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地域実習で当館に滞在された学生さんたち
●12月9日から13日まで、当館では、今年も「地域実習」のために姫路を訪問された青山学院大学のコミュニティ人間科学部の学生さんたちをお預りしておりました。地域づくりの手法を学ぶ学科課程の一環で、当館においては、付き添ってこられた大木真徳先生から指導を受けながら、博物館の成り立ちや館長&スタッフの話を聴いたり、日ごろの博物館活動を体験したり、また当館における玩具文化継承の取り組みについて意見交換を行いながら4日間を過ごしていただき、5日目には姫路の文化施設見学に出かけました。


●実習2日目は休館日に当たっていたため、2号館に撮影機材を広げ、テーマ展「馬の郷土玩具」の展示品目録をつくる作業に取り組んでいただきました。150点ほどの品々を一点一点、展示ケースから取り出し、様々な角度から撮影、採寸、目録作成、また展示し直す――という流れを丁寧に一日かけて。各地の郷土玩具の姿――重さ、匂い、温度などにも――直に触れ、また博物館の地道な作業について体験いただく機会にもなったかと思いますが、「展示品を手にとる」ということで、初めは緊張しておられた皆さんでしたが、慣れてくるにつれ、8人が協力し合い、品々のもつ特徴を味わいつつ、誠実に作業をこなしていただけたと思います。若い皆さんの展示資料に向き合う純粋なまなざしに私たちも初心を思い出すひとときです。この日の作業の成果は、来年1月、デジタル・コレクション「馬の郷土玩具」として、公式webサイトでご紹介したいと思っています。






●3日目の実習要点は、玩具文化を継承していくために当館が行ってきた活動の事例について話を聴き、文化継承における博物館の役割について考えていただくというもの。次に「兵庫県のクリスマス産業史に光を当てる」取り組みについてあらましを理解いただいたうえで、兵庫県周辺で作られていた昭和20~30年代のオーナメントをクリスマスツリーにつるしてランプの家に展示するというものでした。

●和製クリスマスオーナメントの始まりであったとされる貴重な「経木モール」を熟覧していただき、一点一点のオーナメントの表情を楽しみながら、ランプの家のお座敷に昭和時代の懐かしさあふれる「日本のクリスマス」コーナーをつくっていただく実習にも取り組んでもらいました。――暗くなったランプの家のお座敷に出来上がったコーナーを見て、井上館長、「うわぁ~、最高や!!」と大喜びです。ご来館の皆さまには、クリスマスに向けて、賑やかさと温かさを増していく展示館をお楽しみください。







●4日目には、当館館長と学芸員へのロングインタビューがあり、また、姫路市の様々な部署が取り組まれている教育施策を連携し調整する役割におられる職員の方々と接するひとときがありました。5日目には、城下町姫路の野里地区で町家とその町家文化の再生に取り組むご夫妻を訪ね、お話を聴かせていただきました。さらに姫路科学館では学芸職員から館の歩みやミッションなどについてご案内を受けたり、筆者がちょうど同館友の会から講座の依頼を受けていたこともあり、その活動を見学する機会もあって、――教育や生活文化に関わる仕事に従事する「ひと」の思いと直に触れあっていただけたのではないかと思います。短期間の実習ではありましたが、「生き方や暮らし方、人生における仕事の価値について見直し、考えるようになった」と、それぞれの言葉で感想を残し、充実した表情とともに帰郷された若い人たちの様子を嬉しく思ったことでした。






●実習を終えた彼らからは、課題として当館へレポートを届けていただく予定になっておりますので、またこちらのブログで公開させていただきます。若い人たちを温かく迎え、お心のこもったお話を届けて下さった皆さまに心より感謝申しあげます。
(学芸員・尾崎織女)
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