「享保雛」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2005年2月

「享保雛」

  • 江戸後期
  • 京阪地方/練物・木・布

 江戸時代の雛人形は、発達する過程において数々の様式を生み出しました。時代の名前をとって寛永雛、元禄雛、享保雛などの呼び名があり、また次郎左衛門雛、古今雛なども有名です。
 当館春の特別展「江戸から昭和のお雛さま」に展示する資料の中でひときわ目を引くのが大型の享保雛です。段飾りが発達していなかったためか、18世紀の雛人形は今日より大きく作られていました。

 享保雛の特徴は、目が切れ長、少し口を開いた立体的な表情にあります。金襴、錦の装束をまとい、男雛は両袖を高らかに張りあげた姿、女雛は五つ衣、唐衣にたっぷりとした緋袴姿です。享保雛といっても、享保年間(1716~1736)に作られたとは限らず、実際、明治時代に入ってからの雛人形でも、この様式のものは享保雛と呼ばれています。

 写真の享保雛は今回初公開。近江の旧家の蔵から発見されたもので、親王台に座した姿で50cmほどの高さがあります。堂々として気品に溢れる作品です。