日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2015.11.29

玩具博物館のクリスマス・アドベント

教会暦では今日からクリスマス・アドベント(待降節)に入りました。キリスト教世界では、“アドベント・クランツ”の1本目のキャンドルに火を点して、キャロルを歌ったり、キリスト降誕の物語を子どもたちに話して聴かせたりして過ごす第1回目の日曜日。“アドベント・クランツ”は、緑のモミで飾ったリースを食卓などにおき、そこに4本のキャンドルを立てたもの。あるいは、リボンをかけて居間の天井からつるし飾る家庭も多いことでしょう。来週の日曜日には2本のキャンドルが点り、再来週の日曜日 には3本、再々来週の日曜日には4本――。4本のキャンドルに灯が点ると、まもなくクリスマス! 素朴でありながら、待つ楽しみと喜びを表現した素敵なクリスマス・オーナメントです。『世界のクリスマス』に中では、「光の造形とキャンドルスタンド」の展示コーナーに、ハンガリー、スウェーデン、ドイツ、イタリアをはじめ、いくつかのアドベント・クランツ型のキャンドルスタンドを展示しています。

白い教会のアドベントキャンドルスタンド

さて、その展示コーナーに、昨日、玩具博物館ミュージアム・フレンドのSさんから寄贈いただいた“トムテのキャンドルスタンド”(スウェーデンの陶芸作家・リサ=ラーソン女史デザイン)を加えました。小さな子たちと視線の合う位置に展示をしたためでしょう、今朝、ご来館された3、4歳の女の子が、そのトムテたちとガラスケース越しに一生懸命、お話をしているではありませんか! 可愛らしい風景に胸がほっこりと致しました。

「光の造形とキンドルスタンド」のコーナーに「トムテのキャンドルスタンド」を展示しました

今年の玩具博物館のアドベントは、いつもの展示解説会(日曜日ごとに開催) や世界のクリスマス絵本の朗読会(12月23日の午後開催)に加えて、お隣町の兵庫県立福崎高等学校コーラス部の皆さんによるクリスマスキャロルのミニ演奏会を計画しています。展示会場に清純なキャロルが響くのは12月20日(日)の11時30分からと13時30分から。その日には、 東方の三人の博士(メルキオール・バルタザール・ガスパール)がベツレヘムの幼子イエスに捧げたという〝乳香″や〝没薬″をドイツ製の小さな香炉で炷きますので、ご来館の方々には目と耳と鼻と……三感でクリスマス展示を味わっていただけることと思います。

ドイツHuss社の乳香や没薬をたく道具

恒例の手作り講座も始まりました。展示中の各国伝承のオーナメントを手作りしてみることで、それらに込められた文化を、一歩踏み込んで楽しく理解していくためのワークショップです。これまでには、スウェーデンやフィンランドの麦わら細工、スイスの麦わ細工、デンマークの切り紙細工、ドイツのフェルトとビーズのオーナメントなどを紹介してきましたが、今年はハンガリーに伝承される〝クルミの中の幼子″をとり上げています。
クルミ殻の中にそっと収まった小さな赤ちゃん、つまり、飼葉桶の中のイエスを象徴するものと思われます。<今月のおもちゃ・2015年12月号>当館の清瀬学芸員が書いておりますように、クルミはヨーロッパのアドベントには欠かせない食べものであり、その堅い殻は、小さなキャンドルスタンドに仕立てられたり、リースを飾ったり…と好んで使われる素材です。

ハンガリーのツリー飾り”クルミの中の幼子”

昨日、第1回目のワークショップを開いたところ、ご参加者に大好評。ご家庭に持ち帰られた材料で「また、ひとつ、愛らしい〝幼子イエス″を作りました」と嬉しいお知らせをいただいております。12月19日(土)にも少し、仕様を変えまして、〝クルミの中の幼子″手作り講座を開きますので、ぜひ、この機会にご参加下さいませ。

第1回目のワークショップ参加者から「もうひとつ作りました!」と届いた画像

                         (学芸員・尾崎織女)

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