日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2018年4月

「セマナサンタの張子面と聖体祭のムーラ(ラバ)」

  • 1980年代
  • メキシコ・グアナファト州セラヤとメキシコシティ/紙・きびがら

復活祭

 キリスト教を信仰する人々にとって、復活祭は最も重要な祝祭です。世界各地で毎年3月下旬から4月にかけてイエス・キリストの復活を祝う復活祭が行われます。メキシコでは復活祭当日までの一週間をセマナ・サンタ(聖週間)と言い(今年は3月29日~4月1日)、期間中は学校や仕事も休みとなり、町中で復活祭の準備が行われます。そして町のいたるところで見られるのが、張り子で作られた「フーダス」や「デアブロ」の人形や仮面です。

セマナサンタの張子面

 「フーダス」はキリストを裏切ったとされるユダのスペイン語読み、鬼のようなツノをもつ「デアブロ」は聖母マリアに屈服した悪魔をイメージしたものといわれます。復活祭当日になると、悪の象徴として張り子のフーダスやデアブロを各家庭や街の中心で盛大に焼き払います。

聖体祭のムーラ(ラバ)

 また、キリスト復活の日から60日後の木曜日(今年は5月31日)には、コルプス・クリストと呼ばれる聖体祭が行われ、先住民の民族衣装で正装した子どもたちが教会にやってきます。教会の前の露店には、トウモロコシの皮で作られた大小のムーラ(ラバ)の玩具があふれ、子どもたちは自分のムーラを手に入れます。ラバは雄のロバと雌のウマの交雑種で、メキシコでは古くから家畜として飼育されてきた生活にかかせない動物です。そしてムーラの背中にとりつけられているのは、農産物を入れる箱や籠、お酒の入れ物です。16世紀以降、スペイン人によるキリスト教化によって、先住民の人々もムーラ(ラバ)に荷物を載せて、カトリックの祝祭や教会の前で開かれる市にやってきたといいます。古くからのパートナーへの親しみも込めて、メキシコの人たちはこの日を「ムーラの日」と呼んでいます。 セマナ・サンタの張り子面と聖体祭のムーラ(ラバ)は4号館2階の世界の玩具でご紹介しています。