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blog北九州市立小倉城庭園「子どもの晴れ着とちりめん細工展」オープン!
■北九州市立小倉城庭園博物館の特別展「子どもの晴れ着とちりめん細工」準備のため、しばらく小倉で仕事をしていました。
お城が町の中心に鎮座する小倉。それは、かつて八幡製鉄を中心とする製鉄業で栄え、世界が所望するような優れた技術を持ついくつもの町工場が存在する町。埋もれた種々の美術を秘蔵する町・・・・・・小倉は、何かしら姫路の町と似ている気がして、親近感を覚えます。
■小倉城庭園博物館での展覧会活動も今回で4回目。館内で行った展示シミュレーションをもとに、すでに親しい庭園博物館学芸スタッフの皆さんと意見を出し合いながら、数日間、展示室にこもりきりで作業に没頭していました。
■そして、展示ができあがり―――初宮参りの一つ身着物が並ぶ展示会場はフェスティヴな空気が立ち込めています。オープニングの解説会を済ませて帰ってきました。春らしい企画展を無事にオープンすることができ、ほっとしています。展示企画をいただく度に緊張し、ぼう大な時間をかけ・・・・・・けれど、(当たり前のことですが)準備に心を込めればこめるほど展示に愛情を感じます。
■赤ん坊が誕生し、無事に生後1ヶ月を迎えたことを産土神(うぶすなのかみ)に謝して報告をする初宮参りの祝い着、生後100日目に行われる食い初めの儀礼用の祝い着、さらに端午の節句や桃の節句などを祝う晴れ着には、魔よけや招福を意味する文様や四季の花々、子どもたちの好きな玩具や人形があしらわれて、どれも愛らしく華やかな雰囲気をもっています。
■【初宮参りの祝い着】【儀礼や節句の祝い着】のコーナーでは、着物とともに、乳児の帽子や涎かけ、また守り袋や巾着を展示し、【ちりめんと着物のデザイン】のコーナーでは、「花鳥草木」「吉祥」「器物」「玩具」の項目で、子どもの祝い着に見られる絵柄と江戸末期から明治・大正時代に作られたちりめん細工の題材との共通性を探ります。【子育てのお細工物】のコーナーでは、子どもの無事な成長を願って作られたちりめんのお細工物の数々を、【用と美の袋物】のコーナーでは、今春、新たに寄贈を受けた“きりばめ細工”の袋物の数々をご紹介しています。
■子どもの晴れ着にみられるデザインや、ちりめん細工の造形を通して、親たちの子どもの成長と幸福を願う心や日本伝統の美意識にも触れていただければと思います。 小倉城を望む庭園内の博物館で、当館の資料がまた新たな出合いをつくってくれますように。展示会期は2014年4月14日までです。ぜひ、お訪ね下さいませ。
(学芸員・尾崎織女)
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