日本玩具博物館の魅力を発信!~当館で「地域実習」を終えた学生たちからのメッセージ・その1 | 日本玩具博物館

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学芸室から 2024.11.25

日本玩具博物館の魅力を発信!~当館で「地域実習」を終えた学生たちからのメッセージ・その1

11月7日から5日間、今年度も青山学院大学のコミュニティ人間科学部の3年生の学生さんたち7名が、地域づくりの手法を学ぶプログラム「地域実習」の一環で当館に滞在されました。事前学習を積み重ねてこられた皆さんは、引率の大木真徳先生からのアドバイスを受けながら、例年同様、当館の博物館活動のいくつかを体験したり、館長や学芸員にインタビューを行ったりして、当館の成り立ちや日々の取り組みについて学ばれました。加えて今回は、11月10日の「開館50周年を祝うイベント」のワークショップを担当していただくなど、当館ボランティア・スタッフとして記念行事の一翼を担って大活躍でした!


実習後に、学生さんたちからいただいたレポートには、私たちがこれからも大切にしていきたい当館の性質や役割が丁寧に綴られていました。それは、地域文化の継承について、日々、専門的に学んでおられる若い人たちの温かい言葉にのせた励ましのメッセージです。このブログで3回に分けてご紹介いたします。どうぞ、ご一読ください。(学芸員・尾崎 織女)
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時を超える遊びの宝庫

 上江洲 有紗(うえず ありさ)

今年の地域実習では日本玩具博物館の開館50周年行事という特別な機会に重なり、参加することができました。まずは日本玩具博物館がどのような配置で玩具を展示しているのか、「多くの来館者に楽しんでもらうために」といった工夫が沢山なされていることに気が付きました。昔の玩具を知らない子ども達にも玩具に触れ合う場所が提供され、大人たちは幼少期に遊んだ玩具たちを見て再び幼かった頃の楽しい時間に巻き戻される体験ができます。私自身、覚えていた玩具から忘れてしまった玩具まで多く出会い、懐かしさに浸りました。

また、玩具博物館の配置の魅力だけでなく、博物館としての仕事のお手伝いもさせていただきました。特にコマの開梱・寸法・データ記入・梱包は、かなり集中力と慎重さを求められ、展示品を長く綺麗な状態で保管することの難しさを身をもって体験しました。どんな傷つく可能性さえ避けなければならないという意識がここまで長い間綺麗に保管できている証拠なのだろうと思いました。

Design Museum Japan・ロンドン展より戻って来たコマのコンディション確認&整理作業風景

さて、例年と違った地域実習になったのは間違いなく日本玩具博物館の開館50周年行事です。この行事が始まる前にオープニングで井上館長のお話を聞かせていただく際、あまりの人の多さに驚きました。多くの取材陣、おそらく長く関わってきた地域の人々、初めて来た人まで賑わっていました。記念すべき50周年の行事に足を運んでお祝いする方がこんなにもいること、このことは日本玩具博物館がどれだけ地域の人と密接にかかわってきたか伺えます。この行事で私たち学生は郷土玩具のワークショップを担わせていただくことになりました。多くの子ども達や保護者と出会い、この玩具博物館との関係を聞くことができました。「久々に来たけど、やっぱええなあ」とまるで故郷に帰ってきたように口にする来館者の方もいました。

「開館50周年を祝う一日」オープニング風景

この度はこのような貴重な体験をさせていただき、大変ありがたく存じます。また私的にもうかがってじっくりと日本玩具博物館を楽しみたいと感じた地域実習でした。


来館者と資料をつなぐ日本玩具博物館の魅力

太田 康平(おおた こうへい)

私は日本玩具博物館での実習を通して、今までの博物館像が大きく変わるきっかけになりました。特に印象に残ったのは、来館者・資料・学芸員の距離が非常に近いという点です。一般的な博物館では、資料はガラスケースの中に厳重に保管され、来館者はその向こう側から静かに眺める形式がほとんどです。そのため、入館者と資料の間に距離を感じることがあります。資料の保存が第一であるのは当然のことですが、その一方で来館者がどのように資料を理解し、楽しむかというバランスは難しいものがあります。

3号館のプレイコーナー

日本玩具博物館では、来館者と資料の関係が、一般的な博物館とは異なる形で見られました。館内の至るところに来館者が資料に親しみを持ち、関心を持てるような工夫がなされていました。たとえば、学芸員の方が積極的に展示物を取り出して解説を行い、実際に遊んでみたりロウソクに火を灯したりと、来館者との「対話」を大切にしている点に目を引かれました。また、コマを回して遊ぶことができる台も設けられており、玩具という資料特有の「遊び」や「触れる楽しさ」を通じて、その価値を知ることができる仕組みが整っていました。

「世界のクリスマス展」会場にて

来館者との距離を大切にしながら資料の価値を伝え続けている姿勢は、他の博物館には見られない日本玩具博物館の唯一の特徴であると思いました。博物館運営において、ただ資料を保存・展示するだけではなく、人々にその資料の魅力を共有していくことの重要性を改めて実感しました。


*************その2に続く*************

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