「イースターのウサギ」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2013年4月

「イースターのウサギ」

  • 1990年代/1970年代
  • ドイツ・エルツゲビルゲ地方/木

ドイツをはじめとするゲルマン系の国々では、復活祭“イースター”には、ウサギが卵を運んでくる(あるいは産む)とされてきました(フランスやイタリアなど、ラテン系の国々では、教会の鐘が運んでくると考えられています)。

 ウサギは多産であることから、古来、豊穣のシンボルであり、跳ねまわるウサギは生命の躍動を表現する動物です。ドイツなどには、ウサギの自己犠牲や献身を示す伝説などがあり、またその目が月(欠けて見えなくなってもまた満ちていく月をキリストの復活にみたてる)を連想させるとして、イースターと関連づけて考えられてきたようです。

 写真は、ドイツのエルツゲビルゲ地方で作られた小さなウサギたち。卵殻に生けた花の傍にウサギたちを配してイースターらしくセッティングしてみました。

 こちらも、エルツゲビルゲ地方の木製玩具で、高さ7cmほどの小さなウサギたち――お父さんウサギ、お母さんウサギ、お兄さんウサギ、お姉さんウサギ、子ウサギ――が家族揃ってイースターエッグ(Osterei)にペインティングを施している様子です。イースターのウサギは、そうして彩色した卵をそっと人々の家の庭へと隠すと、ドイツの子どもたちは信じているのです。

 イースターのウサギ玩具の愛らしさからは、生命の源を抱えて春先の大地を跳ねまわるウサギたちへの、人々の暖かなまなざしが感じられます。