「カショエラ土人形・三人の博士」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

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2017年11月

「カショエラ土人形・三人の博士」

  • 1995年
  • ブラジル・バイヤ州/土

 1995年、日伯修交百周年記念事業の一環として、ブラジルの企業メセナともいえる団体「SESC」からの依頼を受け、大掛かりな日本の伝統玩具展を彼の地で開催したときのこと、展覧会準備や撤収作業に渡伯したチャンスにブラジル各地の民芸玩具の収集を行いました。

 世界の国々からの移民によって成り立つブラジルという国は知られざる民芸の宝庫で、特に旧首都のバイヤ州サルバドール周辺には多くの民芸産地が残されています。カショエラ村の土人形もそのひとつで、土をこね、手ひねりで形をつくった後は乾燥させて彩色するという、とても素朴で魅力的な造形です。焼成しないこともあって、重く、またもろいため、地球の反対側にあるブラジルから持ち帰るのには非常に骨が折れましたが、動物や人形など、楽しい作品を収集することが出来ました。 その中のひとつが「三人の博士」です。三人の博士は、新約聖書『マタイによる福音書』に記されたエピソードに登場する人物。カスパール、メルキオール、バルタザールの名で知られます。占星術の学者である彼らは、救世主(新王)の誕生を告げる星の位置を手掛かりに、ベツレヘムのイエスを訪れ、乳香、黄金、没薬の三つの贈り物を捧げます。その日が1月6日。キリスト教世界では「公現節(エピファニー)」と呼ばれます。

 カショエラ村の三人の博士は、高さ約20㎝。ラクダや馬にのってベツレヘムを目指す姿で表現されています。バイヤ州では、公現節の日、三人の博士からプレゼントをもらう習慣もあり、カスパール、メルキオール、バルタザールは子どもたちから敬愛を受けています。  11月3日から6号館で開催する「世界のクリスマス展」でご紹介しています。