世界のクリスマス展へのお客さま | 日本玩具博物館

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学芸室から 2016.11.27

世界のクリスマス展へのお客さま

*コロンビアからのお客さま

先日、コロンビアの首都ボゴタからのご来館者が、「これを寄贈したいのです。」とボゴタの玩具店で求めたというけん玉(Balero) と投げこま(Cumbre)を差し出されました。「まぁ、嬉しい!!コロンビアのBaleroは玩具博物 館に1点もなかったんですよ。どうしてこのようなご親切を受けるのでしょうか?」―――先年、日本を旅行中に当館を訪ねた彼のお母様が「とても楽しくて、館の皆さんが親切なところだから、ぜひ訪問するように。」とすすめて下さったそうです。日本を旅行することになった彼は、コロンビアからのギフトをもって訪ねて下さったのです。BaleroやCumbreの遊び方なども彼に披露してもらい、それはとても素敵な出会いとなりました。玩具博物館の資料は、このような日常的な交流の中で少しずつ増えていくのです。

井上館長が回した姫路の鉄輪こまを手のひらに受けるコロンビアから来館者
コロンビアのけん玉(Balero) と投げこま(Cumbre)


★クリスマス展へのかわいいお客さま

さて、今年も「世界のクリスマス展」会場に、小さなお客さまをお迎えする頃となりました。近隣のキリスト教系の幼稚園などから日々、3歳、4歳、5歳のかわいい子どもたちが目をきらきらさせてやってきます。
「クリスマスは何をお祝いする日ですか?」――という質問からはじめて、キリスト降誕人形をみていただき、世界の国々のサンタクロースの人形とその伝承についてお話しします。12月6日の聖ニコラウス・デーには、今でもドイツ南部やオーストリア、スイスなどの古い町には鬼を連れた聖ニコラウスが訪れるのですが、「悪い子には鬼がお仕置きをします。聖ニコラウスが持っている木の枝はお尻を叩くムチなんですよ!」とお話ししたら、3歳の男の子が涙をぽろぽろこぼして泣き出してしまいました。なんと、ピュアな心なのでしょう…。言葉は、目の前の情景とともに胸に沁みていくものだから、小さな子たちの前では特に言葉を大事にしないとならないとあらためて思ったことです。

右手にプレゼント、左手にお仕置きのムチをもった聖ニコラウスの煙出し人形

お話のあとは、煙だし人形にお香を仕込み、オルゴールの静かな音色を流し、「光のピラミッド」に火を点して人形台がくるくる動く様子を皆で見つめます。クリスマスを待つ季節の光と音と匂い……。その温かな情感がたくさんの小さな心へ沁みていくといいなと思います。

キリスト教系のこども園からのかわいいお客さま


クリスマス展会場では、日々、「まぁ、なんと嬉しい!」と思う風景に出合います。老夫婦がお子さんたちとのクリスマスの思い出を語りながら、昭和30年代の日本のクリスマスツリーを見入っておられたり、展示室に設置しているクリスマスの絵本を4~5歳ぐらいの女の子がお母さんたちに読み聞かせをしていたり……。そうした様子をまた別のご家族が微笑みながら見ておられたりするのです。大切にしたいと思う玩具博物館の風景です。


★ヘクセンハウスが届きました!

そして昨日は、アウスリーベの曽根愛さんから日本玩具博物館の「世界のクリスマス展」へ、ステキな素敵な贈り物「ヘクセンハウス(Hexenhaus)が届きました。ヘクセンハウスは、グリム童話の『ヘンデルとグレーテル』に登場する菓子で出来た魔女の家のことで、小さな家を実際に食べられる菓子で作ったもの。レープクーヘンハウス(Lebkuchenhaus)とも呼ばれます。

アウスリーベの「ヘクセンハウス」

クリスマスの風物詩として、ドイツを中心に多くの人たちに愛されているクリスマス菓子です。2013年11月に、お菓子研究家の三久保美加さんから曽根愛さんのへクセンハウスをお贈りいただき、3年間、クリスマス展会場に展示させていただいたのですが、4年目の今年はさすがに飾れる状態ではなく、残念に思っていたところでした。曽根さんは長くドイツで修業されたドイツ菓子のマイスター。その技術によって、空調のない我が館でも3回もの冬が越せたと思います。クリスマスを彩る「お菓子のオーナメント」のコーナーに展示させていただきました。

「ヘクセンハウス」に見入る子どもたち

小さな子どもたちは舌なめずりしながら、大人の皆さんは夢見るようなまなざしでヘクセンハウスを見つめておられます。

(学芸員・尾崎織女)

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