日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ Toys of this month

2010年12月

「生命の樹のキャンドルスタンド」

  • 1980年代
  • メキシコ・オアハカ州/ブリキ

 スペインによる征服以前、メキシコに住んでいた先住民の金属細工師は、金、銀、銅の素材で豪華な品々を作っていました。特にオアハカ州に住むミシュテカ人は金の鋳造技術に秀でており、スペイン人が驚くほどその技術は完璧でした。この作品の素材は、ブリキが使われていますが、綺麗な細工が施してあり、古来より続く金属細工技術が活かされています。

 ところで、「生命の樹」は、古代メキシコでは再生と生命と豊饒を象徴する聖なるセイバの木であり、天上界と地下界、すなわち神々の世界と人間界を結ぶ“宇宙樹”でありました。「生命の樹」には、メキシコ本来の宇宙観とスペイン人がもたらしたカトリックの宗教観が同時に表現されているかのようです。

 生命の樹のモチーフは、アダムとイブ、ヘビその他派手な装飾を施したものがほとんどですが、写真の作品は、先住民の太陽信仰を表現した太陽を中心に、星とハート、天使や楽器が選ばれています。先住民文化とスペイン文化の融合した造形であり、カラフルな色彩にメキシコらしいきらめきが感じられます。また、土台をみると、垂直に伸びた手は、上方に向って人差し指を立てています。そんな表現からも、この生命の木は作家による芸術作品ではないかと推測します。クリスマス装飾らしいキャンドルスタンドになっていて、メキシコの精神世界へと、想像の翼を広げてくれる一品です。

 「生命の樹のキャンドルスタンド」は、現在6号館で開催中の特別展「世界クリスマス紀行」でご紹介しています。