おもちゃ学事始め | 日本玩具博物館

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学芸室から 2018.04.17

おもちゃ学事始め

学芸室からこんにちは。昨年の神戸・KIITOでの館外展を経て、今年から姫路の本館でお世話になることになりました、原田悠里(はらだゆり)です。新人学芸員として、日々奮闘しております。そんな学芸員の仕事の様子もちょくちょくとみなさまにお伝えしてゆけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、4月です。春爛漫の館に京都光華女子大学こども教育学部、79名の新入生のみなさんがお越しくださいました。学部のオリエンテーションの一環ということもあり、事前に先生方とも打ち合わせをさせていただき、玩具博物館では、自由見学とともに子ども教育学の視点も入れた、おもちゃの世界へのご案内を提案させていただきました。
まず、79名の大人数なので、①1号館、2号館、3号館の見学、②4号館、6号館の見学、③「館長のおもちゃづくり講座」と3つのグループに分かれて、順次交代しながら、館内を見学。その際①、②の見学では、少しお話をしながら「おもちゃ学事始め」と題したワークシートに5つの問いを用意しました。例えば、問1は、「車輪のついたおもちゃには、押して遊ぶものと引っ張って遊ぶものがありますが、それぞれの特徴からあなたならどちらを小さな子どもに選びますか」、と現在1号館で開催している世界の乗り物玩具の中から実際に玩具を取り出しながら尋ね、問3では、プレイコーナーで遊びながら、「2歳から5歳ぐらいの子どもたちが遊び始めたら止まらない、鉄琴がついたドイツのクーゲルバーン(玉転がし)の魅力は何でしょうか」と考えていただきました。
「ハイハイの子には押す方がいいけど、立つようになったら引っ張る方がいい」、「引っ張る方が一緒に歩いている気持ちになる」、「玉を穴に入れるのが楽しい」、「音が聴きたくて何度も遊ぶのかな」などと思い思いに答えてくれました。
これらにはいずれにも正しい答えはありません。「おもちゃ」を身近な視点(子ども教育)から新たに捉えてもらえたらという想いと、必ずしも決まった答えにたどり着く必要がない学びを大学では大事にしてほしいという考えから、尾崎学芸員とともにこのようなワークシートを作成しました。

2号館でいろいろなこままわし。どのこまがいい?
館長のおもちゃづくり講座

大学に入学して10日ちょっと。大学生活への期待に胸膨らませている学生さん、まだまだふわふわと心が浮き立っている学生さん、子どものようにおもちゃではしゃぐ学生さん、と、いろいろな表情が見えましたが、答えのない問いに接し、一瞬目を見開いた彼女たちに、少しばかり人生の先輩として、大学生活の中で、またそこでは見つからなかったならさらに、社会に出た時にでもそれぞれに答えを出していただけたらとお伝えました。

さぁ!わたしも日本玩具博物館に来て、今年から本格的なおもちゃ学事始めです。どんな視点からおもちゃをのぞいてみようかしらん。

(学芸員・原田悠里)

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