「ジャガンナート三神の仮面」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

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2008年10月

「ジャガンナート三神の仮面」

  • 1970年代
  • インド・オリッサ州プリー/紙
ジャガンナート三神の張子面(左上=バララーマ 左下=ジャガンナート 右=スバドラー)

  住民の大多数がヒンズー教に属すインド。いずれの地域の人々も土着の神々をはじめ、祖霊や穀霊、地霊などを信仰し続けてきました。
 

 12世紀の中頃、オリッサ州プリーに壮大な石造の寺院が建てられました。木造の本尊はジャガンナート神で兄バララーマと妹スバドラーの三体が祀られ、プリーの町は巡礼に訪れる一大聖地となりました。

ジャガンナート三神をまつる寺院

 雨季のさなか、ジェーシュタ月(太陽暦の5月から6月にあたる)の満月の日にジャガンナートなど三体の神像は、本殿から運び出され、沐浴の儀式を受けます。その15日後(アーシャーダ月の新月の日の翌日)、山車巡行祭が始まります。毎年新たに作りかえられる木製の三台の山車は13mほどもあります。子どもたちも高さ30~40㎝の小さな山車を作り、ひきまわして遊びます。
 ところで、写真の張子面はジャガンナート大祭の日に露店で売られているものです。クリシュナ三兄弟の仮面の中で、ジャガンナートは、宇宙を支配するクリシュナ神の黒髪から生まれ、兄バララーマは、白髪から生まれたといわれています。ジャガンナートの妹スバドラーは中央に位置し、三仮面は常にこの順に並べられます。

  仮面をかぶることで、人は神や英雄になってみるという変身願望をもっています。インドの子どもたちは、神々とあそぶことによって、神に近づき、玩具を通してそのかたちの意味や神格に親しみます。そして、子どもなりのやり方でこの祭りに参加し、神と人との関係を学びとっていきます。
 この仮面は、現在1号館で開催中の「世界の仮面とまつりの玩具」展でご紹介しています。