<見学レポート>岩槻まちかど雛めぐり | 日本玩具博物館

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学芸室から 2014.03.11

<見学レポート>岩槻まちかど雛めぐり

雛まつりのシーズンに全国あちらこちらの雛人形を巡るようになってかれこれ25年、―――美術館・博物館、また自治体主催の雛まつり行事へ色々なかたちでお邪魔してきましたが、今春は、関東地方を代表する雛人形の産地・埼玉県岩槻市の“まちかど雛めぐり”へ出掛けてきました。

「第11回人形のまち岩槻・まちかど雛めぐり」のパンフレット

岩槻周辺は桐の産地。桐の箪笥作りなどが古くから盛んですが、その廃物として産される桐粉をしょうふ糊で練り固めた“練り人形”が考案されたことで、江戸時代後期に人形作りが始まります。江戸へ通じる街道筋に開けた町であったことから、大量の消費先を確保することができたので、どんどんと製作者が増えていったようです。
現在も、東玉、東久、東光、正栄、鈴木人形、宝玉、矢作人形店……など、人形の製作&販売を行う人形店が軒を連ねる岩槻――人形店やその資料館を見学したり、家々がそれぞれに飾っておられるお人形をのぞいたりしならの街めぐりは楽しいものです。

「まちかど雛めぐり」に参加する家々

ただ、古い時代の人形は、思いの外、この町には遺されておらず、江戸時代の寛永雛や前期享保雛、享保雛は京製であり、それらは、個人あるいは人形店のコレクションです。また、岩槻の家々が所蔵する雛人形には、戦後に全国流通を観た段飾り雛が多いとお見受けいたしました。

この町で幕末期に誕生し、埼玉や群馬地域に流行をみた、武州独特の「裃雛」も資料館以外では、ちらほらというところ――製作地にその製品が遺されないというのは、よくあることですが、岩槻も例外ではありません。そんな中、東久お人形歴史館では、1000体に及ぶ明治・大正時代の「裃雛」をずらりと展示しておられ、他のどこにもない雛飾り――まさに圧巻でした。
http://www.doll.or.jp/about_us/index.html      

東久お人形歴史館に展示された裃雛

「裃雛(カモシモ人形)」は、文政(1818~1829)の頃、岩槻の久保宿に住んでいた橋本重兵衛が考案したものと伝わります。雛と呼ばれますが、いわゆる内裏雛とは違って、対のカタチをとらない雛人形です。おかっぱや稚児らしい髪型、裃を付け、小さな手を合わせて正座した姿で表現されます。明治から大正、昭和初期頃まで、埼玉や群馬県地方一体で愛されており、初節句のお祝いに贈られた他、農耕や養蚕の豊作を願って「豊作雛」とか「お蚕雛」として女児のない家庭でも盛んに飾られたと資料にあります。

町をあげての雛まつりを見学するとき、もっとも心惹かれるのはその地ならではの雛人形に出合えることです。日本を代表する人形の町の「雛めぐり」――3月16日までです。ぜひお出かけください。

(学芸員・尾崎織女)

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