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blog紙芝居&絵本の作家 ❝やべみつのり❞さんからのお便り
●本年11月10日に開館50年を迎えることから、当館50年の歩みやコレクションのこと、また皆さまからいただいた数多くのメッセージを収録して、『日本玩具博物館50周年記念誌ー玩具文化を未来へつなぐー』の編集作業を行っている最中です。さらに、当サイトをご覧の皆さまには当館に関わる思い出などをお寄せくださるようお願いをしていますが、web上におきましても、ご許可いただける方々のご寄稿をまとめ、メッセージ集として公開したいと準備を進めています。
●そのようななか、平成10(1998)年から親しく交流をもち、多くのことを学ばせていただいている紙芝居&絵本の作家、やべみつのりさん(お笑いタレントで漫画家の矢部太郎さんのお父さまです)から、これまでの思い出をたくさん収めた封書が届きました。記念誌発行もweb公開もまだ行っていないのでフライングになりますが(笑)、やべさん手描きの絵や手元に保管されていたお写真などもたくさん頂戴しましたので、こちらのページでご紹介させていただきます。
「玩具の素朴な力をおうえんします」
やべみつのり(紙芝居・絵本作家)
青空と庭木に映える白壁土蔵造の建物が並ぶ「日本玩具博物館」を初めて訪ねたのは二十六年前、平成十年の春でした。香寺町の図書館の「春休みこどものつどい」によばれ、「アニメあそび」のワークショップで、子どもたちとの楽しい時間を過ごした後、館長の杉岡和弘さんに薦められてだった。
独楽のシンボルマークのある建物に入ると、子どもの頃に出会ったおもちゃたちが、天井や、ケースの中から、話しかけてくるようで再会に感激した。凧や独楽、土人形やダッコちゃん人形などなど…。館長の井上さん、学芸員の尾崎さんと夢中になってお話しさせていただいた。そして個人立の施設と知り驚いた。早速「友の会」の会員になった。
僕は倉敷で育ち、今は東京で紙芝居や絵本を作っている。整理され展示されているおもちゃ達を眺めていると時間を忘れる。時代の変化についていかれない僕ですが、自然素材で工夫され、世界中で作られた素朴でプリミティブな玩具たちに、魅力と創作の源泉を感じます。
学芸員の尾崎さんが出版された日本玩具博物館コレクションの2冊。『世界の民芸玩具』と『中国民衆玩具』(大福書林刊)は、鮮やかな玩具たちの写真と素晴らしい紹介文、表紙や見返し、カットなどの切り絵も面白いですね。楽しみに拝読しています。
その本に紹介されている3つの玩具。
一、「トルコのソアンル村の双子を抱く人形」は、双子の孫が生まれた頃、「双子の玩具はありませんか」と訪ねたとき見せていただいた。双子が生まれた家庭には幸運が訪れるようにという願いがこめられている。我が家の双子は大学生になり、それぞれの道を歩んでいる。その日、人形たちをスケッチさせていただたいた。
二、「イヌイットの骨人形とけん玉」は、『ほねほねマン』というガイコツをキャラクターにした紙芝居を作り始めた頃、骨が玩具やあそびの世界でどう使われてきたかを知りたくて訪ねたとき見せていただき、とても励まされた。(近くシリーズ4作目が童心社から出版の予定。)
三、「植物編みのボール」には、ラオスのヤシの葉を編んで作る、丸くない立方体のボールも紹介されている。こ れは、僕がラオスをNGOの「ラオスのこども」より派遣されたとき、現地の「紙芝居づくりセミナー」に参加された皆さんに、ヤシやバナナの葉で作る玩具を教えてもらったなかのひとつで、懐かしい。ラオスでも作れる人は少なくなったとつぶやかれていたことを思い出します。
博物館に寄贈したラオスのヤシの葉編みのボール
この本の帯のことばには「時代に取り残され、消滅しようとしている民衆芸術にいま、光を当てる」と書かれています。そのおもちゃ文化の殿堂が日本玩具博物館の九万点にもおよぶコレクションだと思います。
玩具たちに愛情を持ち大切に収集、展示、玩具の魅力を発信してこられたことに敬意と感謝の気持ちで応援しています。
玩具たちと皆さんとの再会を楽しみにしています。
五十周年おめでとうございます。
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●やべさん、メッセージをありがとうございます。やべさんの思い出のなかに当館の玩具たちが鮮やかに存在し、そして、紙芝居や絵本の創作のお手伝いをさせていただいていることをとても嬉しく思います。当ブログをご訪問の皆さま、やべみつのりさんの心優しい作品はたくさんあります。ぜひ手にとって、おもちゃたちとのつながりを感じてください!
(学芸員・尾崎織女)
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