「かくれ屏風とヤコブのはしご」 | 日本玩具博物館

日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2016年9月

「かくれ屏風とヤコブのはしご」

  • 1980~90年代
  • 日本とヨーロッパ各地/木

 絵が張り付けられた5枚の厚紙を折りたたみ、開くとその絵が消えているという仕掛けのある玩具です。

 こちらの玩具は江戸時代から遊ばれており、安永2(1773)年刊行の『江都二色(えどにしき)』には絵図とともに「かくれ屏風」の名称を見ることが出来ます。また江戸時代の終わり頃は「団十郎のからくり」とも呼ばれていたようで、嘉永6(1853)年刊行の『守貞漫稿(もりさだまんこう)』にはこちらの名称とともに「京阪は黒厚紙五片を白紙で両端と中央を交互に挟み、江戸製は杉板をつないで作られる」と玩具の説明が書かれています。構造が同じ玩具でも、京阪と江戸では素材に違いがあったと分かります。

 江戸時代から伝わるこの玩具は近代には「ぺたくた」や「ぺこたん」等の名称で呼ばれ、昭和に入っても駄菓子屋で売られていました。手品のようなこの不思議な玩具は、長きに亘り子供たちに愛されていたようです。

ヨーロッパにも同じ仕組みの玩具があり、こちらは「ヤコブのはしご」と呼ばれています。ヤコブのはしごとは、旧約聖書に出てくるヤコブが見た夢の中で、雲の隙間から差し込む光のはしごが天と地を繋ぎ、天使が上り下りしている光景のことを言いうのですが、この玩具の動きが天使の上り下りする様子を連想させます。

 当館ではおもちゃ作り教室で「かくれ屏風」の作り方を今もご紹介しています。作ってみたい方はぜひお誘いあわせの上ご連絡ください。 またこちらの玩具は6号館で開催中の「神戸人形と世界のからくり玩具」の展示会場でご紹介しております。