「犬山土人形・内裏雛」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2010年4月

「犬山土人形・内裏雛」

  • 江戸末期
  • 愛知県犬山市/土

  江戸時代、高価な衣装雛は一般庶民には手が届かず、京都伏見で土人形が作られ始めると、全国各地で伏見人形をもとに地域色豊かな土雛が作られました。
 古くから交通や物流、政治の要所として栄えてきた愛知県犬山市は江戸時代には城下町として発展し、三州瓦の生産地が周辺にあったことから、多くの土人形の原型が生み出されたとも言われています。この周辺では、土人形のことを「おぼこ」と呼び、農村歌舞伎の影響により歌舞伎ものも多くみられます。

 大正の末頃に廃絶した犬山土人形は、幻の土人形と言われましたが、昭和に入り、郷土玩具研究者によって調査され、特徴などが知られるようになりました。土人形を作るための良質な粘土が犬山周辺には豊富にあったので、白色で肉質が薄く、軽く焼き上げられています。また、型は平面的で、朱や緑青を中心とした淡い色彩により独特の雰囲気を醸し出しています。

 この写真の内裏雛は三河系土人形とは異なる型で焼かれ、高さ13.5㎝です。古今雛を模したもので、ニスが塗られていないことからも江戸時代末期の作品だと推測されます。この土人形は、現在開催中の「ふるさとの雛人形」の中でご紹介しています 。