*6号館の特別展「日本の節句飾り」ならびに「子どもの晴れ着」のメインケースとランプの家を「八朔雛*後の雛」に展示替えしました | 日本玩具博物館

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2025.09.03

*6号館の特別展「日本の節句飾り」ならびに「子どもの晴れ着」のメインケースとランプの家を「八朔雛*後の雛」に展示替えしました

日本各地、特に瀬戸内海沿岸地方には、“たのもの節句”と呼ばれる八朔(旧暦8月1日)の行事が数多く伝承されてきました。“たのも”とは、田の面、田の実とも綴り、旧暦八朔は、田に実りゆく稲の健やかなことに感謝を捧げる節句として知られています。郷土玩具の世界にも、この節句に「八朔雛」や「八朔馬」「田面船」など、子どもの誕生を祝い、健やかな成長を祈って贈答される人形や玩具が残されています。兵庫県たつの市室津や岡山県瀬戸内市牛窓などには八朔に雛人形を飾る風習が伝わっており、現在は街をあげて、月遅れの“八朔雛まつり”が行われています。

岡山県牛窓の「八朔雛かざり」風景/兵庫県室津の「八朔雛まつり」風景

八朔だけでなく、かつては旧暦9月9日の重陽にも雛人形が飾られていました。重陽は五節句のひとつで、菊を用いて不老長寿を願うことから“菊の節句”とも呼ばれます。江戸時代後期には、桃の節句に飾った雛人形を菊の節句にも虫干しを兼ねて飾り、健康と長寿、厄除けなどを願う風習がありました。重陽に飾る雛人形を「後の雛」と呼びますが、桃の節句には段飾りや御殿飾りなど、すべてを賑やかに飾り付けるのに対して、重陽の節句には、内裏雛だけを飾ることが多かったようです。ちなみに、八朔に飾る雛も広い意味では「後の雛」に含まれます。

瀬戸内地方で飾られていた古今雛(明治末~大正期)―「後の雛」として展示しています

本年、旧暦八朔は9月22日、旧暦重陽は10月29日に当たります。そこで、9月4日から特別展「日本の節句飾り」ならびに「子どもの晴れ着」の会期が終了する10月19日までは、東室中央ケースにかつて瀬戸内地方で飾られていた古今雛を「後の雛」として展示し、あわせて八朔の節句に登場していた郷土玩具、――福岡県太宰府や長崎県壱岐の「八朔雛」、広島県尾道の「田面船」、福岡県芦屋の「八朔馬」などをご紹介します。ランプの家でも秋の草花がデザインされた子どもたち着物とともに「後の雛」を飾って菊の節句を祝いたいと思います。ご来館の皆さまには、桃の節句や端午の節句、七夕の人形飾りと合わせてご覧ください。

ランプの家にも後の雛、菊花や秋の七草模様の子どもの着物を展示しました

ブログ・アーカイブには<見学レポート>として、尾崎学芸員が八朔や重陽の行事について紹介していますので、よろしければ、ご一読ください。

<見学レポート>八朔・重陽2017→
<見学レポート>丸亀の八朔だんご馬→★★
<見学レポート>牛窓の「八朔ひなかざり」→★★★
<見学レポート>京都の重陽節→★★★★
<見学レポート>宮島の八朔行事「たのもさん」→★★★★★