今月のおもちゃ
Toys of this month
2016年11月
「ビフライムの仮面仮装人形」
ルーマニアの北東部、モルダビア地方では、大晦日の夜から新年にかけて、「ビフライム」と呼ばれる年越祭が行われます。老人やヤギ、クマなどの仮面をかぶった若者の一団が太鼓を叩きながら家々を回り歩きます。大きな音を立て、恐ろしげな形相で子どもたちを怖がらせる様子は、日本の「なまはげ」の祭り(秋田県男鹿地方)を思わせます。
ルーマニアの農村では、秋に実りをもたらした豊穣の神は、太陽の光が弱まる冬至のころに一旦死に絶え、また新たに生まれた神の来訪とともに新年が始まると考えられてきました。ビフライムの祭りに登場する老人の姿は朽ち果てようとする旧年を表わし、クマやヤギなど異形の動物たちは、来る年の豊かさと野生の恵みを象徴しています。
写真は、ビフライムの仮面仮装団を表した人形で、高さが50㎝もある大型。日本玩具博物館と交流のあるルーマニア・シビウ民族博物館から1993年の新春に寄贈を受けたものです。人形の製作者、アルグ・イオンさんは、「こうした人形を通じて、古くから行なわれてきた年越祭の姿を次代の子どもたちに伝えていきたい」と寄贈資料にメッセージをつけて下さいました。
この資料は、11月15日まで1号館で開催中の「世界の仮面と祭りの玩具」展でご紹介しています。