加勢しようと、ねずみの王をめがけてスリッパを投げつけます。クララのおかげで人形たちが勝利すると、クルミ割り人形は、お礼がしたいと、クララをお菓子の国へ案内しました…………。どこか哀愁を帯びたクルミ割り人形には、人々の心に霊感を与え、クリスマスの幻想を掻きたてる魔力が潜んでいるのでしょうか。

 クリスマスを待つ季節、クルミは栄養価の高い食べ物として、古くから大事に扱われてきました。クリスマスは、一年の収穫に感謝する儀礼をともなうものであることを考えると、クルミ割り人形がクリスマス・プレゼントに選ばれる理由に気付かされます。

 くるみ割り人形は、現在開催中の6号館の特別展「世界のクリスマス飾り」に展示しています。