今月のおもちゃ
Toys of this month
2007年7月
「京劇あそび」
ジュアーン! ジュアーン、ジュアーン・・・・・・ジュアーン!
人形がのった銅製盆の端を木の棒で叩くと、銅鑼のような音に合わせて、手に武具を持った京劇人形が思い思いに回転し、あたかも芝居をしているかのようなしぐさをします。
人形たちの高さは15cm。回転の仕掛けは、人形の底の部分に丸く取り付けられた長さ5mmほどの豚の毛(昔は馬のタテガミ)にあって、盆の振動の加減で、人形が激しく、また静々と動きまわります。力いっぱいに叩いても人形が倒れにくいのは、底の部分が粘土で固められていて、安定がよいからです。
「京劇遊び」は、北京の伝統玩具のひとつで、かつては春節(中国の正月)で売られていました。百年ほど前には非常に人気があり、1915年にカナダで開かれた万国博覧会で銀賞を獲得するほどの有名玩具でしたが、その後、種々の事情から次第に忘れ去られ、1950年代には、作る人も途絶えてしまいました。
近年になって、行政主導で復興にのりだしたところ、幸い、かつての作者を探し出すことが出来たそうです。その方たちから、技術の伝授を受けた白大成氏(書画や京劇の愛好家)は、さらに創意工夫をこらして、立派な作品を作り上げるのに成功しました。
写真でご紹介するのは、1998年に上海児童博物館から寄贈を受けた白氏の作です。現在開催中の特別展「世界の国の人形」でご紹介しています。