今月のおもちゃ
Toys of this month
2016年12月
「天使の楽団」
セヴィ社は、ヨーロッパを代表する木製玩具会社のひとつで、森林資源が豊かな北イタリアのドロミテ地方で製作を行ってきました。セヴィ社が、ジョセフ・アントン・セノネール(Josef Anton Senoner)によってドロミテ溪谷の小さな村、オルテッセに設立されたのは1831年のこと。セヴィ社が設立された頃、この地方はオーストリア領に属していたため、玩具デザインの基本には、中部ヨーロッパの木製玩具に通じる雰囲気が感じられます。 当館は世界の玩具収集を開始した1979年頃より、セヴィ社の玩具に注目して収集し、現在、500点を超える作品を所蔵しています。
写真は、1980年代に製作された六人の楽団で、高さ5㎝ほどの小さな天使。手には楽器や楽譜をもっています。美しい音楽とかわいい歌声も聞こえてきそうです。
セヴィ社の作品は、ロクロを使った丸いフォルムが特徴で、材料には、間伐材を使用し、絵の具も有機的な顔料を用いています。メルヘンチックでかわいい表情の作品は、世界中の子どもたちに愛されてきましたが、残念ながら、1999年にはセヴィの版権が他社に譲渡され、現地では製作されていません。
この資料は、現在開催中の冬の特別展「世界のクリスマス」で展示しています。