展示・イベント案内
exhibition秋の企画展 「ミニチュアおもちゃの世界」
- 会期
- 2006年9月9日(土) 2006年11月21日(火)
- 会場
- 1号館
*掌がベッドになるほどの小さな人形、その人形の手に合わせて作ったカップやスプーン。マッチ箱ほどの立方体には小さな桝目が描かれ、その上には息をとめて遊ばなければ飛ばされてしまいそうな白と黒の碁石。大きな虫眼鏡でためつすがめつ覗きこんでやっと蟻の頭ほどの独楽……。「なにもなにもちひさきものはみなうつくし」と語る『枕草子』を思い出すまでもなく、小さなものへの愛しみは、誰もがもっている感情のようです。日本玩具博物館には、子どもの心をとらえる玩具とともに、世界の国々から小さな小さな玩具が少しずつ集まっています。生活の道具としての実用性はもちろん、手にもって遊ばれるサイズをはるかに下回るそれらの小さな造形を、私たちは「ミニチュア玩具」と呼んで、テーマごとに展示し、その魅力を探ってみたいと考えました。
*ミニチュアは、古代中国や縄文時代の墳墓から副葬品として出土する小さな土器に、その起源を求める説があります。祭具か、玩具か…その用途は不明ですが、現実世界を封じ込めた小さな造形に強い霊力が宿るという信仰は、世界各国に残る伝説などから伺い知ることができ、副葬品のミニチュアはそうした信仰とも関係がありそうです。ミニチュア造形が発達するのは、あるいは携帯する必要性、あるいは輸出時の商品体積を少なくするためなどという実用的な目的をもつ場合も考えられますが、多くの場合、実利を越えて、小さく作ることへのこだわりや、縮小されたもののもつ美しさや愛らしさへの憧憬と結びついているように思われます。
*本展は、日本のミニチュア玩具を中心に、世界各国から約1000点の資料を集めて「暮らしのミニチュア」「小さな玩具たち」「小さな町づくり」の三つのテーマで展観するものです。生活のレプリカとして、文化の縮図として、美意識の結晶として、さらに人間の手業の展覧 として、ミニチュア玩具の数々を楽しんでみたいと思います。
■総数1,000点
◇小さな町づくり
*玩具の世界は、社会の縮図だといわれます。家、店、学校、教会、動物園、あるいは祭りや結婚式、パーティー…ありとあらゆるものが模倣されて小さな世界の住人となります。ミニチュアおもちゃが玩具の世界の小ささをこえるのは、「縮小美」への限りないこだわりでしょうか。
江戸小物細工~日本~………江戸時代の茶店や物売り屋台などを、人形の舞台
セットを組むように小さく作り上げていく江戸小物細工の
風情ある作品を町なみに仕立てて展示します。
エルツのミニチュア玩具~ドイツ~……鉱山山脈地方でマイスター(熟練工)が腕
をふるうミニチュアの部屋、遊園地、町並を一堂に集めて。
マーケットスタンド~東欧・中南米~……野菜やパン、生活雑貨、食器や壷を
商う市場の様子を表わす楽しいミニチュア玩具の色々を
各地から集めて。
手のひらの中の町……世界のミニチュア玩具の中から、家や森や牧場などを映
して作られる「手のひらの中の町」を楽しく紹介します。
◇暮らしのミニチュア
身のまわりにある見慣れたものを縮小することで、新たな価値や美しさが生み出された暮らしの中のミニチュアをテーマごとに紹介します。
小さな道具たち……ままごと遊びに使うにはあまりに小さすぎる食器や家具は、
形の道具と思える極小の世界です。雛道具のミニチュアや挽
きもの細工の茶道具、ヨーロッパのミニチュアハウスのため
の家具や食器のいろいろを。
縮小された風俗人形……各国の子どもの姿のミニチュアを。メキシコやブラジル
の祭礼風俗人形、インドの楽団や中国の小さな泥人形な
ど、身の内に国の文化をまとった風俗人形を展示。
◇小さな玩具たち
子どものために作られた小さな玩具の色々は、ただでさえ小さいものです。それをさらに縮小するのは、愛らしさと遊び心を極めたい心情からでしょうか。
玩具のミニチュア尽くし……日本全国の郷土玩具の代表作品を小箱にまとめあげ
た「尽くしもの」の世界を。全国郷土玩具尽くし、凧尽く
し、羽子板尽くし、絵馬尽くしなど、小さく作ることと
それらを集めること、その両方のよろこびを満たす面白
い作品群をご紹介します。
おまけの玩具……おまけの玩具が子どもの心をとらえたのも、玩具の小ささへの
愛着と自分だけの世界を作ることの喜びなのでしょうか。時代
を映すおまけ玩具の色々を、ミニチュアの町を描くように展示
します。
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