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blog賑やかだった6号館、人形たちの平和な世界
●10月9日で「世界の国の人形」展が終わります。今夏は、世界の国々から1000体の人形たちが集い、6号館展示室は喧しいほどの4ヶ月間でした。
●人形の表情、衣装、仕草―――その美しさ、奇抜さ、温かさ、素朴さ、畏さ、哀しさ、厳かさ……、一つ一つの作品にそれぞれのよさがあり、優劣はつけられない。
●人形の表情、衣装、仕草―――数え切れないほどのバリエーションがあり、どれもこれもひとつとして同じものがないから素晴らしい。
●海外からの来館者は、多くの展示品の中からいち早く、自国の人形を見つけ、「これは、間違いなく、私たちの(あるいは祖先の)姿です。」と誇らしそうに微笑まれます。そして、先日も、校外学習で来館した小学3年生たちは、展示品の中に一つだけ加え置いた東北地方の「こけし」を、数多くの作品の中から見つけ出すことができました。「日本の人形は・・・これでしょ?」と。
●小さいながらに、作られる国や民族の文化をしっかり体現した人形の姿は、今、この地球に暮らす人々そのもの。だから、私たちは自分たちの小さな自画像を当たり前のように見つけ出すことが出来るのです。
●「展示が終わる時にね、み~んな、手をつながせて、記念写真を撮ったらどうかしら?! 世界平和のポスターに使えるわよ!」 もうすぐ展示が終わると聞いて、観にこられた当館友の会の女性が笑いながら、そう言われました。
●他国の人形を愛でるように、形あるどの人形にも同様の愛情を注ぐように、互いの文化を尊重し、互いの存在をいつくしみ合うことができたら、どんなに平和な世の中でしょうか。来館者の皆さんが、一つ一つの人形たちを優しい笑みを浮かべてご覧になっておられる様子に接する度、しみじみと思ったことです。
●1000体一同の記念写真はいくらなんでも無理でしたが、今日、展示風景のすべてを画像資料に収めました。
●先月は、館内外の秋の展覧会を3つもオープンし、さらに引き続いて、群馬県立の博物館「日本絹の里」で開催する「暮らしの中のちりめん遊び展」(10月27日~12月10日)の準備……と、学芸室はてんてこ舞いしていたのですが、また、9日の夜からしばらくかけて、4ヶ月間の汚れをぬぐい、人形たちを収蔵庫やそれぞれの常設展示場所へ戻す作業を行います。
●そして、次の特別展「世界のクリスマス」を、スタッフ総出で用意いたします。今月は何といっても、子どもたちの遠足シーズン。幼稚園や小学校の学年単位での来館がぐんと増える時季ですから、一日も早く6号館をクリスマスオーナメントで満たし、季節を先取りしたいと意気込んでいるところです。
(学芸員・尾崎織女)
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