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館長室から 2012.02.18

展示品に感動の声・・・ 企画展「季節を彩るちりめん細工」が始まりました

日本海側各地から、例年にない大雪とのニュースが伝わります。幸い瀬戸内海側にある当地は雪が降ることがあっても、積もるのは年に1~2回程度。それも2~3cmほどで午後になれば消えてしまいます。ところが今冬は、雪が積もったことがないのです。
当館の前には栴檀(せんだん)の大木があります。鈴なりの白い丸い実が冬空に映えて美しく、「何の実ですか」とよく質問を受けます。6号館への小道にある椿も数本が咲き始めました。

冬空に映える栴檀の実

先月17日夜からの6号館の展示替え作業は、膨大な数のクリスマス資料の撤収と雛の展示作業で大変になると予想していましたが作業は順調に進み、22日にはご覧いただけるまでになりました。展示作業は私も含めて6名で担当しますが、全員が学芸員資格者です。いつものことながらスタッフの頑張りに頭が下がります。展示は西室が江戸時代の雛人形と道具、東室は明治時代の雛人形と道具と、100年以上もの歳月を経た雛人形や雛道具の数々がずらりと並び、見応え十分です。近年、雛巡りが町おこしと連動して盛んになり各地で雛人形展が開催されますが、江戸期や明治期の雛人形が解説付きで一堂に並ぶのは珍しいのではないでしょうか。

続いて今月14日夜から15日の休館日を利用した1号館の「十二支の造形」から「季節を彩るちりめん細工」展への展示作業は、1号館が当館の受付がある入り口でもあるため、休館日以外は閉館できないので夜遅くまでハードな作業が続き、16日にはご覧いただける状態になりました。
「季節を彩るちりめん細工」は正式には2月25日がオープンですが、入り口という関係から16日からご覧いただいています。早速に来館者の皆様から感動の言葉が寄せられましたが、展示作業に関わった私も大きな感動と感慨につつまれました。実はちりめん細工の復興活動は26年前の昭和61年春の、この1号館での「明治のお細工物と郷土雛展」から始まったのです。同展をご覧になり、ちりめん細工に関心を寄せられた皆様にお集まりいただき、所蔵の『裁縫おさいくもの』(明治42年刊)をもとに技術伝承のための勉強会を始め、それが今日に至る思いがけない大きな発展につながった、その歩みをたどる展示にもなったからです。

江戸時代の懐中物
明治期に作られた作品

その後、皆様の協力を得て「手工芸の好きな方にちりめん細工のすばらしさや作り方を広めたい」と、私の監修でちりちりめん細工関連の本を平成4年にマコー社から『ちりめん遊び』を出版して以来、この20年間で合計12冊にもなりました。NHK出版が2冊、婦人生活社が1冊、雄鶏社が5冊、日本ヴォーグ社が3冊です。初めの頃は個々の作品の作り方が中心でしたが、ちりめん細工は小さな作品が多いため、見せ方や飾り方が大切だと考え、12年前に出版した『四季を彩るちりめん細工』以来、一文字棒や十文字棒の飾り、輪下げ、傘飾り、一連飾り、2連飾りなどさまざまな飾り方を制作者と共に考えて発表してきました。それが今回一堂に並び、飾り方の集大成ともいえる見応えのある楽しい展示になりました。

1号館の囲炉裏端に並んだ傘飾りも
冬のつるし飾りのいろいろ

展示資料は当館が長年収集してきたものであり、「季節を彩るちりめん細工」も「雛まつり~江戸と明治のお雛さま」も、当館でないと見れない貴重な資料が沢山展示されています。早春の一日、どうぞお誘いあってお越し下さい。

(館長・井上重義)

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