日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2020.08.20

『世界の民芸玩具―日本玩具博物館コレクション』出版へ


昨年度から心を傾けて準備を進めてきた書籍『世界の民芸玩具―日本玩具博物館コレクション』(尾崎織女著・高見千香写真/大福書林)の出版準備が整い、9月上旬には、一般書店にも並ぶ運びとなりました。 

『世界の民芸玩具ー日本玩具博物館コレクション』
B5・上製・160ページ・オールカラー/定価3,000円+税  


日本玩具博物館は、日本の郷土玩具をはじめ、近代化のなかで存在価値を失い、顧みられなくなった玩具や人形を世界中から収集してきました。それらには作者個人の美意識や造形感覚を超えて、部族や民族、また地域や国の枠内で長く受け継がれた独自の表現様式があり、選ばれる題材や素材、彩色や文様、あるいは動く仕掛けや音色にも共同体のメッセージが象徴的に表現されています。
本書では、日本玩具博物館が所蔵する20世紀の「世界の民芸玩具コレクション」の中から56種類を選び、鮮やかな写真と解説によってそれらの魅力を伝えようと試みています。また、民芸玩具を数多く有する5つの国を取り上げ、それぞれの玩具文化を紹介するほか、国境を越えて同じような姿形をもつ作品を集め、10のテーマで民芸玩具の普遍性と産地の個性を探っています。

書籍のなかを少しご紹介します――「モロッコ・リーフ地方の素焼きの動物造形」
書籍のなかを少しご紹介します――「民芸玩具の宝庫① 中国」 

この本の出版企画をもたらして下さったのは、デザイナーの軸原ヨウスケさんと大福書林の瀧亮子さんです。軸原さんは「遊びのデザイン」をテーマに新たな視点で玩具の開発を行い、こけしブームの火付け役のお一人ともいわれている方。「民藝」周辺の文化的諸相についての素晴らしい著書があります(『アウト・オブ・民藝』)。世界中に存在する郷土玩具における民芸の美を書籍のなかで表現してみませんかと編集者の瀧さんを伴い、ご来館下さったのは一昨年のことです。

それから一年以上をかけて、取り上げる候補作品の選定と執筆の準備を進めてきました。今年に入り、館外にも設けているあっちの収蔵部屋、こっちの収蔵庫…と駆け回って候補作品を集め、撮影のための作品選定に入りました。下の画像は、去る1月30日、作業場にずらりと候補作品を並べ、どれを掲載しようかと検討している様子です。

候補作品(中国の民間玩具)

掲載作品選定の様子―――畏れながら、昭和47年に出版された『世界の民芸』(外村 吉之介・浜田庄司・芹沢銈介著/菅野 喜勝写真)に続くようなものにしたいと話し合い、160頁の書籍に見合う数の掲載作品を決定しました。


新型コロナ感染症拡大を受けて緊急事態宣言が出される少し前、2月26日から5日間かけて撮影作業を行うことが出来ました。写真家の高見知香さんを迎え、瀧さん、軸原さんとともに作品のもつ美や独特の力を引き出すべく、暗室にこもってそれぞれの作業に没頭しました。ロケ撮影では、花や葉や麦わらや・・・をあしらい、近所の神社や土の地面や石垣や・・・を背景にして、温かくも清新な写真の数々が誕生しました。

ロケ撮影の様子。館の傍にあるアベマキの林で中南米のアルマジロを撮っているところです
そして、こんなページが生まれました!
ドイツ、イタリア、チェコのベビードールの写真ページをセッティングしているところ。軸原さんのアイディアにより、庭に満開の山茶花や椿を花を集めて人形たちのベッドに・・・。どんなページに仕上がったかは、本書をお楽しみに!

7月に入り、数週間かけて校正作業を。何度見直しても、また訂正箇所が現れ、校正には気力が要りますね……。

第1回目の校正作業
色校正――現物に色と比べて印刷された色の確からしさをチェック!


時代の大きな転換点に立たされている今、人々の幸福への祈りとともにあった
20世紀のこころ優しい玩具たちからのメッセージを、皆さまのもとにそっとお届け出来ればと思っています。これまでありそうでなかった一冊、―――出版されましたら、ぜひ、お手にとってご覧くださいませ。(尾崎織女)

現在は大福書林のサイトでの予約が開始されていますので、ご案内させていただきます。
よろしければご訪問下さい。
  http://daifukushorin.com/gangusp.html (特設ページ)
  https://daifukushorin.stores.jp/(ショッピングページ)

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