「金助まり」 | 日本玩具博物館

日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2017年2月

「金助まり」

  • 1990年代
  • 鹿児島県鹿児島市/縮緬布・絹糸

 直径30㎝にもなるこの大きなまりは、鹿児島地方で幕末に桃の節句を祝う飾りとして、雛人形の段飾りの隣に天井から吊り下げて飾られていました。遊ぶためのものではなく飾り用で、この地方独特の薩摩雛、押し絵とともに雛祭りの飾りとして欠かせないものであったようです。大きいもので60~70㎝にもなり、全国郷土玩具の糸布鞠の中で最も大きいサイズです。

 山吹の芯や鉋屑を丸めた上に糸を巻いて下地を作り、ちりめんなどの布を巻いて、その上に色とりどりの糸で刺繍が施されます。刺繍のモチーフには宝船、唐獅子と牡丹、松竹梅、鳳凰など、縁起のいい豪華な意匠が用いられます。当時は鹿児島城下の下級武士階級の女性の手内職として作られ、売り歩かれました。
 赤いちりめんの上に鳳凰や宝船、桜の花の刺繍が美しいこちらの金助まりは、当館3号館の常設コーナーでご覧いただけます。