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学芸室から 2019.12.12

クリスマスカレンダー*12月6日―聖ニコラウスの祝日

さて、これらの人物は誰でしょうか

サンタクロース?うーん、でもムチをもっていたり、天使や悪魔を連れているものもいます。ロバにのっている姿もあります。

―――どれも聖ニコラウスをあらわしています。

国によってそれぞれ呼ばれ方も違い、左上からきびがら細工でできたスロバキアのスエティー・ミクラ―シュとチェコのチェルト(鬼)、ロバに乗るフランスのサン・二コラ、オーストリアのレープクーヘン(スパイス入りのクリスマスのお菓子)でできたザンクト・ニコラウスと鬼のクランプス、くるみとプラムでできているのはドイツのザンクト・ニコラウス、クランプス、天使の三人、エルツ地方の煙出し人形もプレゼントとともにムチを持つザンクト・ニコラウス、そしてモールでできたチェコのスエティー・ミクラ―シュと二匹の怖いチェルトです。

尾崎学芸員がこれまでにもご紹介してきたように、聖ニコラウスは、サンタクロースのモデルとされている人物です。3世紀ごろのキリスト教の司教で、情け深く、貧しい人々を救け、子どもをかわいがったので、子どもや弱者を守る聖人として敬われました。ニコラウスの伝説には限りがないのですが、とくに有名なものをふたつご紹介してみます。

フランスの田舎でのできごと

落穂ひろいをしていた3人の子どもたちは、森で迷子になり、たどりついた肉屋に迎え入れられます。するとその肉屋の主人は妻と相談し、なんと子どもたちを切り刻み、塩漬けにしてしまいます(!)  それから7年がたったある日、二コラ司教が肉屋に泊めてほしいとやってきました。そして、「7年前から漬け込んでいる肉が食べたい」と言うと、驚いた肉屋は恐ろしくなり逃げてしまいます。二コラ司教が樽に指をのせ呼びかけると、3人の子どもたちが「よく寝た~」とよみがえるのです。

ちょっと恐ろしい世界観ですが、ニコラウスが起こした奇跡としてフランスでは童謡にもなるほどで、ヨーロッパ全土で知られている物語だそうです。

ニコラウスの隣人

ニコラウスがまだ司教になる前、家の隣には三人娘がいる家族が暮らしていました。その家族は貧しく、娘を結婚させるためのお金もないどころか、娘を売りに出さなければならないほど困っていました。そのことを知ったニコラウスは、その家の煙突から金貨を投げ入れました。金貨は暖炉に干していた靴下の中に入ったそうです。その金貨で長女は結婚することができ、ニコラウスは同じように、次女と三女のためにも金貨をなげいれました。

サンタクロースが煙突からはいって靴下の中にプレゼントを入れてくれる、という物語はこの伝説に由来すると言われています。

第一章「クリスマス・カレンダー」聖ニコラウス・デーコーナー、各地の聖ニコラウスをご紹介しています。

キリスト教世界では、12月6日に、聖ニコラウス・デーが祝われます。ヨーロッパの各地では前日の5日の夜に聖ニコラウスが子どものいる家を訪ね、家族とともに1年の行いを見定め、いい子にはプレゼントを、悪い子にはおしおきを与えます。ニコラウスが子どもたちを救ったり、貧しい人々に贈り物をしたり、困っている人に金貨を授けたりしたという伝説と、新年の豊かさを祈って人々が贈り物を交換していた冬至祭の習俗がとけあって、聖ニコラウス・デーとともにクリスマスにプレゼントを贈る習慣が誕生したと言われます。ムチや悪魔のような怖い従者を連れているのは、悪い子におしおきをするためです。司教としての厳格な面も引き継がれていて、子どもたちのしつけの意味も込められています。今年もきっとたくさんの子どもたちがわくわくどきどきの、ニコラウスの訪問をうけたのでしょうね。(原田悠里)

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